【第4話】こんな俺じゃ、就職は難しいのか・・・内定無しの日々

【第4話】こんな俺じゃ、就職は難しいのか・・・内定無しの日々

実際の就活や仕事に使える知識やスキルをストーリーで学ぼう!

【WAKE UPストーリー】毎週金曜日更新中

今どきの大学生、林が紆余曲折を経て成長していく様子を描いた、就活生~新社会人のための、連載型スキルアップコンテンツ。

登場人物紹介(※クリックで拡大)

 

もう受けるところなんて、ないんじゃないか。

 

面接が終わり、一人でカフェに入る。

電源を切りカバンに入れていたスマホを取り出し、着歴を確認する。電話は来ていないようだ。

 

就活サイトを見ていると、メッセージが4通、届いていた。

少し前までは、この瞬間に合格かとうれしくなり、急いでメッセージを確認していたが、今は感情が高まることはない。

そして開いてみると、案の定だ。

 

「林様の今後のご活躍をお祈り申し上げます。」

 

祈られたところで、合格するわけではないだろう。といつも通りの突っ込みを入れておいた。

そのとき、スマホに新たなメッセージが届いた。

 

AYAKO
久しぶり。就活してるんだって?どう?私はやっと決まったよ

 

この名前からメッセージが届くのは久しぶりだった。

IDを消してしまおうと思ったことさえもある。

 

綾子からだった。

 

そして、既読をつけてしまったことを後悔した。

なんて返せばいいのかが分からないのだ。

 

「おーおめでとう!」

 

この一言だけ返した。すぐに既読になった。

 

おーおめでとう!
AYAKO
ありがと!
頑張ってる?
頑張ってるけど、受からない。就活って本当大変なんだね。
AYAKO
そうだよ。ほんとつらかったー
てか、今さらだけどごめん。俺、綾子のこと理解してあげられてなかった。
AYAKO
どうしたの? らしくないよ
私こそごめん。逃げて
そりゃ逃げたくなるよね。
ちゃんと話したい。今から会える?

 

綾子からの返信が止まった。

変なことを送ってしまったのではないかと、心の中で焦った。

コーヒーを飲んで気を紛らわそうとするが、スマホばかりを見てしまう。開いていた就活サイトで、新着企業を確認した。10分くらいは経っただろうか。

 

AYAKO
今どこにいるの?
面接帰りで新宿駅の近くのカフェにいるよ。
AYAKO
ちょうどよかった!!ちょっと待っててね!
15分くらいで行けると思う

 

15分後、待ち合わせ場所の駅前広場に綾子がやって来た。

付き合っていた時は、遅刻するのが当たり前だった綾子が時間通りに来たことに驚く。

 

綾子
久しぶり!!
おっ、おお……元気だね
綾子
そりゃ元気だよ!

 

急に懐かしさがこみ上げてきて、顔を合わせるのも恥ずかしくなった。

そんなこちらの気持ちなど知らず、綾子は笑顔のまま歩いて行ってしまう。

綾子と目を合わせることができず顔を背けたまま、俺も歩き出す。

 

 

どこ行くの?
綾子
久々だし、ちょっと歩こうよ

 

先を進む綾子について行くように歩く。

 

綾子
就活、やっぱり厳しい?
うん。ちゃんと考えてなかった時には想像できなかった。就活ってこんなに厳しいんだね
綾子
本当だよね。世の中、就活生が有利って言われてるけど、そんなの全く感じなかったよ。でも受かる人たちはすぐに受かっちゃうんだろうなあ
けど綾子は努力してたじゃん。英会話習ったりとか
綾子
えっ、なんでそれ知ってるの? 実は就活で出会った子の影響なんだよね。結構いろいろ教えてくれたよ! 一問一答とかやってる?
何それ?
綾子
就活で聞かれやすい質問とかそのポイントを教えてくれるんだよ
えっそれ便利じゃん
綾子
無料で見られるから、あとで使ってみなよ。今はダメだからね!

