【第22話】佐藤綾子にとっての企画職②

【第22話】佐藤綾子にとっての企画職②
【第22話】佐藤綾子にとっての企画職②
実際の就活や仕事に使える知識やスキルをストーリーで学ぼう!

【WAKE UPストーリー】毎週金曜日更新中

今どきの新社会人林良介、佐藤綾子、武田悠斗の3人が紆余曲折を経て成長していく様子を描いた、就活生~新社会人のための連載型コンテンツ。

登場人物紹介(※クリックで拡大)

企画職に就いたばかりで、まだ右も左も分からない綾子にふたつ年上の木村さんという先輩がいる。彼女は綾子の指導係だ。

 

綾子
木村さん、色々とよろしくお願いします
木村
こちらこそよろしくね。分からないことがあったら、何でも聞いて!

 

彼女は明るい笑顔で綾子を安心させてくれた。

頼れる先輩といった印象だ。小柄だが、しっかりと自分を持っていそうな大きな瞳に綾子は内心あこがれもしていた。

 

木村
佐藤さんは、どんな仕事をやっていきたいって思う?

 

綾子はしばらく考え込んでから、

 

綾子
そうですね。企画職に就いたことだし、どんどん自分のアイデアを商品化していけたらいいなって思います
木村
あら、佐藤さん。企画職の仕事って商品企画だけだと思ってない? 企画職の種類にもいろいろあるのよ
綾子
そうなんですか?

 

木村さんは、ふふっと笑ってから丁寧に説明し始めた。

 

木村
企画職は大きく分けて4つに分かれてるの。一般的なのは商品、宣伝、広報、営業。この4つね。

商品企画はその名の通り、自分のアイデアを商品化する仕事ね。宣伝はメディアなんかに広告を配信したりして、サービスを消費者に知ってもらう仕事。

広報も宣伝と似たイメージがあるけど、どちらかというと代理店とかに広告をお願いするんじゃなくて社内のリソースで商品の認知を向上させるイメージね。

営業企画は営業部門が目標達成するための戦略を立てて、その達成をバックアップする仕事……。って、一気に言ったらごちゃごちゃになっちゃうか

綾子
……そうなんですね。そんなに種類があるんだ……。私は企画職と言えば商品企画だと思ってました!

 

綾子は本心から驚いていた。自分が就いた「企画職」という仕事は面白いのかどうか内心疑ってもいたが、これだけの人たちが関わっているのなら、やりがいのある仕事なのかもしれない、そう思った。

 

木村
確かに商品企画のイメージは強いよね。なんてったって、自分のアイデアが商品化されるなんて夢みたいじゃない。私も商品企画に配属されてから2年経つけど、初めて企画が通った時はうれしかったなあ……
綾子
どんな企画だったんですか?

 

木村さんはちょっと得意げな顔をしていた。

 

木村
ほら、うち輸入雑貨の会社じゃない。自社でも家具とか雑貨とか企画してるのよ。それで、子どもも大人も安心して使える椅子、ってコンセプトで企画したの。うれしかったなあ。初めての企画だったの
綾子
初めての企画が通ったんですか!? すごい
木村
色んな人にサポートしてもらってだけどね。子どものいる友達の家に行って、どういうのが欲しいのか聞いたり、彼氏と家具屋巡りしたり。商品企画ってとにかく自分の足でリサーチすることが大切なのよ。彼氏は営業企画なんだけどね
綾子
え、もしかして社内恋愛ですか?
木村
まあ、ぶっちゃけるとそうなるわね

 

木村さんは楽しそうに笑った。そして続けた。

 

木村
お互いに同じ企画職でも種類は違うから、お互いがお互いの大変さを知ってるっていうか……。彼は私たちが作ったものを必死で売り込んでくれるでしょう。もう有難くてね
綾子
彼氏かあ……
木村
佐藤さんは彼氏いる?
綾子
いるんですけど、なかなか会う時間ないんです。あっちは今仕事に夢中みたいで
木村
支え合える関係が理想よね。思い切って今日電話してみたら?

 

綾子は木村さんに促され、声が聞きたいということもあり、久しぶりに電話してみることにした。LINEのやり取りはしていたものの、最近は1日1通やり取りしたらおしまいになることも多かった。

綾子は家に帰り部屋着に着替えるなり、リョウに電話をした。

 

もしもし

 

リョウはすぐに電話に出てくれた。

 

綾子
あ、リョウ? 声聞きたくなって電話しちゃった
ふーん

 

綾子はつれない態度のリョウにだんだん苛立ち始めていたが、ぐっと抑えて、近況報告をすることにした。

 

綾子
リョウは最近仕事どう?
忙しくしてるよ。暑いなか営業で外回りするから、体調管理も大変で
綾子
そっか、大変だね
綾子は全然電話してきてくれないしさ、俺のことなんて忘れて仕事に没頭してるのかと思った
綾子
……

 

綾子は言葉が出なかった。「自分だけ仕事が大変で仕方ない」みたいな言い方が気に入らなかった。綾子は綾子なりに、リョウを気遣ってこれまで悩みも明かさなかったというのに。

 

体調悪いって言ったら、昔だったら家に来て、看病してくれてたのにさ。冷たいよなあ
綾子
……リョウって無神経だよね
何が?
綾子
外回りで体調悪いくらい何よ。営業なんだから当たり前でしょ? それにそういう体調管理もできてこそ、立派な社会人なんじゃないの? ほんとダメね
なんだよ、その言い方。突っかかるなあ
綾子
当たり前のこと言っただけだけど? じゃあ、リョウは今私が体調悪くなったら駆けつけてきてくれるの?
いや、まあ、それは、具合にもよるけど
綾子
ほらね。自分ばっかり甘えちゃって。情けない
綾子、お前何のために電話してきたんだ? 俺をイラつかせるための電話なら切るぞ

 

綾子はいつの間にか言い合いになっているのに気づいて後悔した。久しぶりに声を聞いて癒やされたかっただけなのに。

でもリョウのことは許せなかった。まるで自分だけが大変みたいな言い方をして、こちらを全然気遣ってくれない無神経さ。そういうところが昔とちっとも変わっていない。

綾子はただ、リョウに認めてもらいたいだけだった。頑張ってるね、そう言ってほしかっただけなのに。

 

綾子
リョウは全然分かってない。私たち、やり直さない方が良かったかもね
そうだなー。明日も忙しいし、切るぞ。おやすみー

 

そう言ってリョウは電話を切った。綾子は唖然としていた。思わず涙がこぼれ落ちる。

 

綾子
リョウの馬鹿……。何で頑張ってるねって、ひと言も言ってくれないのよ。いつも自分の話ばっかりなんだから

 

綾子はしばらくリョウのことを忘れて仕事に没頭することに決めた。

リョウなんていなくたって、私には仕事がある。自分のアイデアを商品化するという素敵な仕事が――。

そう言い聞かせて、お酒も強くないのに冷蔵庫に入っていた缶チューハイを開ける。

一旦リョウのことは忘れよう。そう思いながら。

 

次回へつづく

【第23話】佐藤綾子にとっての企画職③

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