最近では、営業職や販売職は比較的人気がないと言われています。
大手転職サイト「マイナビ」が学生に対して行ったアンケート結果でも、対象の大学生の88.3%が「営業職をやりたくない」と答えています。
(参照元:マイナビ学生の窓口|衝撃! 大学生の約9割が営業職を「やりたくない」と回答。理由は? )
近年では、インターネット通販の市場拡大や人工知能の進化により、将来的には営業において人間の仕事がなくなるのではないか、という意見さえ出ています。
しかし、今のところ企業では、営業職はなくてはならない存在です。そのため企業側からの求人にも、営業職を求めるものは多く見られます。
営業職の醍醐味、仕事の魅力というのはどこにあるのでしょうか?
そして、これからビジネスパーソンとして生き抜いていくなかで、営業職や販売職が描くキャリアプランにはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は、これから営業職として働く方や、営業職として働いているけれどキャリアプランが立てられない、という人に向けて、営業職・販売職の魅力やキャリアプランについて解説していきたいと思います。
営業職・販売職の仕事
営業職・販売職には、「会社からの売り上げノルマ」「数字・売り上げが目的」といったネガティブなイメージを持っている方も多いかもしれません。
しかし実際には、「売る」ことだけが営業職の仕事ではありません。
「ものを売る」ということには、商品理解や業界知識、そして会話術など、さまざまなビジネススキルが関わっています。
インターネットの普及により、適正価格の確認やほかの商品との比較が簡単にできてしまう現代では、それらのスキルはさらに求められるようになっています。
誰でも情報を簡単に得られる時代になったため、いくら魅力的な商品であっても、営業職・販売職が工夫をしなければ、多くの人に売ることはできなくなっているのです。
そこで大切なのが「お客様に合わせて提案できるかどうか」ということです。
ただ金額を提示して、商品のメリットを伝えるだけでは、世の中にたくさんあるほかの商品と比較され、最終的には購入されないことも多くなってしまうでしょう。
同じ商品でも、お客様によって組み合わせを考えたり、違った使い方を提示したりすることで、まったく違う価値を見いだしてもらえるのです。
企画職などであれば、ゼロから商品やサービスを作り出すことができます。
しかし営業職は基本的に、「すでにある商品やサービスから、お客様にとっての価値をいかにして作り出すのか」ということを考えなければいけないのです。
そのような提案は、人工知能やインターネット通販では非常に難しい範囲です。
ひとりひとりに合った提案をするための柔軟性も課題となる上、お客様のなかには、本人でも気づいていない希望や悩みを持っている人もいるからです。
お客様との会話のなかで「本当に解決しなければいけない問題は何なのか」を見つけ出していくことも営業職の仕事のひとつです。
そのため営業職は、「売りたい」という意識だけでなく、さまざまな知識や問題解決能力が求められる「総合的な職種」とも言えます。
営業職の醍醐味は、その総合的な力を認められ、お客様からの信頼を得ることにあります。
その上で売り上げを出し、会社から評価され、昇格などのキャリアアップにつなげていくことが重要なのです。
営業職としてのキャリアプラン
営業職としてのキャリアプランは、大きく分けて2つあります。
- 営業として成果を出すことで営業部長などの役職を目指す。
- 営業としての経験を活かして企画職などの他の職種を目指す。
ひとつ目の選択肢である「営業部長を目指す」というのは、営業としての実質トップを目指すキャリアプランです。
部長になる過程では、チームとしての結果を求められることもありますが、チームを持つためにも、まずは個人として結果を出していく必要があります。
個人として結果を出していくためには、まずは「売れている人をまねる」ことが成功するための第一歩です。
「まねる」ということを嫌がる人もいるかもしれません。しかし、成果を出している人には、その理由があります。
会社やサービスごとの特徴・ノウハウもあるため、書籍などの一般的な知識だけでは本当の営業スキルは身につきません。
まずは売れている人をまねして、そこに一般的な書籍で得られる知識や自分の経験を加え、「自分らしい営業スタイル」を確立することこそが、個人として結果を出す方法のひとつと言えるでしょう。
2つ目の選択肢である「営業としての経験を活かして他の職種を目指す」というのは、新卒で入社し希望の部署に配属されなかった方や、営業として働いているなかで仕事に対して充実感を得られない方におすすめのキャリアプランです。
実際に活躍している企画職やエンジニアの人のなかにも、営業職出身の人は多くいます。
先ほどお伝えした通り、営業職にはさまざまなスキルが必要です。
たくさんのお客様と接するなかで、「こんなものなら売れるのに」と思うことは少なくないでしょう。
それらの経験は企画職などにも活かせるものです。
企画職は、全ての商品を、まったく何もない状態から作り出すわけではありません。市場調査やニーズの把握を行って、企画を作っていきます。
お客様のニーズにより近い場所で働いてきたからこそ、作り出せる商品もあるはずです。
同じことはエンジニア職においても言えます。
エンジニアやクリエイターでも、要件分析や要件定義の際にクライアントと話す場面は多々あります。
営業職を経験したことのあるエンジニア職の方であれば、より深く相手の要望を理解し、制作物に反映することができるでしょう。
営業職として入社したからといって、必ずしも営業部門という枠組みのなかでキャリアプランを立てる必要はありません。
もし現在、営業職としての自分に違和感を持っていたり、営業職という仕事にやりがいを感じていなかったりした場合、そのことが、自分の成長を妨げている原因となっているかもしれないのです。
どんなキャリアプランを立てたとしても、営業職だったということを経験のひとつだと考え、積極的に新たなスキルを身につけて、自分がなりたい姿を目指していきましょう。
営業職として活躍するためのスキル
最後に、営業職として、ビジネスパーソンとして、キャリアアップを目指していくにはどのようなスキルが必要かをお伝えしていきます。
ヒアリング力
クライアントが抱える課題を発見しなければ、いい提案をすることはできません。
どのような悩みや課題を抱えているのか、まずはヒアリングする必要があります。
これがうまくできないと、相手に「押し売り」のような印象を持たれてしまう可能性もあるため、一方的に話すのではなく、質問を投げかけながら、相手が話しやすい状況を作っていくことがポイントです。
分析力
ヒアリングをした内容を、分析していきます。
お客様からヒアリングした多くの問題をそれぞれ解決していくことも大切ですが、それだけでは信頼を勝ち取れるとは限りません。
なぜなら、ヒアリングで聞き出せた内容は「表面上の問題」であり、お客様自身が気付いていない、もしくは言葉にしていない、「根本的な課題」が存在する可能性もあるからです。
その「根本的な課題」を知るために、ヒアリングしたさまざまな内容から共通点を洗い出し、課題の「核」となる部分を探っていきます。
そうすることで、お客様としては「本来あった課題に気づけていなかった」という驚きを感じたり、提案に対して関心を持ってくれたりすることがあります。
提案力・コミュニケーション力
「提案力」と言うと、難しいスキルである、と思われる方もいるかもしれません。
営業職として働く方のなかには「提案力がない」と、自信をなくしてしまっている方もいるでしょう。
しかしそのような方の場合、実際には「ヒアリング力」や「分析力」が足りてないことが多いのです。
この2つがしっかりとできていて、あとは「サービスを知る」ことと「お客様を知る」というポイントを押さえておけば問題ありません。
自分が売っている商品・サービスを知り、競合優位性を把握したり、使用用途がほかにないか模索したりすることで、お客様に対しての見せ方は無限に考えられます。
そして、お客様の知識レベルや金銭感覚などを知ることで、適切な説明の仕方、金額で提案することができ、相手も気持ちよく購入することができるでしょう。