【第17話】新しい出会い。自分なり営業スタイル

【第17話】新しい出会い。自分なり営業スタイル

 【第17話】新しい出会い。自分なり営業スタイル

実際の就活や仕事に使える知識やスキルをストーリーで学ぼう!

【WAKE UPストーリー】毎週金曜日更新中

今どきの新社会人、林良介が紆余曲折を経て成長していく様子を描いた、就活生~新社会人のための連載型コンテンツ。

登場人物紹介(※クリックで拡大)

WAKE UPストーリー登場人物紹介

 

ある日、仕事が終わり家に帰ってから、俺はずっと考え事をしていた。

保険外交員の橋本さん然り、元不動産営業の荒川さん然り、ちゃんと自分の『営業スタイル』を確立させている。

2人の営業スタイルは全く違うものだったが、きちんと成績を伸ばしているという点では変わらない。

俺はうらやましかった。この先、自分がどんな営業マンになっていくのか見当もつかなかった。

そんな時、電話がかかってきた。

武田からだった。

 

武田
もしもし林? 久しぶりに電話してみた。元気でやってるか? たまには飲みに行こうぜ
今はそんな気になれないんだよなあ

 

俺はベッドにごろんと横になりながら、武田と話を続ける。

 

武田
またなんか悩みごとか?
まあ、少し考えさせられてる
武田
考える? お前が? らしくないな

 

俺は少しむっとして、体を起こす。

 

失礼だな。俺にだって考えごとのひとつやふたつあるんだよ
武田
まあまあ、そんなに熱くなるなって。仕事のことだろ?

 

大学時代長い時間を一緒に過ごしただけあって、やはり武田は俺のことをよく分かっている。

 

そう。仕事のこと。俺ってさ、どんな営業スタイルが向いてると思う?
武田
さあ……。俺はお前の仕事ぶりは見たことないからな。でも頑張ってるみたいじゃん、お前
最近できる営業マン2人に会って、圧倒されちゃってさ。どっちもめちゃくちゃ売れる営業なんだけど、営業スタイルが全然違うんだ
武田
どう違うんだよ?

武田は俺の話に真剣に耳を傾けてくれている。それは純粋にうれしかった。

ひとり目は保険外交員のおばちゃんなんだけど、きっちりした人で嫌味がなくて親身になって話を進めるタイプ。

もうひとりは俺の会社の先輩で、元不動産営業の人。

とにかくガッツがすごくて、そのものすごい熱意で相手がさらっと契約しちゃうってタイプ

武田
まあ、営業にもいろんなやり方があるんだろうな。お前も自分らしい営業スタイル見つけなよ
簡単に言うなよ。俺には真似できそうにない……
武田
まあ、俺は営業については詳しくわからないからな……。あ、そうだ。お前、浅井って覚えてる? 大学で同じゼミだった
顔見ればわかるかも。お前は仲良かったのか?
武田
まあ、割とな。そいつ今、IT業界で営業の仕事してるんだけど、今度3人で飲みに行かないか?

 

俺は、いい刺激になりそうだと思い、即OKした。

数日後。

金曜日の仕事終わりに武田と合流して居酒屋に向かう。よくあるチェーン店で、店内は俺たちと同様、仕事帰りの会社員らしき人たちでにぎわっていた。

店員に予約している旨を伝えると、すぐに個室に案内された。

すると、そこにはすでにスーツ姿の男が座っていて、おしぼりで手を拭きながら俺たち2人のことを待っていた。

 

浅井
よう武田! 久しぶりだな! お! 林くんも久しぶり
一緒のゼミだったけど、俺ら話したことなかったよね?
武田
同じゼミで話したことないとか、お前ら何なんだよ

 

俺たちは笑いあった。浅井は話しやすくて豪快な笑い方をする男だった。

 

武田
こいつ、食品卸の営業やってるんだけど、自分の営業スタイルで悩んでるらしいから、相談に乗ってやってくれ
浅井
いいぜ。とは言え、IT営業と林くんの業界じゃ、やり方がかなり違うと思うけどな

