「やる気」の出る心理学 上級編

「やる気」の出る心理学 上級編

「初級編」「中級編」を経て、部下を褒め親身になって話を聞き、少しは部下のやる気を出させることに成功したでしょうか。

しかし時には上司として、部下の考え方を訂正しなければいけない場面があると思います。

部下のプライドが高い場合などは指導の仕方に注意しないと、せっかく出てきた部下のやる気もなくなってしまいかねません。

そこでこのコースでは、「イエス・バット・テクニック」「クッション法」「イエス・アンド・テクニック」という3つの心理テクニックをお伝えします。

どんな人が気分を害しやすい傾向にあるかのペルソナや、3つのテクニックの具体的な使い方を知り、上手に部下のやる気を維持しましょう。

「自分は上司なのだから、部下が言うことをきくのは当然」という気持ちでは、上司も部下もストレスがたまりいい関係性は築けません。

カウンセラーやコーチ目線で部下との距離を保つ方法を考えましょう。

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気分を害しやすい人間の心理、部下のペルソナ

「やる気」の出る心理学 上級編①

まずは、部下の心理を知る必要があります。

人間は、他人から評価されたいという欲求を持っています。これはマズローの欲求5段階説の中の「自我の欲求」に当たります。

部下の主張を受け入れれば部下は満足し、逆に反対すれば不満の感情を持つことになります。

どんなに、こちらの主張が正論であっても、それを押し付けて、不満の感情を持たれることは得策ではありません。

とくに、現代人の「自我の欲求」は強く、自分の主張が拒否されれば気分を害することになります。

マズローの欲求5段解説とは

アブラハム・マズローは人間の欲求を5段階に分け、欲求5段階説を唱えました。

マズローは、人間の欲求の段階を生理的欲求、安全の欲求、親和の欲求、自我の欲求、自己実現の欲求だと主張しています。

生理的欲求と安全の欲求は、人間が生きる上での衣食住などの根源的な欲求。

親和の欲求とは、他人と関わりたい、他者と同じようにしたいなどの集団帰属の欲。

自我の欲求とは、自分が価値ある存在と認められ、尊敬される欲求。

自己実現の欲求とは自分の能力、可能性を発揮し、創造的活動や自己の成長を図りたいと思う欲求のことです。

そして、人はそれぞれ下位の欲求が満たされると、その上の欲求の充足を目指すという説です。

部下は、自分のしている仕事にプライドを持ち、一番良い方法だと信じています。

指示は、ある意味、自分の自由を束縛するものですから、指示されることを嫌います。

人は自分の意見や態度を自由に決定したいと考えており、これが脅かされたとき、人は自由の回復を目指します。

こう動機付け状態を心理的リアクタンスと呼びます。

部下が指導方向に態度を変えるよう圧力をかけられると、自由が束縛されたと感じ、指導された態度を取らないことで自由を回復しようとするのだとこの理論では説明しています。

イエス・バット・テクニック

そこで、利用できるのがイエス・バット・テクニックです。

イエス・バット・テクニックは本来、顧客の断りに対して、反論をすると、自我の欲求が満たされずに反発を買うことになるため、一度、顧客の断りを受け入れ、反発を買うことなく説得するビジネステクニックです。

