はじめに
ロジカルシンキングと聞いて皆さんはどのような人、状況を思い描きますか?
色々な人や状況を想像する人がいると思いますが、多くの人はロジカルシンキングと聞くとなんだか難しい言葉や理屈を並べて相手に対し、これこそが正しい答えだとばかりに論破するようなあまり良いとは言えなイメージを持つのではないでしょうか。
しかしロジカルシンキングから相手を論破するための手法ではありません。
誰がどのような状況にあったとしても、納得してもらいやすくするためにわかりやすく整理分析していく方法です。
その証拠に今ビジネスの世界で活躍している人の多くが、ロジカルシンキングを武器に輝かしい成果を得ています。
どんな仕事に生かすことができるロジカルシンキングですが、身につけるには相当な努力が必要なのではと考えられがちです。
しかしロジカルシンキングについて学び、毎日の生活や仕事の中で少しずつ取り入れていくことで自然とロジカルシンキングを自分のものとして扱えるようになるものです。
そこで今回はロジカルシンキングについて基本的な事から取り入れ方に至るまで、順序立てて説明していきます。
これにより長い時間をかけることなくロジカルシンキングを活用できうようになります。
『仕事の受注が止まらない』そんな嬉しい悲鳴をあげるためにも是非最後まで確認し実践してみてください。
★STEP1★ロジカルシンキングとは
このステップではロジカルシンキングの意味に触れるところから始めます。
ロジカルシンキング、すなわち論理的思考とは決められた枠組みの中で矛盾なく、物事を整理分析する方法のことを意味します。
私たちは仕事をしていく上で様々な人と協調し時には説得することがあります。
仕事が忙しくなればなるほど、「この人は自分と同じように考えているだろう」と考え説明する言葉を省略しがちになります。
しかし一緒に仕事をしているとはいえ相手は他人です。
どのような環境で育ったのか口頭、文章で言われた内容に対してどのほどの理解力があるのかは私達が想像している以上に千差万別です。
ですからロジカルシンキングを使って複雑な物事をわかりやすく整理してあげることによりどのような環境で育ったどのような理解力を持つ人であっても、どのくらい疲労が蓄積されていて理解力が低下していたとしても「あーそういうことなのね」と損と納得させてあげられるのです。
わかりやすくなる2つの枠組み
明確な主論、主論を導き出した根拠
ロジカルシンキングを使うようになると思うに伝えたいこととその根拠が明確になります。
仕事のシーンであるあるなしになぞらえてロジカルシンキングを使って物事を伝えることにより、どれだけ分かりやすくなるのかということを再現してみたいと思います。
システム構築をしている A 社の社内、B係長は部下の C さんと D さんに x 社のシステム構築案件を託しています。
その中で部下の C さんと D さんにそれぞれ x社の要望に応えられるような改善案を持ってくるように指示していました。
すると部下の C さんと D さんはそれぞれに改善案を持ってきました。
次のうちどちらが分かりやすいでしょうか?
Cさんの場合
B係長、X社の改善案についていくつか考えてきました。
まずはYを改善するということを考えたんですがこれをやるとX社の基幹システムにも手を入れなければいけないし、費用も今の見積もりからすると高額になってしまうんですよね。
後は Z を改善するということも考えたんですが、まあこのくらいの規模で改修するならYを改善するよりも効果薄いかもしれませんが、費用は X たが望むような金額になりますし工期も長くなるので面倒だなあとかって思っているんです。
Dさんの場合
B 係長、 x 社の改善案を持って参りました。
私はZを改善する方法をとりたいと思っているのですがいかがでしょうか。
本当であれば y を改善した方が改善効率が高まりますが、Yに手を入れるとX社の基幹システムにも手を入れなければならず、費用が高額かし工期も長期化X社の要望とは逸れてしまいます。
その代わりZを改善するとなれば費用と工期は x 社の要望通りです。
ただしYに手を入れるほどの効果を見込めないため x 社と条件を擦り合わせた方がいいかもしれません。
二つを比べてどのように思いましたか?
だらだらと物事を説明している部下の C さんと結論を頭に話した上で X 者の要望とマッチしているのかメリットとデメリットの両面を提示しながら説明したDさん。
どちらの説明がわかりやすかったですか?
おそらくDさんの説明の方が分かりやすかったと思う人が圧倒的に多いのではないでしょうか。
それはなぜでしょう?
