【第7話】アルバイトではない。会社の目標って難しい

【第7話】アルバイトではない。会社の目標って難しい

WAKE UPストーリー第7話

実際の就活や仕事に使える知識やスキルをストーリーで学ぼう!

【WAKE UPストーリー】毎週金曜日更新中

今どきの大学生、林が紆余曲折を経て成長していく様子を描いた、就活生~新社会人のための、連載型スキルアップコンテンツ。

登場人物紹介(※クリックで拡大)

WAKE UPストーリー登場人物紹介02

 

こんなに働いてる人がいるんだな……

 

思わず、最初に出た一言がこれだった。

インターン初日を迎えた今日。

初日のあいさつで営業部に通された俺は、圧倒されていた。

 

面接の時はすぐに会議室に通されたため、すれ違ったのは数人だった。

だから、会社のパンフレットで600人以上の社員がいることは知っていたが、事業部単位では、もう少しこぢんまりとしているイメージだったのだ。

実際に働いているところを目にしてしまうと、自分は場違いなのではないか、とすら思ってしまう。

 

一緒に来た小島は、隣で堂々と立っている。

俺はというと、その脇に頼りなさげに立ち、緊張で手が震え始めていた。

 

俺、人前で話すの得意じゃなかったんだな……。

今までは人前に立つ機会も少なく、自分が苦手だということにすら気づいていなかった。

 

はじめまして、林です。早く皆さんの一員になれるよう頑張ります

 

散々考えて、発言できた内容がこれだけだった。

それに対して、小島は

 

小島
はじめまして、小島です。インターンは初めてですが、学生時代は野球部でキャッチャーをやってました。バッターとの心理戦が得意だったので、営業にも活かしたいと考えています

 

自信があってハキハキと話す。

俺が上司でもかわいがりたくなるような後輩だ。

 

一通り学生の挨拶が終わると、先輩社員が話しかけに来た。

小島の周りには、元野球部の社員が来たり、どこから聞きつけたのか営業部じゃない人も来たりとさまざまな人が集まっていた。

『仕事、頑張れよ』などのほかに、『どれくらい野球やってたの?』なんて話もしている。

先輩社員、仕事してください……。

自分の周りにも数人の先輩が来てくれたが、そこまで話を盛り上げることはできず、この時間が早く終わることを願っていた。

 

それから10分ほど経ち、ついに初日の研修が始まる時間がやってきた。

 

インターン生15名が会議室に通され、スケジュールが手渡された。

まずは会社全体の組織についての説明を受けるみたいだ。

 

アオキ物産は大きく、海外事業本部と国内事業本部、そして管理本部の3つに分かれている。

各事業本部内には、営業部・企画部・管理部があり、俺たちインターン生は国内事業本部の営業部がメインになることが伝えられた。

営業というと俺のなかでは、ひたすら歩き回ったり、電話をしたりと、泥臭いイメージがある。

人事の人が言うには、

 

人事社員
国内事業本部の営業は、ルート営業・新規開拓営業・反響営業の3つに分かれています。

インターンの間は、このなかの新規開拓営業をメインに経験を積んでいただきたいと考えています。

営業を通してビジネスを知り、実際入社して働く際のイメージを持っていただければと思います

 

とのこと。

インターンのなかには営業職志望ではない学生も多くいるため、一瞬ざわめきが起きたが、すぐに打ち消された。

 

人事社員
今回インターンとして参加された方の中には、営業職志望ではない方もいるかもしれません。やりたくないな、と思う方もいるかもしれません。

しかし営業というのは会社にとって欠かせない存在です。

なぜなら、会社で働く人の給料の元になるお金を作る仕事であり、お客様とのコミュニケーションのなかで、ビジネスマナーや、飲食業の現場の声を学ぶことができるからです。

今活躍している企画部の人も、多くは営業出身だったりもするので、営業研修は将来に大きく役立つと思いますよ

 

なるほど……。深いな。

 

人事社員
今回インターン生のなかでチームを作り、チームごとの受注件数をランキングにします。

最終的に1位になったチームは、入社後に企画部の社員と一緒に、新卒主導の新たな商品を企画していただくことを考えています

 

インターン生の間に再度ざわめきが起きる。

インターン生のなかには企画職を志望している人も多く、「新しい商品を考えられる」というのはうれしいことのようだ。

確かに、会社に入って間もないのに自分の考えた商品が小売店に並ぶのはすごいことだろう。

 

午後からは、全員で最初の新規開拓営業を担当する課に向かうことになり、一度お昼のために解散となった。俺と小島は別チームになったが、一緒に昼を食べることにした。

 

インターンから受注目標とかあるんだな……
小島
えっ面白そうじゃん。だってさ、これ1位になれば、新卒なのにオリジナル商品の企画とか出せちゃうんでしょ?友達にもめっちゃ自慢できるじゃん
そりゃそうだけどさ、俺営業なんてしたことないし
小島
俺だってそうだよ。けどさ、やってみなきゃ分かんないし、いくらでも先輩いるんだし、大丈夫でしょ

 

この前向きさと積極性はどこからやってくるんだろう……。

まあ、話していると前向きになれる気がするし、小島と話しているのは結構楽しいかもな。

 

休憩時間はあっという間に過ぎ、新規開拓営業を担当する課へ行く時間がやってきた。

日中で営業に出ている人が多いのか、人はまばらだった。

入室するとすぐ、恰幅のいい40代半ばのおじさんが元気よく話しかけてきた。

 

山田部長
おー今年のインターンか! 営業部部長の山田です! よろしくな!