このテクニックを使用することにより、部下のプライドを傷つけることなく、上記の自我欲求を満足させなから、部下を説得・指導することが可能になります。

その名前が示すように、イエス・バット・テクニックは部下の発言を一度受け入れ(yes)、説得(but)するテクニックです。

具体的には、次のような使い方をします。

部下「このようにすべきだと思うのですが」

上司「うん(yes)一面ではその通り! しかし(but)こういうことも考えられるのではないか?」

こうすれば、耳の痛いことも素直に受け入れられます。

ワンクッション法

次に、ワンクッション入れて、結論を先延ばしするテクニックです。

イエス・バット・テクニックで説得を展開して説得できない場合、あえて深追しないで、ワンクッションを入れるのです。

先延ばしは良くないと思われがちですが、ワンクッションを入れることで、部下もよく考えて反省するものです。

時間を置くことで、部下は頭の中を整理することになります。

それに加えて、部下は上司の説得を拒否していますので、「申し訳ない」という負い目を感じるものです。

拒否することで相手に嫌な思いをさせてしまって申し訳ないと考える心理です。

これは「好意の返報性」と「互恵性」(後述)によるものです。この方法は、説得が難しいプライドの高い理論家の部下に使えるテクニックです。

好意の返報性、互恵性とは世の中は、人々の相互協力状態で成り立っています。

これを互恵性(ギブ・アンド・テイク)といい、全世界のほとんどの文化において一般的な行動原理となっています。

「情けは人のためならず」といいますが、相手のための行動はいずれ自分に返ってくるということです。

人間は好意を受けると好意で返すという心理を「好意の返報性」といいます。

笑顔を向けると笑顔が返ってきます。優しく接すると優しさが帰ってきます。相手を好きになれば自分が好かれるという心理です。

ワンクッション法の使用の仕方は次のようなケースです。

上司「(説得)。どうかな?」

部下「しかし、」

上司「そうか」

と言いつつ、席を立ちます。すると、部下に上記の心理が働き出します。

イエス・アンド・テクニック

次に、イエス・アンド・テクニックです。字面はイエス・バット・テクニックのバットがアンドになっただけですが、内容は違います。

イエス・バット・テクニックに対して、部下の主張を受け入れ、「だからこそ〇〇した方がよい」というのが、「イエス・アンド・テクニック」です。

「自我欲求」の強い部下は、上司からの指示に対して、「忙しい」などと断ろうとする場合があり、上司として厄介なものです。

そこで、「イエス・バット・テクニック」では、「そうだね、でも」と説得を開始します。

これに対して、部下の主張を受け入れれば、わだかまりもありません。

「イエス・アンド・テクニック」では、例えば、「忙しい」と言われたら、「忙しい(yes)からこそ、これをするんだよ(and)」と切り返します。

この心理について、心理理論の「一貫性の原理」で説明します。

人間は、自分の行動や発言、態度、思考などについて、一貫したものにしたいという心理があります。

この心理を「一貫性の原理」といいます。一貫性を保つ方が他者から高い評価を得られると考えます。

前の例では、部下の「忙しい」という言い訳に対して、「忙しいからこそ」と追い打ちをかけると、部下は一貫性の理論により、「自分は忙しい」という言葉に縛られてしまいます。

ですから、上司の指示を進んで行わざるを得なくなるのです。

イエス・アンド・テクニックの使用の仕方としては次のようなケースがあります。

上司「(指示)。どうかな?」

部下「しかし、忙しいんです」

上司「そうだよね(yes)、キミは残業続きだ。だからこそ(and)、これをした方がいいと思うんだ」

成功のポイントは心の持ち方

「やる気」の出る心理学 上級編②

上記のテクニックは上級テクニックであり、普通の心理状態では応用することは難しいものです。それは、意識が部下と同じレベルだからです。

「相手は部下で、自分は上司なのだから、指示を聞くのは当たり前だ」と考えると、指示を聞かない部下には怒りを感じてしまいます。

このようなときの心の持ち方ですが、カウンセラーやコーチの心構えが参考になります。

結論から言うと、カウンセラーやコーチとして、部下と距離を保ち、部下の意見を論破するのではなく、部下を育成するという立場に立つことで、同じレベルでのやり取りから脱することができるのです。

まとめ

これまで、褒めること、話を聴くこと、そして、会話のテクニックを紹介してきました。

これらのテクニックを使用すれば、部下のやる気を高めることができるはずです。

意気揚々として入社してきた新人も、上司の対応によって、やる気をなくしています。部下を大切に育ててください。

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