【第27話】武田悠斗にとっての企画職③

【第27話】武田悠斗にとっての企画職③

WAKE UPストーリー27話

実際の就活や仕事に使える知識やスキルをストーリーで学ぼう!

【WAKE UPストーリー】毎週金曜日更新中

今どきの新社会人林良介、佐藤綾子、武田悠斗の3人が紆余曲折を経て成長していく様子を描いた、就活生~新社会人のための連載型コンテンツ。

登場人物紹介(※クリックで拡大)

登場人物紹介

 

武田
あー、全然覚えられない……

 

武田は困り果てていた。

先日、先輩の岡崎に『1カ月以内にパソコンをマスターする』と言ったものの、教材を読んでも専門用語が多く、理解できない単語があればその都度調べるしかないのだ。

どうしても時間がかかってしまい、焦りばかりが出てきてしまう。

 

武田
どうしたもんか……

 

武田は、思い切ったことを言った自分に少し後悔していた。

しかし、自分の頑張りを笑うような岡崎を許すわけにはいかなかった。

なんとしてもパソコンをマスターしなければいけない、ともう一度自分に活を入れるため、両頬を軽く叩く。

 

武田
よし、やるぞ。今日も徹夜だ!

 

と、息巻いてはみたものの、パソコンをいじっているうちに、いつの間にか眠りの世界へと落ちていってしまった。

翌朝。

まぶしい朝日に照らされて、武田は目を覚ました。

 

武田
うわ、やばい! いつの間にか寝ちゃってたのか!

 

素早くシャワーを済ませ、朝食もとらないまま会社に向かう。

今日も憂鬱だった。

また岡崎に嫌味を言われるのではないか、と。

しかし大きなことを言った手前、へこんでいる様子は見せられない。

とにかくこの1カ月が勝負なのだと背筋を伸ばして電車に飛び乗った。

会社に着き、さっそく先輩社員たちが使う資料作りに取りかかる。

まだまだブラインドタッチも完璧とは言えないし、WordもExcelも使いこなせない。

未熟なことに変わりはないが、昨日よりも少しだけわかるようになっている自分がいた。

ブラインドタッチはできないけれど、タイピングは前よりも圧倒的に速くなっている。だから、以前よりも資料を早く仕上げることができる。

昨日まで全く理解できていなかったことが、今は少しだけ理解できるようになった。それだけでうれしくてたまらない。

そんな時、自分のことを観察していたのか、岡崎がデスクまでやってきた。また嫌味を言われるのか……、そう思った。

 

岡崎
へえ。少しは進歩したんじゃないの?

 

思いがけない岡崎の言葉に驚き、顔を上げる。

 

武田
へ?

 

思わず間抜けな声が漏れてしまった。

 

岡崎
なんだそのあほ面は
武田
いや、あまりに思いがけない言葉だったので驚いて
岡崎
思ったままを言っただけだけど?
武田
いや、だって岡崎さん、俺まだ全然できないことばっかりですよ
岡崎
それでも、前よりはタイピングも速くなってるし、資料も早く仕上げたじゃないか
武田
『ヘルプ』ばっかり見てますけどね……
岡崎
まあな。……今日、飲み行くか?
武田
は、え? 俺ですか?
岡崎
お前以外にだれがいるんだよ……。じゃそういうことで。仕事早く終わらせろよー

 

武田は岡崎が去った自分のデスクで一人ぽかんとしてしまった。

まだ飲みに行くかどうかの返事もしていないのだが……。

――そして仕事終わり。

岡崎と約束通り飲みに行くことになった。

会社の周辺は飲食店が多く、近場の方がいいだろうと適当な店に入った。

店内は流行歌が流れていて、クーラーがガンガンに利いていた。少し寒いくらいだった。

生ビールを注文してそれを待つ。

 

岡崎
別にまだお前のこと認めたわけじゃないからな

 

岡崎は運ばれてきたジョッキを早速飲みながらそう口にした。

 

武田
まあ、そうですよね。まだまだだってのは自分が一番わかってます
岡崎
武田はさ、いままで苦労とかせずに生きてきたタイプの人間だろ?

