【第21話】佐藤綾子にとっての企画職①

【第21話】佐藤綾子にとっての企画職①

【第21話】佐藤綾子にとっての企画職①

実際の就活や仕事に使える知識やスキルをストーリーで学ぼう!

【WAKE UPストーリー】毎週金曜日更新中

今どきの新社会人林良介、佐藤綾子、武田悠斗の3人が紆余曲折を経て成長していく様子を描いた、就活生~新社会人のための連載型コンテンツ。

登場人物紹介(※クリックで拡大)

佐藤綾子は悩んでいた。

というのも、企画職に配属されてしまったからだ。

綾子は元々、一から何かを作るのが得意なタイプではなかった。

何かを企画するなんて、好きではあるだろうけど、胸を張ってひとに提案できるものではない。

自分には、誰かをサポートするような、地味な仕事が向いていると思っていたのだ。

販促物や営業資料作成、営業向けのキャンペーンなど、営業や小売店がより売りやすくするプランニングをする仕事なんて自分には向いていない。綾子はそう思っていた。自分に本当に企画職なんていう仕事が務まるのだろうか。

そんな不安を紛らわせるために、綾子は大学の友人で同じく企画職になった友達に相談してみることにした。

大学でも一緒に講義を受けることが多かった彼女は、堂々としてハキハキしているし、なにかアドバイスをくれるかもしれない。

早速電話をかけてみようと思い、仕事を終えた綾子は友人の美咲に電話をかけてみた。

 

綾子
もしもし、美咲?
美咲
綾子じゃーん! 久しぶり! 元気だった? 全然連絡くれないんだもん。冷たいやつー

 

私たちは笑い合った。確かに卒業してから今まで、連絡した回数は数えるほどしかないかもしれない。だけど、いつでもこうして、変わらず接してくれるのはうれしかった。

 

美咲
どうしたのよ、急に電話なんかかけてきて。もしかして林君と別れたの?
綾子
ははは。そうじゃないよ
美咲
じゃあなに?
綾子
実はさ、私、入った会社で企画部に配属されちゃってさあ
美咲
へえー、私と同じじゃない
綾子
うん、そうなんだけどね。全く自信ないの。第一、昔から何かを作ろうとかそんな意欲湧いたことなかったし。裏で営業の人をサポートするとか、そういう仕事でもいいんだけどなあ
美咲
そうなんだ
綾子
美咲は企画職で、うまくやっていけてる?

 

美咲はうーんと考える素振りを電話越しでしていた。

 

美咲
私は元から企画職に配属されてうれしかったタイプだからね。だってさ、一から企画するなんて、こんな楽しいことなくない? やっぱりどうせなら仕事は楽しんでやりたいよね
綾子
そりゃあ、そうだけどさあ……
美咲
企画職は、アイデアを生み出すクリエイティブな仕事だし、同時に、クライアントや消費者が求めるものは何かを、客観的に分析する力も求められるからねえ。確かに向き不向きあるかも
綾子
やっぱり、私には向いてないんだ……
美咲
こらこら、そういうことを言ってるんじゃなくて

 

美咲はふうーと深呼吸してから続けた。

 

美咲
それが逆に楽しいってわけよ! 

消費者が何を求めているのかを考えながらアイデアを練って、実現していくって、結構楽しいものよ? 

綾子も実際にやってみれば分かると思うけど

綾子
そうかなあ
美咲
そうだって! 自信を持ちなよ! 綾子、器用だからうまくいくと思うよ。何でもそつなくこなすっていうかさ。そういうところ、羨ましかった
綾子
何よ、急にー

 

綾子はベランダに出て空を見上げた。東京の空は星が少ない。

そのことを時々寂しく感じることがある。

なんだか自分はひとりぼっちのような気がする、そんな夜がたまに訪れる。

 

美咲
林君とも、トントン拍子に付き合い始めたもんね。ちょっと嫉妬した
綾子
ちょっと、どうしたの美咲?
美咲
ううん、なんでもない

 

美咲は何かをごまかしているようだった。

 

