【第20話】自分の将来像って?年齢によって変わる営業の姿

【第20話】自分の将来像って?年齢によって変わる営業の姿
自分の将来像って?年齢によって変わる営業の姿
実際の就活や仕事に使える知識やスキルをストーリーで学ぼう!

【WAKE UPストーリー】毎週金曜日更新中

今どきの新社会人、林良介が紆余曲折を経て成長していく様子を描いた、就活生~新社会人のための連載型コンテンツ。

登場人物紹介(※クリックで拡大)

会社から戻り、家の郵便受けをチェックすると、やけに立派な封書が届いていた。

どうやら親戚が結婚するらしい。

結婚か……。

俺もいつか結婚して子どもができたりするんだろうか。

綾子とはいずれ結婚したいと思っているものの、まだ具体的にイメージできておらず、どうしても理想ばっかり思い描いてしまう。

リアルには感じられていないのだ。

社会人1年目でそんなことを考えるのも生意気なのかもしれないが、周りで結婚の話がでたりすると、どうしても考えてしまう。

将来設計を早めにしておいて悪いことはないだろうから、先のことをもっときちんと考えておいてもいいのかもしれないな……。

綾子との結婚についても、仕事についても。

翌日、そんなことが頭に残ったままいつものように会社に向かった。

朝礼で山田部長が話している。

 

山田
3日後にキャリアコンサルタントの人が来る。相談に乗ってもらいたいやつは乗ってもらえー。転職したいやつもいるかもしれんしな!

 

周囲から笑い声が上がる。

転職なんてまったく考えていないし、キャリアコンサルタントと聞いても、いまいちぴんと来なかった。

ただ、自分の将来がどうなっているのか分からなくて、不安を抱えているのは事実だ。俺はキャリアコンサルタントに話を聞いてもらいたいと思い、相談してみることにした。

当日。

社内の面談スペースに立ち寄った。

 

森本
こんにちは。はじめまして。私、キャリアコンサルタントの森本です

 

面談スペースに入ると、30代半ばくらいの女性に名刺を渡される。眼鏡をかけて髪をひとつに束ねていて、なんとなく厳しそうな雰囲気がある人だ。

俺も自分の名刺を手渡した。

いよいよ、面談がスタートする。何を話したらいいのかよく分からずにしばらく俺が黙っていると、

 

森本
転職をお考えだったりしますか?

 

と、相手が話しかけてきた。

 

いや、正直それはないんですけど、

今の職場は自分の営業スタイルを確立した人がたくさんいて、自分がこれから30代……とか年齢を重ねていった時に、

ちゃんと自分の営業ができているのか不安なんです。結婚とかも考えると、仕事とか給料のことって大事だろうし

森本
自分の仕事に不安を感じていると
はい。ほかの先輩方みたいに自分がしっかり仕事できるようになるのかが不安なんです。年齢によって営業職のあるべき姿って違うような気もしますし……
森本
それじゃあ、一気に職種を変えてみるのはいかがでしょうか。今の営業が不安なら、今度はこつこつやっていける事務職とか

 

俺はそれを言われて、自分が事務職をしている姿を想像してみようとした。が、全然想像できなかった。

 

俺には事務職は向いていないと思いますね
森本
何か希望の職種とか向いてそうだなと自分で思う職種はありますか?

 

俺は考えてみた。ゆくゆくは実家の喫茶店を継ぎたいと思っているため、食品には携わる仕事を今後も続けていきたいと思う。

 

実家が喫茶店なんですけど、将来はそこを継ぎたいと思っています。だから、食品に携わる仕事なら、何でも……
森本
でしたら、食品工場の製造や管理栄養士の資格を取るという手もありますよ。食品工場の製造や管理栄養士なら、食品関係に携わることもできますし
そうですね……
森本
なんだか浮かない顔してますよ

 

俺はいつの間にかうつむいていたらしい。ぱっと顔を上げると、森本さんは厳格そうなイメージとは程遠い笑みを浮かべていた。

 

ゆくゆくは喫茶店を継ぎたいと思っていたから、この会社にも入社を決めたんです。何か将来のためになるんじゃないかと思って。

だけど、何だか最近、この会社で30歳になっても営業の仕事を続けている自分のイメージが湧かないんです

 

森本さんはその言葉を聞いて、考え込んでいる様子だった。

 

森本
林さんは営業の仕事が好きなんですね

 

俺ははっとする。

 

森本
今回ここに来たのだって、転職を考えているというよりも、営業としてどうやっていったらいいのかを相談しに来たって印象を受けますよ
そうなんですかねえ

 

俺は思わず苦笑した。そうか、俺はこの仕事が好きなのか、と気づいた。だから、真剣に悩んだり、苦しんだり、迷ったりするのだ、と。

 

森本
林さんには、今の会社がぴったりですね
どうやらそうみたいです

 

俺たちは笑いあった。何のためにこんなに悩んでいたのだろうと思うと、ちょっとおかしかった。将来のことは、今悩んでいても仕方ないじゃないか。今をきちんとこなしていけば、年齢を重ねた時にはきちんと結果として返ってくるはずだ。

 

森本さん、話聞いてくれてありがとうございました。今の仕事、もっと頑張ってみようと思えました!
森本
それは良かったです。お仕事頑張ってください

 

俺は面談スペースを出た。清々しい気持ちでいっぱいだった。

そして、この仕事を頑張っていこうと、自分に喝を入れるように両頬を叩いた。

職場に戻ろうとすると廊下で山田部長と出くわした。

 

山田
おおー、林か。ん? この廊下を渡ってきたってことは、さてはキャリアコンサルタントの相談を受けてきた帰りだな?

 

山田部長は少しふざけた様子で、俺に詰め寄った。興味津々という感じで。

 

山田
どうだったんだよ、面談は?
俺、最近ずっと悩んでたんです。

将来どんな営業をしているのか全く見当もつかなくて。

ちゃんとした営業マンになれるのかも不安で……。それで面談受けようと思ったんです。

それで、森本さんていうキャリアコンサルタントの人に相談して。

将来、実家の喫茶店を継ぐために食品に携わる仕事がしたいって言ったら、いろいろ勧めてくれたけど、結局営業が合ってるみたいです、俺

山田
そうか。そんな話をしたのか。悩んでたんだな

 

山田部長は続けた。

 

山田
うちの会社には自分の営業スタイルを確立している人が多いからなあ。そりゃ、翻弄されるよな。でも俺も林は営業が合ってると思うぞ
何でですか?
山田
俺が林くらいの時は、自分が将来どんな営業しているかなんて、全く悩まなかったし思ったこともないからなあ。

真剣に営業として自分と、お客さんに向き合っている証拠なんじゃないのか? そういう奴は仕事に対しても真剣だから、きっといい成績を残せる営業マンになると思うぞ

そうですかね
山田
そうだ! もっと自信持て

 

俺はほっとしていた。山田部長にそう言われて、確信できた。俺は悩んでいる分だけ成長できるんだ、と。そしてうれしかった。山田部長のような尊敬できる上司にそんなことを言ってもらえるという事実が。

 

ありがとうございます。俺もう迷ったりしません。必ず立派な営業マンになります!
山田
その勢いだ。頑張れ!

 

俺は、ここ数日のどんよりした気分が一気に晴れていくのを感じていた。将来のことを真面目に考えるのは、今をもっと頑張ってからでも遅くない、と。

そしてアオキ物産にしっかり根を下ろし、一生懸命働こうと決めた。 

 

次回へつづく

【第21話】佐藤綾子にとっての企画職①

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