【第5話】喜びと未来。会社で働くということ

【第5話】喜びと未来。会社で働くということ

WAKE UPストーリー第5話

実際の就活や仕事に使える知識やスキルをストーリーで学ぼう!

【WAKE UPストーリー】毎週金曜日更新中

今どきの大学生、林が紆余曲折を経て成長していく様子を描いた、就活生~新社会人のための、連載型スキルアップコンテンツ。

登場人物紹介(※クリックで拡大)

 

やっとか……。

 

これが最初に出た言葉だった。

 

周囲から遅れて就活を始めて、3カ月。

 

送った履歴書の数は、33枚。

受けた会社の数は、約20社。

最終面接まで残ったのは、5社。

無事内定がもらえたのは、1社。

 

人事の担当者から採用を告げられた時の感覚は、同じ経験をした人間にしか分からないだろう。

もっと盛り上がるものだと思っていた。

 

『よっしゃー!』

とか、

『うおー!』

とか。

 

いざ電話が来ると俺は、声を上げて叫ぶわけでもなく、淡々と

 

『ありがとうございます。頑張ります』

 

とだけ返していた。

 

ひとりだと盛り上がらないのかもしれないと思い、すぐに武田や綾子にも電話した。

武田も綾子も、すごく喜んでくれた。

お祝いパーティーをしようとも提案してくれた。とてもうれしかったが、どこか違う。

そういえば……と思い、先ほどカバンに入れたばかりのスマホをもう一度取り出す。

 

はい、喫茶室はやしです~

 

久しぶりに聞く母さんの声だ。

 

あっ母さん、良介だけど。就職決まったわ
良かったじゃない! どんな会社なの?
食品系の卸の会社で、アオキ物産てとこ
あらー。そしたら、良介のところに発注しなきゃね。ちょっと父さんに代わるから待ってね
おー、就職、決まったのか。おめでとう。アオキ物産って言ったら中堅クラスじゃないか。まともな会社なのに、お前でよく受かったな
ひどいな、それ。まあ、俺も”夢なきサラリーマン”になるってわけ。けど親父、会社のことよく知ってたね
そりゃそうだろう。一応これでも飲食業に携わって35年経つんだ。

それなりの知識くらいはあるさ。こんな店でも、いろんな業者と付き合わないとやってけないんだよ。

それにな、”夢なきサラリーマン”なんて言うな。サラリーマンこそ一番自由に生活できるんだぞ

冗談だよ。でも、サラリーマンが一番自由ってのは言い過ぎだろ
お前な、会社で働けるってすごいことなんだぞ。

俺みたいに自分で店始めちまうと誰も守ってくれないし、生活するので必死だ。

けどな、働くことでお金をもらえる会社員なら、仕事以外の時間は自由なんだ。

俺なんか、生活も仕事も全部ごちゃ混ぜだからな

そんなもんかね。でも意外だな。親父は会社員なんか興味ないって感じだと思ってたよ。取りあえずしばらくは戻れないと思うけど、将来のこととか含めて話したいこともあるし、今度ゆっくり話そうよ
まあ最初は大変だと思うけど、気楽にやれよ。みんな同じ人間だ
分かった。じゃ、母さんにもよろしく言っといて

 

親父はずっと『周りなんて関係ない』という印象だったから、会社員をうらやむような言葉を聞いて驚いた。

俺と同じで、サラリーマンになるのは絶対に嫌がるタイプだと思っていたのに……。

 

なるほど。

とにかくこれで、俺のなかのモヤモヤした気持ちの正体が少しつかめた。

会社員になるということが、まだ自分のなかで納得できていなかったのだ。

 

自己分析などは、知らなかった自分の一面を知っていくことをゲーム感覚で楽しめた。

面接を通して、コミュニケーションなんかも見直すことができた。

 

そして内定をもらった。

まるで、ロールプレーイングゲームのなかにいるような気分だったのだ。

内定をもらって、就活が終わり、ゲームクリア。

すべてをやり切ったような感覚に陥ってしまい、サラリーマンになったあとの自分は想像できていなかった。

そして、何のために会社に入るのかを、いつの間にか見失っていたのだ。

 