 

部長というともっと、威圧感のある人を想像していたが、優しそうな人で良かった……。

学生達は指定された席に座り、これから何が起きるのかと不安げな表情をしている者、いかにもやってやる、という表情の者などさまざまだ。

山田部長が話し始めた。

 

山田部長
いやーインターン初日、みんな緊張してるだろ。いーよ楽にして!

ここがしばらくの間、職場になる。職場はな、家みたいなもんなんだよ。

いま営業のやつらは、誰もいないだろう。みんな外に行って、会社を代表して戦ってくれてるんだよ。

そして、いい結果も悪い結果も、すべて持って帰るのが、この場所。だから、ここは家みたいなもんだ。

午前中の研修で分からなかったこととかあるか?

 

学生達は本当にリラックスしていいのかは分からず、固まっている。そして、誰が最初に手を挙げるか、という空気の読み合いをしていた。

すると、手を挙げるやつがひとり。

 

小島
ここは新規開拓をする部署ですよね? 今回、受注件数が目標として与えられました。これってどうすれば達成できるんですか?

 

山田部長は、笑顔だった。

 

山田部長
えーっと君は小島君だっけ?
小島
はい、小島です
山田部長
小島君さ、なんで目標ってあるんだと思う?
小島
んー、会社のために必要だからですかね
山田部長
それはそうなんだけどね。一番大切なのは、やりたいからやるっていう気持ちを表しているのが目標かな。

そしてその目標は達成するから、充実感や楽しさがある。

達成できない目標は、何よりも面白くないからな

 

なるほどと学生達が感じているなか、山田部長は続けた。

 

山田部長
営業っていう仕事は、やらされてると思ったら、つらくなる。

お客様とも直に接するから嫌なことも言われるし、売上だって出さなきゃいけない。

営業は目標を与えられるんじゃなくて、与えられた目標を、ちゃんと自分の目標として置き換えることからスタートするんだよ。分かるか?

小島
……何となくは分かります

 

固まっていた学生から笑いがこぼれた。

 

山田部長
そうだよな。それで、今回目標は受注件数だよな。具体的な数値はまだ決まってないよな?
小島
はい
山田部長
会社に入ると、具体的な数が目標になる。

それはこの会社全体を運営していくのに必要なお金だ。

ただ今はまだみんな学生だ。だから今回、具体的な数字は自分で決めていい

 

そう話しながら、山田部長は紙を配り始めた。

そこには営業部内の売上と受注件数が出ていた。

課ごとに分かれているものと、ひとりひとりのものまである。

月初めということもあり、全員がほぼ横並び状態だった。

 

その後、去年参加したインターンの受注実績が配られた。

過去最高の受注件数を上げたインターンの名前が、欄外に件数とともに書かれている。

 

『黒田昌樹』

 

そしてその受注件数は、先ほど配られた現役の社員のものと比べても高い件数だった。

 

山田部長
この黒田ってのはすごいだろう。うちの現役社員をたった1カ月で抜いてしまったんだからな。そいつの目標はなんだったと思う?
小島
分からないですけど、1位になるってことですか?
山田部長
そうだな。黒田の場合は、入ってきて同じ紙を見せたときに、過去のデータ全部くださいって言って、現役社員のこれまでの数字を見せたんだ。

そしたら、過去の社員も含めて一番になるって言ったんだ。

あいつは、今だけじゃなく、過去も、これからも抜かされないような記録を作りたかったんだろうな

 

すごい学生がいたんだな……。

その黒田という人が今何をやっているのかが気になった。先ほど配られた紙には名前がないようだ。

辞めてしまったのだろうか。

 

それから、各チームに分かれて目標件数を設定していく作業が始まった。

2時間後に出来上がった目標には、すごく高いものから、確実に達成できるような低いものまで、それぞれの性格が見事に表れていた。

小島がいるチームは、黒田さんが出した結果と同じくらいの数字を設定していた。

対して俺のチームは、現役社員の結果と同じくらいのものを設定している。俺としては、黒田さんを超える目標を設定したかったが、チームで話し合ううちに、無難なものに収まってしまった。

 

ただ、黒田さんを超えてみたい。この気持ちは奥底で今もくすぶっていた。

 

次回へつづく

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