Googleが証明した「生産性の高いチーム」のつくりかた

Googleが証明した「生産性の高いチーム」のつくりかた

米国のGoogle社は生産性の高いチームと低いチームの違いは何なのかを解明するため、2012年にアリストテレスというプロジェクトを発足しました。

この調査を率いることになったのは、Googleのピープル・アナリティクス部門です。

最高のチームをつくるためにはどのようなスキル、バックグラウンド、特性を持ったメンバーを集めればいいのかを見つけるため、統計学者、組織心理学者、社会学者、エンジニア、科学者からなる研究チームを結成して、従業員に対する大規模な社内調査を行いました。

プロジェクト・アリストテレスは社内の180チームを対象に、200以上のインタビューを行い、250以上のチーム特性を解析しました。

しかし、当初は、ドリームチームを生成するアルゴリズムにつながるような、明確なパターンは見つかりませんでした。

糸口が見えてきたのは、研究チームがいくつかの無形財産に目を向けはじめたときでした。

生産性の高いチームとは次のような5つの特徴があるという分析結果がでたのです。そして2015年にその全貌が明らかになりました。

Googleの調査で明らかになった、生産性の高いチームの「特徴」

1. 信頼性

Googleのスタッフは常に高い基準の仕事を行い、最高の成果を出すことを期待されています。

そのため、Googleに採用される人材はもともと高い能力を有している人です。

しかし、一人ひとりの能力が高くても、チームで仕事するにはチームメンバー同士がお互いにチームワークを発揮して成果を出すことが必要です。

そのためには、基準をクリアする品質の仕事を決められた時間内に終わらせることができる能力を持ち、お互いが信頼し合っていると確信できて、初めてチームの成果がでます。

2. 構造と明瞭さ

高い成果を出すためには、一人ひとりの能力が最大限に発揮できるチーム構造が必要です。

メンバーの強みが相乗効果を発揮してより高い成果を生み出すために、チームメンバーは明確な役割、計画、目標を持っていて、お互いの向かうべき方向を共有していることが重要です。

3. 仕事の意味

仕事には、人から見て難しいと思われる仕事も簡単と思われる仕事もあります。

しかし、どちらの仕事が良い仕事でどちらが悪い仕事だという評価はできません。

どのような仕事にも何らかの意味があります。チームメンバーは、どのような意義を持った仕事なのか何のために仕事をしているのか、一人ひとりが自身の仕事を確信していることが生産性の高いチームの特徴です。

4. 仕事のインパクト

仕事というのは何らかの形で、誰かの役に立っています。

自分たちの仕事には大きな意味があり、社会全体の利益にプラスの影響を与えると信じているメンバーがいるのが生産性の高いチームです。

 

そして最後の1つが、最も多くの人が影響を受けたものでした。

5. 心理的安全性

上司は自分の目標達成や、能力向上を支援してくれる存在であり、自分の意見を躊躇なく言える存在であり、アイデアを提示することができる環境を与えてくれています。

人は自分のことを無能な人間に見られるのを恐れます。そのため、会議の場で質問をしたり、積極的に自分のアイデアを提示することを躊躇することがよくあります。

もしも、職場における自分の言動や行動が、逐一監視され、批判の対象となるように感じているのだとしたら、このような会議での態度も理解できます。

一方、これと真逆なのは、誰もが安心してリスクを冒し、意見を述べ、質問できるような環境です。そこでは、マネージャーが安全な環境を提供すれば、メンバーはガードを下げることができます。それが心理的安全性です。

この研究結果では、多くの人が予想していた結果とは違いましたが、Googleが発見したのは、心理的に安全な環境にあるチームのメンバーは離職率が低く、個性を生かしやすく、結果的に成果を上げられやすくなるということでした。

最高のチームをつくる方程式は、私たちの期待よりもずっと主観的なものでしたが、この5つの要素にフォーカスすることで、ドリームチームができあがる可能性を高められることがわかりました。

リーダーが意識すべきはチームメンバーの「心理的安全」

この研究を通して、Googleは古代ギリシャの哲学者アリストテレスの名言「全体は部分の総和に勝る」を証明したのだと見ることもできます。

この調査結果が発表された時、ハーバードビジネスレビューを始め、多くの専門誌で取り上げられ大きな話題となりました。

一般的に生産性の高いチームというと、メンバーの優秀さや、高い戦略性、リーダーシップなどが要素としてよく出てくるものです。

ところがこの調査結果では、心理的安全(サイコロジカルセーフティ)が最も重要であると発表されました。

高い成果を生み出すチームリーダーが心理的安全を意識しており、メンバーも心理的に安全であると考えていたチームが高い成果を生み出すチームだったのです。

 

皆さんのチームでは、心理的な安全が保たれていると言えるでしょうか。

例えば、会議の時上司と全く異なる意見を持っていたとします。この時、上司に向かって、全く異なる意見でも率直に自分の意見を述べることができて、議論を行うというシーンはあまり無いかもしれません。

多くの場合、意見の異なる部下は反論があれば言葉を選び、言い方も考え、相手の反応を見ながら、発言をすると思います。あるいは、何も言わないことが多いと思います。

勿論、普段からお互いに意見を出し合い、部下は上司に対して心理的な安全が保たれていると感じている組織もあります。

このような環境を作り出すには、特別なことを行うわけではありません。日々の行動の中でお互いに良い意味で対立した意見でも言い合える環境であれば理想的です。

今は変化が早く、予測困難な時代です。過去の延長線上に未来があるわけではありません。常に変化があります。

従って戦略もリーダー一人で判断することも難しくなっています。

今の判断は正しいのか、今やるべきなのか、今はあえて立ち止まるべきなのか。判断に迷うこともあります。

そんな時、チームメンバーや上司と部下がお互いに意見を出し合い、語り合えることができれば、チームとしてシナジー効果を発揮できます。

 

昨今、多くの組織でメンタルの問題がクローズアップされています。

心理的な安全が保たれているチームは、お互いに助け合い一人で全てを判断したり、悩みを抱えているメンバーがいたりするようなチームではありません。

つまりメンタルのような問題はおきにくいはずです。

チームメンバー同士が、正直にフェアにお互いの意見交換ができるような、心理的安全が保たれている組織はチームとして高い生産性を発揮して、成果を残せるのです。

 

<第3回へつづく>

 

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近未来を見据えたリーダーシップ第1~5回

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下山博志

日本マクドナルドで32年間勤務。企業内大学を含む全社の人材育成の責任者となり、13万人を擁する幅広い従業員層に対する人材育成の仕組みを浸透させ、『2003年度日本能率協会人材開発優秀企業賞本賞』を受賞。

全世界共通の教育戦略プロジェクトにはアジア地域代表として参加した。

2004年に退社後、人材開発の総合プロデュースを行う株式会社人財ラボを創業。

上場大手企業から中小企業まで幅広く、人事・教育に関する戦略を支援し、企業内大学構築、リーダーシップ開発、マネジメント能力育成などの提供を行っている。

世界最大規模の人材開発非営利組織ASTD(現ATD)日本支部設立に寄与し、ATDインターナショナルメンバーネットワーク・ジャパン副代表ほか、熊本大学大学院教授システム学非常勤講師、NPO法人日本イーラーニングコンソシアム理事、神奈川県総合教育センター顧問アドバイザーなども務める。

2013年からは、システム開発を行う株式会社創新ラボの会長も兼任し、教育とICTの融合を図るラーニングテクノロジーを推進している。

早稲田大学大学院技術経営学(MOT)修士 

 

主な著書


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