 

笑いながら岡崎はそんなことを言う。自分にだって色々あった、とも思うが、確かに周囲に比べたら特別苦労はせずに過ごしてきたのかもしれない。

 

武田
楽してきたわけじゃないですが、まあ、そうかもしれません。なんでですか?
岡崎
見りゃわかるよ。顔に書いてある。……というのはまあ冗談だが、理由はもっと別だ。お前、入社してもう2カ月以上経ってるのに、パソコン覚えようともしてなかったじゃないか
武田
いや、パソコンは使っていくうちにわかるようになるかなあ、と。自分ならなんとかなるだろう、と。正直舐めてました
岡崎
だよな。その甘えが出てたんだよ。態度に。だから気に食わなかった

 

岡崎は早くも1杯目のビールを飲み干して、ハイボールを注文する。

武田はというと、苦手な先輩の前で緊張してしまい、まだ1杯目のビールが半分以上残っている。

 

岡崎
おいなんだ、全然飲んでないじゃないか。今日は俺の奢りなんだから、じゃんじゃん飲めよ
武田
はい、では……

 

武田は残りのビールを一気に流し込んだ。岡崎はそれを見て少しだけ驚いていた。

少し酔いも回った武田は、気になっていたことを聞いてみた。

 

武田
あの、岡崎さん
岡崎
なんだ
武田
どうして、俺のこと嫌いなのに飲みに誘ってくれたんですか?
岡崎
それはだな。お前が俺に似てるからだ。イライラするのは、お前のいまの姿が、入社したての頃の俺とそっくりだったからだな

 

武田は驚いた。岡崎は嫌味ではあるが仕事はできる。今の自分とは似ても似つかない。

そして自分もまた、岡崎ほど嫌味ではない。

 

武田
嘘ですよね?
岡崎
いや、ほんとだよ。パソコンできなくて、上司に嫌味言われたりしてさ。俺も、入社するまで苦労っていう苦労はしたことなかった。だから会社入ってから苦労してさあ。毎日のようにいびられたよ
武田
今はそんな面影ないですよね……。すっごい仕事できるイメージです。悔しいですけど
岡崎
はは。まあな。俺が仕事できるかどうかは別として、努力はしてきたつもりだよ
武田
じゃあ、俺にぐちぐち嫌味言ってきてたのって……
岡崎
ぐちぐち?
武田
あ、いや。すみません……

 

岡崎はふっと笑って、嫌味でも言わなきゃやる気にならなかっただろ? と言った。

武田は、いままでの説教は自分を成長させてくれるためのものだったと知って、不覚にも泣きそうになってしまった。

 

武田
岡崎さん! 俺、感動して泣きそうっす!
岡崎
なに言ってんだよ。男が泣くなよ
武田
俺、約束通り、絶対に1カ月以内にパソコン、マスターしてみせるんで! 期待しててください! マジで頑張ります!!
岡崎
お、いいねえ。その勢い。まあ、でも今日は帰ったら寝ろ。今日も会社で眠そうな顔してたぞ。睡眠時間削ってやってるんだろ?
武田
うす、寝ます!
岡崎
ほらほら、とりあえず2杯目飲んで落ち着け

 

武田は岡崎の真似をしてハイボールを頼んだ。そして、乾杯した。

武田は、いままで胸につかえていたものが、すーっと取れたような気がして、久しぶりに美味いと思える酒を飲んだ。

 

武田
そんなに飲ませてどうするつもりなんですか! 岡崎さん!
岡崎
お前の睡眠時間と勉強時間を削って、また嫌味言ってやろうと思ってな

 

だが、やはり岡崎のことはまだ好きになれそうにない。

次回へつづく

【最終回】武田悠斗にとっての企画職④約束の1カ月と忘れられない夜

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