 

綾子に軽く肩をたたかれる。

 

分かってるって

 

ちょっとしたボディタッチでどきっとしてしまう自分がいる。まるで昔みたいだ。

その後も何気なく歩いていると、見覚えのある建物に突き当たる。

 

ここって……
綾子
そう。覚えてる? 去年の記念日に二人でご飯食べたホテル。就活終わったらもう一回来たかったんだよね! さっ入ろう

 

就活を始めてアルバイトを減らした俺は、情けないことに、自分の財布事情を真っ先に気にしてしまった。

顔に出さないように意識してホテルへと入る。

ホテルのロビーは、相変わらず多くの人が行き交い、ラウンジにはスーツを着た商談中の男性や、楽しそうに話している老夫婦がいた。

そんななか、綾子は迷うことなくエレべーターに乗り、29階にある店に入っていった。

 

綾子
二人で予約した佐藤です
店員
本日はご予約ありがとうございます。窓際の席をご用意しております

 

案内されて驚いた。以前二人で来た時と全く同じ席だったからだ。

会うのはさっき決まったはずなのに。

 

綾子
びっくりしたでしょ!
あ、ああ
綾子
さっき、会いたいって言ってくれたあと、すぐ予約したんだよね。あーこれで私がやりたいことができた!
やりたいこと?
綾子
そう。本当はちゃんと、記念日にやりたかったんだよね。けど、あんなこと言っちゃったからできなくて……。一人で来るのも嫌だったから、キャンセルしちゃったんだ
そうだったんだ。てっきり俺はもう嫌気がさして二度と会ってくれないと思ってた。
けど、ありがとう。あと、本当にごめん。
俺が綾子のことを分かってあげられてなかった。自分勝手だったなって
綾子
いいよ。もう。注文しよ!

 

飲み物が運ばれてきた。

 

綾子
チーンしよ

 

これは乾杯の合図だ。なぜか昔から綾子は、乾杯のことをこう呼ぶのだ。

二人で見つめあって乾杯した。不意に笑顔になってしまう。

 

綾子
そう、それが一番だよ!
やめろよ

 

恥ずかしくなって、うつむきながら、スパークリングワインに口をつける。
シュワシュワとした、軽い痛みにも似た感覚を唇に受ける。

 

綾子
面接の時、笑ってないでしょ。緊張すると顔がこわばる癖あるもんね。絶対笑顔のほうがいいよ!
はいはい。で、綾子はどこに受かったの?
綾子
んー小さな会社だよ。本当はもっと大きな企業に行きたかったけど、すごくいい会社。英語も活かせるし、ちゃんとキャリアプランも出してくれたから、頑張るんだ!

 

綾子を見ると、変わらない笑顔のなかに、以前よりも強い意思を感じさせる目が輝いていた。
変わったな、とぼんやりと思う。

 

綾子
リョウは?
今は食品関係の卸を受けているんだよね
綾子
あっそうか。リョウの実家カフェだったもんね。けどあのまま就活しないで、地元に戻って継ぐのかと思ってた
それは……まぁ、昔はそれでもいいかって思ってた時もあったけどね。けど、実際いまじゃ田舎のカフェなんて結構潰れてるし、ただやるだけじゃ生活できないかなって
綾子
へー考えるようになったじゃん。けどさ、なんで卸なの? 店舗系とかでもよくない?

 

ちょっとした苛立ちと、恥ずかしさを感じた。
やっぱり何も考えていないと思われていたんだ。
この際だから、綾子と会えなかった間に考えていたことを言おう。

 

んーそこは悩んだんだけど、いろんな飲食店とか小売店とかを見てみたいんだよね。実家が細々とやってけてるのもお世話になってる卸の人たちがいるからだし。だから、小売店を支えられる、伸ばせるような商品を卸して、幸せになって欲しいんだ。それで、いずれは親父のお店を継いで、続けていけたらなって
綾子
そっか、いい夢だね! ……私も、もう一回一緒に歩いていいかな
それって……
綾子
ふふ、もう一回チーンしよ?

 

その後もたわいない思い出話をしながら、気付けば閉店の時間になっていた。

その日の夜は、二人で一緒に帰ることにした。

 

再度気合い入れて、本気で就活をしていこう。

笑顔を忘れない、そして、今度こそ綾子との生活を守ろうと心に決めた。

 

次回へつづく

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