
【WAKE UPストーリー】毎週金曜日更新中
今どきの新社会人林良介、佐藤綾子、武田悠斗の3人が紆余曲折を経て成長していく様子を描いた、就活生~新社会人のための連載型コンテンツ。
登場人物紹介(※クリックで拡大)
企画職に就いたばかりで、まだ右も左も分からない綾子にふたつ年上の木村さんという先輩がいる。彼女は綾子の指導係だ。
彼女は明るい笑顔で綾子を安心させてくれた。
頼れる先輩といった印象だ。小柄だが、しっかりと自分を持っていそうな大きな瞳に綾子は内心あこがれもしていた。
綾子はしばらく考え込んでから、
木村さんは、ふふっと笑ってから丁寧に説明し始めた。
商品企画はその名の通り、自分のアイデアを商品化する仕事ね。宣伝はメディアなんかに広告を配信したりして、サービスを消費者に知ってもらう仕事。
広報も宣伝と似たイメージがあるけど、どちらかというと代理店とかに広告をお願いするんじゃなくて社内のリソースで商品の認知を向上させるイメージね。
営業企画は営業部門が目標達成するための戦略を立てて、その達成をバックアップする仕事……。って、一気に言ったらごちゃごちゃになっちゃうか
綾子は本心から驚いていた。自分が就いた「企画職」という仕事は面白いのかどうか内心疑ってもいたが、これだけの人たちが関わっているのなら、やりがいのある仕事なのかもしれない、そう思った。
木村さんはちょっと得意げな顔をしていた。
木村さんは楽しそうに笑った。そして続けた。
綾子は木村さんに促され、声が聞きたいということもあり、久しぶりに電話してみることにした。LINEのやり取りはしていたものの、最近は1日1通やり取りしたらおしまいになることも多かった。
綾子は家に帰り部屋着に着替えるなり、リョウに電話をした。
リョウはすぐに電話に出てくれた。
綾子はつれない態度のリョウにだんだん苛立ち始めていたが、ぐっと抑えて、近況報告をすることにした。
綾子は言葉が出なかった。「自分だけ仕事が大変で仕方ない」みたいな言い方が気に入らなかった。綾子は綾子なりに、リョウを気遣ってこれまで悩みも明かさなかったというのに。
綾子はいつの間にか言い合いになっているのに気づいて後悔した。久しぶりに声を聞いて癒やされたかっただけなのに。
でもリョウのことは許せなかった。まるで自分だけが大変みたいな言い方をして、こちらを全然気遣ってくれない無神経さ。そういうところが昔とちっとも変わっていない。
綾子はただ、リョウに認めてもらいたいだけだった。頑張ってるね、そう言ってほしかっただけなのに。
そう言ってリョウは電話を切った。綾子は唖然としていた。思わず涙がこぼれ落ちる。
綾子はしばらくリョウのことを忘れて仕事に没頭することに決めた。
リョウなんていなくたって、私には仕事がある。自分のアイデアを商品化するという素敵な仕事が――。
そう言い聞かせて、お酒も強くないのに冷蔵庫に入っていた缶チューハイを開ける。
一旦リョウのことは忘れよう。そう思いながら。