【第16話】職歴はさまざま、業界は違っても戦える。それが営業だ!

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実際の就活や仕事に使える知識やスキルをストーリーで学ぼう!

【WAKE UPストーリー】毎週金曜日更新中

今どきの新社会人、林良介が紆余曲折を経て成長していく様子を描いた、就活生~新社会人のための連載型コンテンツ。

登場人物紹介(※クリックで拡大)

WAKE UPストーリー登場人物紹介

 

今日は先輩社員の荒川さんに同行する日だ。

荒川さんはアオキ物産では珍しく不動産の営業から転職してきた人だった。

まだちゃんと話をしたことがなかったので、俺は少しだけ緊張していた。

 

荒川さんを待っていると、後ろから声をかけられた。

 

荒川
林ー、今日はよろしくな

 

振り向くと、にかっと笑って手を上げている荒川さんの姿があった。

 

はい! よろしくお願いします!
荒川
どうだ? 営業には慣れたか?
いえ、まだ全然……。

この前、昼休みに保険外交員の女性と話をさせてもらったんですけど、今までの自分が想像していた営業スタイルとは全く違っていて、びっくりしました

荒川
保険外交員かあ。馴れ馴れしかったろ?

 

荒川さんはにこにこしながら笑顔で話を聞いてくれる。困ったことがあったら助けてくれそうないい先輩、という感じだ。

 

それが、悪い言い方したら馴れ馴れしいんでしょうけど、嫌な感じが全くないんです。

不快にならないというか、自社の製品はしっかり売り込むのに、高圧的じゃないし。

本当に自分のためにこの商品を勧めてくれてるんだっていう気になってくるんですよね

荒川
なるほど。それはかなりのやり手だな
びっくりしました。容姿のこととか褒めてくるんです。営業にそんなことはいらないと思ってたので
荒川
保険外交員は独特だもんなあ。仮にお前が顧客の容姿褒めたら、へたしたらセクハラになるもんなあ
ちょっと止めてくださいよ。そんなことしないですよ

 

荒川さんは、弾けるように笑いながら、俺の話に耳を傾けてくれる。俺は予感がしていた。おそらく、荒川さんも相当なやり手なのではないか、と。

 

荒川さんはどんな営業スタイルなんですか?
荒川
俺はな、とにかく強引に商品を売り込むってスタイルだ!
強引にやって相手に引かれたりしません?
荒川
まあ、見てろよ。絶対に契約取ってみせるから! 俺のやり方を見学しててくれよ。そしたら、なんとなく分かるから
はい!

 

俺は大きく頷いた。荒川さんの営業スタイルを吸収して、営業マンとしてさらに一歩、踏み出そうとしていた。

 

外は快晴で少し暑いくらいだった。営業には持ってこいの天気だ。

 

やってきたのは『グリルむらもと』。いわゆる個人でやっている洋食屋だ。ここはオムライスが売りらしく、外にはオムライスの食品サンプルが並んでいる。

 

いらっしゃいませー

 

店員が大きな声を上げる。俺は荒川さんの少し後ろに立って様子を見ていた。

 

荒川
突然すみません。私、アオキ物産の荒川と申します。店長さんはいらっしゃいますか?

 

すると、今まで笑顔だった店員が怪訝そうな顔をしながら、

 

大島店長
店長の大島です

 

と、言ってきた。

 

荒川
ここのオムライス私も好きで、よく通わせてもらってます

 

荒川さんは始終穏やかな口調で続けた。店長は荒川さんを上から下までじろりと見たあと、後ろにいる俺のこともじっと見てきた。

 

大島店長
はあ、そうですか。ありがとうございます
荒川
それで、ここのオムライスはとてもおいしいんだけど、何かが足りないことに気づいたんです
大島店長
何でしょう?
荒川
ずばり、お米です

 

店長ははっとしたような顔をした。荒川さんに言い当てられてしまったとでもいうような。

 