武田に『自由になるためには将来設計が大切だ』と言われて興味を持ったはずの就活だったが、いつの間にか、採用・不採用というところにばかり目が行ってしまっていた。

『夢なきサラリーマン』なんて言葉が自然と出てしまうのもそれが原因だろう。

 

それにしても、武田も親父も、会社員として働くことで自由になれるって考えてるんだな……。

よし、こうなったら、俺も自由をつかむために、何ができるかを考えよう。

 

数日後、会社から内定の書類と、会社のパンフレット・組織図が送られてきた。

50年以上続く、老舗の企業。

パンフレットの表紙には、自社ビルが堂々と載っていた。赤いレンガの壁にはツタがはっていて、従業員たちはビルの前に集合して、笑顔だ。

ものすごく、笑顔だ。

 

そして表紙の目立つスペースに書いてあるのが

 

《MADE IN JAPAN FOR YOU》

 

キャッチコピー。

俺が入社するアオキ物産は、小さな食品工場から農家まで直接訪問して店舗を開拓するため、大きな卸売業者では扱っていない商品まであることが特徴だ。

 

そして最後に、組織図。

まともに見たのは初めてだった。

さまざまな課と、役職や個人の名前が書かれていた。

650名ほどで構成されている組織図を見て、こんなに人がいるんだ、と単純に驚いた。

役職もたくさん書かれていたが、俺が聞いたことがないものも多かった。

 

今まで飲食店でアルバイトをしたことはあったが、その時は店長と副店長くらいしか知らなかった。本社の人はたまに店に来ていたようだが、アルバイトだったのでほとんど接することがなかったのだ。

そんな俺が組織図を見ても、しっかり理解できるわけがない。

それでも、何かすごいな、と感じた。それと同時に、新たな目標を見つけることができた。

 

『俺は、最短で課長になる』

 

想定の年収は、420万円くらい。これを25歳までに達成してやる。

これが、当面の目標だ。

 

年齢を25歳と定めたことにはちゃんと理由がある。

採用面接で昇進についての質問をした際に、課長就任の最年少記録が26歳だという話を聞いたからだ。

最年少記録を更新してやる。

 

そしてこれは、密かに抱いていた『25歳で綾子と結婚する』という目標とも重なるのである。

なんて運命的なんだ。

まぁ結婚の話はさておき、課長になるには何から始めればいいのだろう。

まずは自分の弱いところを、就活の際に用意した自己分析を元に見ていった。

 

自分の一番の弱点として挙げたのが『リーダーシップ』。

 

今まで、部活動にしても、アルバイトにしても、リーダー的な立場になったことがないのだ。

仕事ができるという自負はあった。ただ、人を引っ張るとか、指示を出すというのが苦手なのだ。偉そうにしている感じで、気が引けてしまう。

 

ただ、課長というのは、その名の通り課をまとめる存在であり、社内でも責任ある立場だ。そこには絶対リーダーシップというものが欠かせないはずだ。

 

俺の周りで参考にできそうな人間が、ひとりだけいた。

 

武田だ。

 

あいつには、自然と場をまとめてしまう能力があるのだ。なぜか周りに人が集まる。

バンドを一緒にやっていた時も、あいつがリーダーだった。

 

スマホを取り出し、とにかく思っていることを武田にぶつけてみる。

 

リーダーシップって何だ
TAKEDA
何だよ。急に
いや、リーダーシップが欲しい
TAKEDA
難しいな。それ
何か勉強してる?
TAKEDA
してない。これは見てみたけど
https://wa-ke-up.jp/front__course/445/
すげーな。こんなの見てるの?
TAKEDA
暇な時だけな。就活終わって良かったな。

 

武田は本当にすごい。

聞いたことに対して、答えが返って来なかった時がない。

そして、勉強してないなんて言ってるくせに、ちゃっかり動画を見て学んでいるところも油断できない。

 

早速俺も、紹介してもらった動画を見てみた。

学校の勉強なんかより、よっぽど生活に直結していて面白いな。

 

まずは10月に予定されている内定者懇親会が勝負だ。

どんなやつらが来るんだろう。

 

内定者がいま何を勉強しているのかを調べて、吸収してやろう。

しっかりと就活をしてきたやつらに、今から俺が学ぶ内容がどこまで通用するのか、楽しみでもあり、怖くもある。

 

次回へつづく

【第6話】ライバル?仲間?初めての内定者懇親会

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