 

俺たち3人はとりあえず生ビールと、適当につまみを注文する。

 

浅井
俺の会社はパッケージソフトとかシステム開発とかWEBサイト制作とか、ITに関することならとにかく幅広くやっててさ。

それを売るのが俺の仕事ってわけ。

まあ、俺に関しては新規開拓ってよりは、問い合わせが来たお客さんに対して営業をかけることがメインなんだけど

飛び込み営業はしないってこと?
浅井
うちの会社でも飛び込み営業が皆無ってわけではないけど、まあ、俺はやらないな

 

浅井は胸を張って自分の仕事についての話をする。

自信が伝わってきた。同じ年齢なのに、年上のように見えた。

 

浅井
まあ、大事なことはどの営業も一緒だよ

 

浅井は続けた。

 

浅井
研修の時から耳にタコができるくらい言われたことだけどな。

IT営業の本質はお客さんの問題を解決することにある。

他社との比較とか差別化も大切なんだけど、一番はお客さんごとのニーズなんかを踏まえて、どうやったら要求に応えることができるかを考えないといけない。

それにはやっぱ信頼関係は大切だよな

信頼関係?
浅井
そう。お客さんの求めていることをきちんと一緒に考えて、応える誠実さ。

そういう仕事を続けると自然と信頼関係が生まれて、ここの会社になら任せて安心だって思ってくれるようになるんだ。

まあ、先輩からの受け売りだけどな

 

浅井は笑いながら話す。

 

なるほど……
浅井
業界が違ってもさ、営業の仕事って要は信頼関係が築けるかどうかなんだよな。

それができなきゃ、契約が取れても続かないし、自分のことを真剣に考えてくれない営業に頼もうなんてだれも思わないからな

確かに……

 

俺が感心していると、頼んだつまみが次々と運ばれてきた。俺たちは酒のせいもあってか、いつの間にか仕事について熱く語っていた。

 

俺がやりたいのはガッツのある営業スタイルなんだ。

新規で訪問して、契約を取る。そういうスタイル。

周りがすごいやつばっかりだから焦るよ

浅井
さっき言ったじゃないか。

要は信頼関係だって。大切なのは人と人との関わりなのさ。林ならできるって

武田
いつの間にか呼び捨てになってるな

 

武田は突っ込んだが浅井は笑いながら軽く流した。

 

浅井
林なら、いい営業マンになれるって。

どうやったら契約が取れるのかじゃなくて、どういうスタイルでいくか悩んでたんだろ?

楽して取れる方法ばっかり考えるより全然いいと思う

武田
熱くなってるところ悪いけど、そろそろお開きにするぞー

 

俺たちは会計を済ませ外に出た。金曜日だけあって、外は人でいっぱいだった。にぎやかな街のなかに俺たち3人はいた。

終電ギリギリだったので、走って駅まで向かった。

俺はなぜか気分爽快だった。

すっかり酔ってしまった浅井を見送って、俺と武田は同じ方向の電車に乗る。車内は満員だった。

 

武田
少しでも何かつかめたか?
ああ。かなりな
武田
ほー。どんなこと?
営業って仕事は人と人とをつなぐ大事な仕事で、それは信頼関係によって成り立ってる。俺は顧客に頼られる営業マンになってみせる! 絶対に!
武田
意気込んでるところ悪いけど、声を抑えろ
はは。今日はありがとうな。お前のおかげで浅井とも出会えて、いい刺激になったわ
武田
俺も久々に2人の顔が見られて、楽しかったよ

 

俺は混み合った車内からほんの少しだけ見える窓の外に目を向けた。わずかだが星空が見える。今夜は俺にとって、貴重な1日になった。

俺は気を抜くと猫背になりがちな胸を張る。そして営業という仕事を誇りに思った。

 

次回へつづく

【第18話】久しぶりのデートと、仕事人間ハヤシ

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