荒川
お米を変えたら、今でも十分おいしいオムライスがさらにおいしくなるのになあと思いまして
大島店長
はあ……
荒川
それで今、我が社で新しく売り出したお米があるんですが、絶対にこのお店のオムライスに合うと思うんです!
大島店長
どんなお米ですか? こちらもそれを聞かないことには契約はできません

 

荒川さんは店長の言葉を聞いて、待ってましたと言わんばかりに、新しく発売されたという米の説明をしだした。

 

荒川
しっかりとした旨みと粘りが特徴で、ツヤも抜群。

旨み、粘り、軟らかさ、香り、見た目すべてにおいて優秀なお米です。

旨みも粘りも強いので、ご飯も味わってガッツリと食べたいという方にお勧めのお米です。

品種改良と試行錯誤を重ね、10年かけてようやくできた、我が社の自慢のお米です!

 

それを聞いて店長は考える素振りを見せていた。明らかに迷っている。荒川さんは畳みかけるように続けた。

 

荒川
ただ、この商品、かなり貴重なので早く契約しないともう次はありません。

ですので、今がチャンスです!

 

店長は迷い始めていた。

 

大島店長
うーん、でもなあ。本当に米だけでそんなに味が変わるものかな
荒川
変わります。間違いなく変わります。

甘みと旨み、どちらも兼ね備えているのが我が社の新商品のお米ですから。

断言できます。グリルむらもとのオムライスがおいしくなったと、客足も増えるでしょう

 

すると、店長が威勢よく、

 

大島店長
よし! 決めた! 契約します

 

と、言った。俺は荒川さんの少し強引だけど、自社製品の魅力を伝えるのがうまいところに感心していた。

 

荒川
ご契約ありがとうございます!

 

荒川さんは振り向いて俺を見た。

親指を立てて、うれしそうな表情を浮かべていた。

俺はこの前の保険外交員の女性にも荒川さんにも共通していることをひとつ見つけた。それは、自社の製品に誇りを持ち、自信があるということだ。

 

帰り道。荒川さんは上機嫌だった。

 

荒川さん、本当にすごいですね! 尊敬します!
荒川
おいおい、よせよ。照れるだろ。今回は本当にラッキーだっただけだ

 

荒川さんは謙遜しつつも、どこか誇らしげだった。

俺は荒川さんが本当にすごいと感動さえしていた。まず、自社の製品について知り尽くしている。俺もそこから勉強しなければならない。

 

荒川さんはうちの製品に自信があるんですね。それがひしひしと伝わってきました
荒川
自信がなかったら、まずそれを相手に見抜かれて契約なんて絶対に取れないからな。自信を持つことが大切。あとはいたわりの心だな
いたわりの心?
荒川
そう。相手を思いやる心。自分の営業成績しか考えていない営業は絶対に成功しない。

相手にとって、本当に良いと思うから勧めるんだ。そうじゃなかったら、この仕事してないさ

荒川さんはどうしてアオキ物産に転職してきたんですか?

 

荒川さんはうーんとうなりながら宙を仰いだ。何かを考える険しい面持ちになっていた。

 

荒川
俺が働いてた不動産会社は数字が全てだったんだ。だから俺も必死に売ったよ。だけどある時に気づいたんだ。自分が今の仕事に全然納得がいっていないことに

 

荒川さんは続けた。

 

荒川
自分がいいと思う物件を売っていなかったんだ。顧客を無理やり言いくるめて契約させてるみたいで胸が痛んだよ
なるほど……
荒川
だからお前は恵まれているんだぞ! こんなにいい先輩に恵まれて、商品もいいし、胸を張って売れるからな
はい!

 

俺は改めてこの会社に入って良かったと思った。尊敬できる上司がたくさんいる。

仕事のできる先輩がたくさんいる。そして、何より刺激になる。俺もいつかはできる営業マンになる――。

 

そう胸の内で決意した夕暮れ時だった。

 

次回へつづく

【第17話】新しい出会い。自分なり営業スタイル

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