人材マネジメント術 ~JALのフライトで実践したこと~

人材マネジメント術 ~JALのフライトで実践したこと~

日本人は控えめで主張しないことを美徳とする国民です。

JALの客室乗務員としてフライトをしていたころ、特に国内線ではあいさつをしてくださる方は非常に少なく、数えるほどでした。

私自身、海外のお客様と接しながら、またフライトチームを率いる中で、日本人の「コミュニケーション力」について考える日々でもありました。

今、真のグローバル人材が強く求められています。社交性を発揮し、相手の価値観を受け入れ、独自の考えを感情的にならずに伝える「コミュニケーション力」=「対話力」は世界で活躍するには欠かせない能力です。

また日本国内においても、世代によって価値観の多様化が進み、チーム内でのコミュニケーション力が業務を遂行する上での鍵となりつつあります。

そんな中、私が注目しているのがフィンランドの教育です。フィンランドでは小学校の国語の授業の中で「コミュニケーション教育」を行っています。

日本人と同様、控えめでシャイな気質を持つフィンランドで行われているのが「対人コミュニケーション教育」の実践なのです。

そして、自分自身の強みを自覚し、大人になってからも必要な「自己肯定力」を伸ばす教育を行っています。

実は、「子どもの教育」も「部下の育成」も全く同様です。上から見ないこと、相手を尊重すること、が重要です。

AIの発展などを中心に第4次産業革命が進み、教育先進国であるフィンランドでは「IT」を使うことを前提に、リアルに人と話すこと、違う意見も聞き入れること、つまり「コミュニケーション力」が「ビジネスの基礎力」になると捉え、その教育に力を入れているのです。

私は現在、前職でのフライト経験をベースに、未来志向で幸福度が高いフィンランドの教育方針からヒントを得て、人材育成事業に取り組んでいます。

今回は、「JAL×フィンランド式 ―部下を伸ばすリーダーのコミュニケーション術」と題して、 お話を進めていきます。ぜひ、最後までお付き合いください。

厳しかった新人時代

私が新人のころは、1期違えば虫けら同然といわれ、上下関係が大変厳しく、先輩のミスは新人のミスということもよくありました。

当時、バブル期でしたので社会全体が体育会系で厳しく、でも頑張っていれば給料が上がっていく、そんな時代でした。

食事の席でも常に先輩に気を配り、滞在先では移動のバスは最後に乗り・・・。理不尽ともいえることが、後になお客さまへの気配りにつながるとわかりましたが、それはずいぶん遠回りでした。

そんな環境の中で、私自身は理由も言わずに、ただ上から厳しく叱る先輩にはなりたくない、と思いながらフライトを続けていました。

そして常に、より良い仕事をするためには「どんなチームを作るとよいのか」を考えるようになりました。

実際、いいチームで仕事ができるとお客さまにもその雰囲気が伝わり、お客さまの満足度がアップするという結果につながっていました。

「リーダー職」=「チーフパーサー」になって

私がチーフパーサーという客室の責任者になったとき、心に強く決めたことが1つありました。

「上から指導するのではなく、コミュニケーションを十分に取り合うチームづくりをしよう」というものでした。

それぞれの業務の背景や、なぜ会社がそれを求めるのか、を部下に説明することを常に心掛け、「仕事はみんなで楽しく、でも、緊張感を強く持ってやるべき」とのメッセージを仲間に伝え続けました。

また部下からも上司の仕事ぶりはよくわかるものなので、自分自身のスキルを磨くことも意識していました。

フィンランド教育との共通点

フィンランドの小学校では先ほどもお伝えしましたが、国語の授業で「コミュニケーション力」を教えています。

コミュニケーションとは伝える力だけでなく、相手の価値観を受け入れ、自分の考えを感情的にならずに伝える力、すなわち「対話力」を重要視しています。

そして、フィンランドの小学校では先生が「一方的に上から教える」ということをしません。

先生方が異口同音におっしゃるのは、「教育で大切なのは、子どもと同じ視点に立つこと」です。これはビジネス社会においても同じことが言えます。

小学生のころから強みを伸ばす教育、子育てを実践

実はフィンランドには学習塾も偏差値もありません。

ですが、世界トップクラスの成績を出しています。そして幸福度が高い国、というデータも出ています。

競争させなくても、学ぶことの楽しさや好奇心を刺激していくと成績は伸びていきます。

自分の良いところを認め、「強み」を伸ばすことによって、「チャレンジ精神」「協調性」など、生きていく上で必要な力の基礎づくりができます。

また、授業は子どもたち主体で進めることを教育の軸としています。

上から目線で子どもに教えない、という考えを職場に置き換えれば、上司が上から部下に指導しないこと、職場はリーダーや幹部が主体ではなく、現場で業務についているメンバーが主体である、と捉えることができます。

中間管理職のみなさまの悩み

企業研修をしていると、特に中間層の方から「どのように部下に接したらよいのかわからず、悩んでいる」というご相談をよく受けます。

そして、自分でやったほうが早いから、と仕事を抱えこんでしまっているケースも多いようです。

仕事は言葉で伝えないとわからないことがほとんどです。

そして、自分が簡単にできたことが部下には理解できない、ということも多々あります。

それぞれの個性をみて、強みを伸ばしていくことが結果的にチームの課題を克服することにつながっていきます。

より良い方法やアイデアを出し合う雰囲気づくりができていれば、部下たちは会社に貢献したい、チームとしての結果を出したい、という気持ちに自然となっていきます。

もう一度お伝えしますが、自分では当たり前だと思っていることが部下には当たり前でないことがあります。

そして同じ言葉を使っていても、相手が別の意味合いで捉えているということもよくあるのです。

コミュニケーションギャップを防ぐためには、上司から積極的に言葉を発していくことが重要です。

そして、上から目線でない伝え方が、あなたにはできていますか?

 

第2回へつづく

 

さらに詳しい内容はWAKE UPの動画で公開中!

JAL×フィンランド式 部下を伸ばすリーダーのコミュニケーション術(第2~5回)

 icon-pencil-square 著者プロフィール


水橋史希子

前職は日本航空の客室乗務員として26年間国際線、国内線に乗務し、のべ300万人を接客。

チーフパーサー時代はフライトするメンバーの強みを活かすチームづくりを積極的に行った。

安全指導教官の経験から、チーム内のコミュニケーションがトラブル防止と顧客視点向上に役立つことを確信し、研修事業を行うグロリアタイム株式会社を設立。

ひと言を添える声掛けの大切さを体系化し、接客業に限らず、女性ならではの視点を活かしたマネジメントを必要とする様々な企業で研修を行っている。

一方、保護者や子どもたちを対象に、フィンランドのコミュニケーション教育を参考にした言葉がけや子育て講座を行うフィンランドエデュケーション協会を設立。

子どもたちに学ぶことの楽しさを伝えるボードゲーム「森の社長さん」を開発。

すでにフィンランドの小学校の教材として採用されている。

主な著書

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