
【WAKE UPストーリー】毎週金曜日更新中
今どきの新社会人林良介、佐藤綾子、武田悠斗の3人が紆余曲折を経て成長していく様子を描いた、就活生~新社会人のための連載型コンテンツ。
登場人物紹介(※クリックで拡大)
綾子は、いままでにないほどやる気に燃えていた。
リョウと仲直りできたから、というのもある。プライベートも仕事もうまくいくのが一番だと、リョウとケンカをしたときに思った。
あのときは、本当に参っていた。情緒不安定だったし、いつも暗い気持ちで過ごしていた。
もう二度とあんな思いはしたくない。
綾子はいま、本気で仕事に向き合おうとしていた。
綾子は廊下で前を歩いていた木村さんを呼び止めた。
綾子は威勢よく返事をした。これからどんどん企画を出そう。そういう意気込みも込めて。
綾子はまず、どんな企画を出したらいいのか試行錯誤した。実際にこれまで出た自社製品を何度も見直したり、あらゆるショップに顔を出したり、顧客がどんなものを手に取って購入しているのかまで観察した。
そうして試行錯誤するなかで、綾子はアロマディフューザーに目をつけた。
自分が落ち込んでいた時期に、少しでもリラックスできる時間があったら少しは気持ちが楽になったのに、と思ったからだ。
香りにもこだわり、リラックス効果がある柑橘系やラベンダー系の香りのあるアロマを合わせて企画してみた。
昼休み。
綾子は木村さんと一緒にランチに出かけた。
木村さんは少し考えて、発想は悪くないんだけどね、と続ける。
綾子はフフッと笑った。
もらった人が喜んでくれて、しかもリフレッシュできる。贈った側は相手に感謝と思いやりの心を持って、プレゼントできるような……。
テーマは人をいたわる心です!
綾子は木村さんに満面の笑みを向けた。木村さんはそれを見てにこっと笑った。
私たちは笑った。自分でもいいアイデアだと思っていたからほめてもらえてうれしかった。
木村さんは初めて出した企画が通ったという強者だ。そんなすごい人に自分のアイデアをほめてもらえることは誇りだった。
それからは綾子にとって忙しい日々が始まった。プレゼン資料を作るのに何度も徹夜したし、何度も、商品化するにあたって、本当にこれでいいのか、と試行錯誤した。
たまには、弱気になったりもした。自分にはやっぱり企画職は向いていないのではないかと思うこともあった。そんなときはリョウに電話して励ましてもらった。
電話を切ったあと、綾子は充実感に満ちた幸せな気持ちで再び企画書作りに打ち込むことができた。
そうして、綾子の地道な努力が実って、綾子のプレゼンは部署内で高評価を得ることができた。あとは実際に会議に出すだけとなった。
昼休み、綾子は缶コーヒーを買って屋上で一息ついていた。
綾子は緊張の糸がぷつりと切れたように、椅子に座りこんだ。
悩んでたことも寂しい思いをしたことも、いまこうやって商品企画としてアイデアを出せて本当に良かった。
人生で無駄なことなんて一つもないですね!
綾子は清々しい気持ちでいっぱいだった。そんな綾子の心を映し出すように空は快晴だった。雲ひとつない青空に、温暖な気候。すべてが綾子を癒やしてくれた。
綾子は、早くリョウに会いたくてたまらなかった。この青空をリョウも見てくれていたら、うれしいと思った。私たちはこの空の下、つながっている。つらくて、もどかしくて、悲しくて、もがいていても。たとえそれがどんなときでも――。
私とリョウはつながっている。