伝えたいことが明確である
Dさんは B 係長に伝えたい内容を発言の冒頭にわかりやすく簡潔にまとめて提示しました。
これによりDさんは「B係長に Z を改善しましょう」と改善案を明確に伝えることができました。
これにより聞き手の B 係長は部下 D はなぜZを改善しようと思ったのだろうという思考になり、部下 D さんとの間では改善しようとする理由の部分の話しに集中できます。
しかし部下のCさんはいかがでしょう。
Cさんはいくつか考えてきましたと言っただけです。
具体的にいくつの改善案を考えたのかB係長に明示していません。
物事をダラダラ話すだけこれでは B 係長はこの話はいつまで続くのだろうと思い、集中力が続きません。
Cさんは z を改善する上での懸念点として「工期も長くなるので面倒だなと思っているんです」という発言をしました。
面倒なのは部下のCさん個人の感情ですが、感情が入ることによって物事の判断に筋が通らなくなり結果として内容に矛盾が生じる可能性が高くなります。
そこで使いたい思考法がロジカルシンキングです。
ロジカルシンキングでは感情と事実とを切り離して考えます。
そうすることで論理に矛盾や飛躍が生じることなく筋がそうた内容になるため根拠が明確になりますし、説得力も増します。
このステップではロジカルシンキングを使う意味が主に伝えたいこととその根拠を論理、矛盾なく分かりやすく伝えることにあるということを見てきました。
次のステップではロジカルシンキングの鍛え方についてお伝えしていきます。
★STEP2★ロジカルシンキングの鍛え方
このステップでは仕事で使えるロジカルシンキングの鍛え方について学びます。
学びますと書きましたが、ロジカルシンキングは受験勉強するように机に向かって参考書を読んだり、問題を解いたりすることで身につくような方法ではありません。
どちらかと言うと英語をはじめとする言語を勉強する時と同じように具体的に使っていくことで自然と身に付くような思考法です。
実際社会人向けにロールプレイング形式でロジカルシンキングを鍛えるような講座は確かにあります。
しかし仕事をしていると平日はどうしてもプライベートな時間を割くことは困難ですし、土日祝日は平日の疲れを取りたいがために休息の時間として使う人が大多数ではないでしょうか?
そこでこのステップでは日常生活の中で様にトライできるロジカルシンキングの鍛え方について三つ紹介していきたいと思います。
ショッピングを想定してみましょう。
①結論から話す癖をつける
STEP1で登場した部下 Dさんのように日常生活においても結論から話す癖をつけるように努力してみましょう。
洋服店に入って店員から「今日はどのようなものをお探しですか」と聞かれたら、「今日はシャツを探しに行きました」と目的を明確に伝えましょう。
店員との会話が面倒なのかどうしても「そうですね~。今日は~。何となく~。」とのらりくらりとしてしまいがちですが、これもロジカルシンキングのトレーニングの一環だと考えて結論から話してみてください。
ちなみにショッピングの場で、今日はシャツを探しに行きましたと店員に来店目的を明示することで、店員としてはこのお客様はシャツを買いに来たと言っているので他の商品をアピールしても無駄だなと判断できます。
するとこちらの商品も合わせていかがですかといった別商品の追加購入を勧められるケースも減りますし、余計なサービスを受けずに済みますので買い物時間そのものも短く効率的に終わらせることができます。
②言葉の中から曖昧さを排除する
①では「今日はシャツを探しに行きました」と結論を先に答えていました。
これができるようになったら、どんなシャツを買いに来たのかと具体的に話ができるように努力してみましょう。
店員の側になって考えてみてください。
何を買いに来たか分からないよりは、シャツを買いに来たと言われた方が具体的です。
もう少し買いに来たシャツが仕事用なのかプライベートようなのか色柄にこだわりがあるのかないのかといった情報がわかれば、商品の進め方の精度がさらに上がります。
また購入する側の私たちにしてみればどんなシャツを買いに来たのかを具体的に説明することで自分の感性に合うシャツを提案してくれる可能性が高まります。
ですからより充実感の高いショッピングタイムを楽しむことができるのです。
物事を具体的に表現するということは伝える言葉の中から曖昧さを排除することにつながります。
曖昧さが残れば残るほど論理矛盾を引き起こす原因になりかねません。
日頃から具体的に物事を表現することになれ、発する言葉の中から曖昧さを排除する癖をつけましょう。
③理由は複数盛り込む
結論を導く理由がたった一つということは考えにくいところです。
必ずと言っていいほど複数の理由があることで「だから結論はこうです」という筋の通った論理展開になるはずです。
具体的に洋服店でシャツを購入する例に当てはめてみましょう
②では可能な限り具体的に表現することの大切さを学びました。
そのため今は「白いシャツを買いに来た」と発言できるようになっている状態です。
これに理由をつけてみましょう。
「白いシャツを買いに行きました。仕事できるからです。」と表現すると店員は普段から白いシャツを着ていないか、着るような雰囲気ではないカジュアルな会社に勤めている人ではないかと判断してしまう可能性があります。
もう少しは気を付け加えてみましょう。
「白いシャツを買いに来ました。仕事できているのですが、首周りが窮屈になったからです。」と言えば店員は『このお客さんは普段から仕事で白いシャツを着ているけれど首周りが窮屈になったと言っているので、商品を進める前にまずは首回りのサイズを知っているのか聞いてみよう。知らないといえば計測してから商品を進めよう』と次の手を効率的に考えられるようになります。
いかがでしょうか?
