世の中の流れをつかむ。これからのリーダーシップの課題

世の中の流れをつかむ。これからのリーダーシップの課題

一般的に、「リーダーシップを発揮している優れたリーダー」というと、大会社や政治、スポーツなどの世界で大きな成果を残している人、というイメージがあります。

このようなリーダーは人々を率いて組織を牽引している強いリーダーシップスタイルの人、という印象でしょう。

私の仕事は、リーダーという立場の人と直に接する機会が沢山あります。

中には、大企業で沢山の人々を率いるため、強い信念を持ち、常に危機感を持って、自分にも周囲にも気丈に振る舞う強引なタイプのリーダーもいます。

私自身は、このような強いリーダーシップに憧れたこともありましたが、実際には、このタイプのリーダーに自分が向いていないことはわかっていました。

従って、このようなタイプではない、リーダーシップのあり方は他にないのか、と常に考えていました。

これからのリーダーシップ

これからの世の中はますます変化が激しく、事業環境は想像を超えるスピードで変化します。

今まで成功した方法で、これからも成功するとは限りません。リーダーは常に先を読み、過去に固執せず、変化に対応して柔軟に対応することで、事業成果に結びつける柔軟性と洞察力が必要です。

しかし、このようなリーダーシップは、優れた成果を出してきたリーダーだけが持てるものなのでしょうか。

これからのリーダーシップを考えると、ますます複雑で難しくなる事業環境の中で、優秀な成果を取るためだけのリーダーシップではいけないと考えます。

別の言い方をすると、もっと普通のリーダーがリーダーシップを発揮できないのかということについて考えたいと思います。

経営の神様といわれるピーター・ドラッカーは、人が一人でもついてきたら、リーダーだと言っています。

つまり、だれでもリーダーシップを発揮しなくてはならない時があるということです。

そこで、普通の人がリーダーシップを発揮するために、考えるべきことについてポイントをまとめてみます。

時代の流れをつかむ

現代は、たった3年先でも予測することが困難な時代になりました。

しかし、予測はできなくても想像することはいくらでもできます。世の中の流れをつかむにはいくつかの視点があります。

VUCAの時代

VUCAとは

まず、これからの世の中はVUCAの時代であると認識することです。

VUCAとは、元々は軍事用語で、戦場は不安定で変化が激しく(Volatility)、先が読めず不確実性が高い(Uncertainty)、かつ複雑で(Complexity)、 曖昧模糊とした(Ambiguity)状況だということから、この4つの頭文字を取り、時代を表す象徴的な言葉となりました。

ビジネスの世界でも同様で、企業を取り巻く市場環境が不安定で不確実、かつ複雑で曖昧模糊な混沌とした状況です。

つまり、世の中はVUCAという時代背景の中で動いているということを理解することが必要です。リーダーは、このような背景を念頭にリーダーシップを発揮しなくてはなりません。

VUCAの時代では、詳細に計画するだけではなく、想像することが必要です。想像すると何かがつかめるかもしれません。

何かがつかめたら、まずやってみることです。そしてそれを繰り返すことです。

朝言ったことを夕方には変更する「朝令暮改」という言葉がありますが、場合によっては朝令朝改もありえるのです。

なぜならばVUCAの時代だからこそ、やってみないとわからないからです。

成長の第二カーブ

成長の第2カーブ

全ての成長はピークに向かって上昇期があり、ピークを通り過ぎると下降期に入ります。

そしていつかは終わりになります。ヒット商品や流行ごともこの成長の先にあるピークと終わりがあります。このような流れは会社の成長も同じです。

米国S&P500社の企業寿命は17年という調査があります。日本企業はそれより長い24年というデータもあり、これが現実です。

一方、日本は100年以上続いている長寿企業が世界一多いことも特徴です。

このように組織は永続していかなくてはなりません。しかし、どのような企業であっても、いつかは寿命がきます。従って、必ずやってくる寿命に対応するため、戦略をもって備えることが重要です。

戦略でも、新商品でも、企業ドメインであっても、次の手を早いうちに打っておくこと、これが成長の第二カーブです。

これは、今の成長のカーブがピークを迎えてから下降し、終わりが来てから次の戦略を始めるのではなく、今の状態がピークを迎える前に次の戦略を開始するという考え方です。

リーダーは、過去の成功に甘んじて、それにしがみつくというのではなく、その成功した方法は、いつかは通用しなくなる、だからこそ、今から次の成功に向かって準備するということです。

さらに、考えられることがあります。

成功カーブ(第一カーブ)は今の時代、成長から終わりを迎える期間がどんどん短くなっていることに気づかなければなりません。

同じように第2カーブも短い可能性があります。

従って、第3、第4と次々と成長カーブを重ね、これからさらに変化が激しくなることが予測される未来に向けて対応する考え方が有効です。

エクスポネンシャル思考

エクスポネンシャル思考とは

よくある我々の考え方の癖は、今までの経験や体験から、未来を考えることです。

これは直線的な思考(リニア思考)です。これに対して、もう一つの考え方が指数関数的な思考(エクスポネンシャル思考)です。

例えば、世の中には、多くの人が気づかないような小さな出来事や現象でも、あるとき突然、世の中を変えるような大きな影響を与えるようになることがあります。

例えば、あるベンチャー企業が始めた小さなビジネスが突然注目されて、大きなビジネスに発展するようなことがあります。

近年はこのような小さな企業の可能性あるビジネスが大きくなる前に、これらの企業をグーグルやフェイスブックのような巨大企業がM&Aで買収するという現象が、あちらこちらで起こるようになりました。

会社だけではなく、新商品や文化芸能など近年の流行の発生の仕方は、このような流れを生んでいます。まさに指数関数的な発展といえます。

世の中には、このように今は小さな流れや現象でも、いつしか何倍にも大きな流れになることが多数あります。

リーダーはリニア思考で、今までの思考の延長線上で世の中の流れを探るだけではなく、いつでも今までの流れを変えてしまう可能性がある、という思考が必要です。

今までの流れを、新たな流れが超える瞬間が考えられるのです。この瞬間「今はここ」という捉え方がエクスポネンシャル思考です。

これからの世の中は、過去10年くらいかけて起こった出来事が、3年位で起こってもおかしくはないくらい加速している世の中になりました。このような時代に、リーダーは世の中の流れを自分の考え方で捉えることが必要です。

 

<第2回へつづく>

 

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近未来を見据えたリーダーシップ第1~5回

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下山博志

日本マクドナルドで32年間勤務。企業内大学を含む全社の人材育成の責任者となり、13万人を擁する幅広い従業員層に対する人材育成の仕組みを浸透させ、『2003年度日本能率協会人材開発優秀企業賞本賞』を受賞。

全世界共通の教育戦略プロジェクトにはアジア地域代表として参加した。

2004年に退社後、人材開発の総合プロデュースを行う株式会社人財ラボを創業。

上場大手企業から中小企業まで幅広く、人事・教育に関する戦略を支援し、企業内大学構築、リーダーシップ開発、マネジメント能力育成などの提供を行っている。

世界最大規模の人材開発非営利組織ASTD(現ATD)日本支部設立に寄与し、ATDインターナショナルメンバーネットワーク・ジャパン副代表ほか、熊本大学大学院教授システム学非常勤講師、NPO法人日本イーラーニングコンソシアム理事、神奈川県総合教育センター顧問アドバイザーなども務める。

2013年からは、システム開発を行う株式会社創新ラボの会長も兼任し、教育とICTの融合を図るラーニングテクノロジーを推進している。

早稲田大学大学院技術経営学(MOT)修士 

主な著書

著作

 

監修

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