綾子
で、美咲は企画職の仕事どう?
美咲
楽しいよ! 自社の商品やサービスについて深い知識があることはもちろん、市場ニーズや競合他社の動向を把握して、今後のトレンドを予測する力も重要なの。

そのために、常にアンテナを張って関連ニュースやマーケット情報を収集する熱意も求められるんだけど、まあ大変で。

だけど、やりがいはあるし、自分の企画したものが評価されるとうれしいよね、やっぱり

綾子
今の仕事、楽しいんだね
美咲
うん! 楽しいよ。毎日新しい発見あるし
綾子
私さ……

綾子は誰にも話したことのなかった胸の内を思い切って美咲に聞いてもらおうと思った。

綾子
私ね、仕事が楽しいと思ったことがないの。学生時代のカフェのアルバイトもそう。

やりがいとか、自分がそこにいる存在意義みたいなものが感じられなくて、いつも浮いてた気がする。

大学もみんなが就活してたからやってただけで、本当に何がやりたいのかは、はっきり分かってなかったんだ。

私なんていなくても、会社は回るし、なんとかなるし……

美咲
綾子、もしかして病んでる?
綾子
そうかもー! 慰めてー!

 

綾子は明るく取りつくろってみせた。本当はすごく悩んでいたのに。

 

美咲
こういうことって彼氏に聞いてもらった方がいいんじゃないの? 私なんかより
綾子
今日は美咲に聞いてもらいたかったの。ほら、美咲もちょうど企画職だし、何かやる気に繋がればなあ、と思って
美咲
綾子はさ、継続力があるじゃない? 

私なんかはダイエットも学生時代はバイトも長続きしなかったけど、綾子は決めたことは毎日こつこつちゃんとやってたじゃない。

就職活動だって、そんな綾子だから、今の会社にすんなり入社できたんじゃないかな。

私なんてぎりぎりで今の会社に内定決まったから、今度こそは絶対に辞めないようにって必死だよ! 

だから、綾子がその気になれば、できないことなんてないんじゃないかと思うよ。本当に羨ましい

綾子
私なんて……
美咲
こらこら! せっかくいい会社に入れたんだから、弱気にならない! 現に私に電話してきたのだって、逃げようなんて気はさらさら無くて、どうやったら頑張れるか、うまくいくのかを聞きたかったんじゃないの?

 

美咲に核心を突かれた気がしてどきっとした。美咲は本当に私のことをよく分かっているなと思った。

しかし度々口にする『嫉妬してた』や『羨ましい』の言葉の真相はよく分からなかった。

 

綾子
ありがとう、美咲。話聞いてもらえてすっきりした。何か頑張ろうって思えてきたよ
美咲
綾子にできないことなんてないでしょ。一度決めたら納得いくまで最後までやり通すタイプなんだから。企画職、向いてると思うよ
綾子
そうかなあ
美咲
そうだって! 少しは元気出た?
綾子
うん! 何か私なんかでもできるかもしれないって思えてきた!
美咲
こら! 私なんかとか言わないの。私だってできるって言わないと!
綾子
私だって企画職務まるんだー!
美咲
そうそう、その意気だよ! 頑張ってね! また何かあったら連絡して
綾子
うん! 元気出た! 本当にありがとう

 

電話を切り、ベッドにごろんと横になり宙を仰いだ。

私は頑張れば何だってできるんだ、そう自分に言い聞かせた。企画職の仕事だってばりばりやってやるんだ、と意気込んでいた。

綾子は美咲がいきいき仕事しているらしいことを知って羨ましくもあり、ほっとしている自分もいることに気づいた。

美咲はたくましくなったな、と思う。

学生時代は講義の単位がとれなくて卒業も危うかったあの美咲が、今は仕事に誇りを持って働いている。

もしかしたら、仕事というのは、いつの間にか夢中になっていくものなのかもしれないと思った。

 

綾子
よし! 明日から頑張るぞ!

 

綾子は熱いシャワーを浴び、ベッドに潜った。

すっかり前向きな気持ちになれていることに気づいて、美咲に感謝しながら、眠りについた。

 

次回へつづく

【第22話】佐藤綾子にとっての企画職②

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