シャツを買うというショッピングシーン一つだけでもこれだけロジカルシンキングを鍛えられる場となるのです。
是非この三つのトレーニングを日常生活に取り入れてみてください。
次のステップでは伝える物事の中から論理矛盾を排除するために役立つ道具について触れていきます。
★STEP3★フレームワークを取り入れてみよう
ロジカルシンキングをマスターするにはもう一つ武器があるとマスターしやすくなります。
このステップではその武器について3種類紹介していきます。
MECE
ロジカルシンキングを身につける上で一番の基本として押さえておきたいものが、『MECE』です。
MECEは『 Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive』の略であえて直訳するならば『全体的に漏れもダブりもない』という意味になります。
全体的に漏れもダブりもないという状態はどのようなものを指すのでしょうか?
漏れもダブりも許されない物の代表的な物は、ジグソーパズルなどが上げられます。
ジグソーパズルには良く似たピースの形はたくさんありますが、全く同じ形のピースをしたものはありません。また1つでも、ピースがなくなってしまうと完成しなくなってしまいます。
では漏れとダブりの例も具体的に見ていきましょう。
一人暮らし等でよく自炊か外食かという話題があります。
実はこの話題にも『漏れ』が発生しています。
いわゆる持ち帰りと入れる中食が漏れているのです。
なので自炊か外食の2択でアンケートを集めてしまうとデータとしては精度が落ちてしまいます。
『ダブり』に関しては、利き手について考えるとわかりやすいでしょう。
右利きの人、左利きの人、両利きの人といると思いますが、この場合『両利きの人』がダブりに該当します。
物事を考えるときにまずMECEつまり全体的に漏れもダブりもない状態なのか吟味することで筋の通った論理的な思考に至るきっかけを作ることができるのです。
ロジックツリー
ロジックツリーとは問題にしたい事柄を樹木状に分解して整理することで原因を知り解決に向けた方向を探るために使われる考え方の一つです。
ロジックツリーを作る際にはありとあらゆる可能性を考えた上で全てを書き出していきますからMECEの考え方が必要不可欠です。
またロジックツリーの書き方としてはand形のツリーを意識して様子を書き出していく方法とor形のツリーを意識して様子を書き出していく方法とがあります。
さらに導きたい目的によってWhatツリーWhyツリー Howツリーというように呼び方が変わるケースもあります。
知っておいて損はないでしょう。
SWOT
SWOTとは、強み『Strength』弱み『Weakness』機会『Opportunity』脅威『Threat』読みという四つの単語の頭文字を一文字ずつ取って命名されている名称です。
仕事で営業、マーケティングを担当している社会人であれば「あーあれね」そう思えるほど馴染みのある武器ではないでしょうか。
SWOTは商品やサービス、広く考えると事業・経営方針に至るまで取り巻く環境に関して情報を整理する際に使われるフレームワークです。
内部環境は強み『Strength』と弱み『Weakness』で外部環境は機会『Opportunity』脅威『Threat』との2面に分けて整理して行きます。
このSWOTがロジカルシンキングをする上での武器になる理由としては強み『Strength』と弱み『Weakness』、機会『Opportunity』と脅威『Threat』という相反する内容を常に考える癖をつける上で適しているからです。
また強み『Strength』、弱み『Weakness』、機会『Opportunity』、脅威『Threat』をクロスさせることで考えるポイントを増やし、そのぶんだけ要素を具体的に掘り下げるヒントを知ることができます。
以上三つのフレームワークについて見てみました。
これら三つの中にはなじみのあるものもあれば、初めて聞いたというものもあるかもしれません。
いずれもロジカルシンキングをマスターする上では使い勝手の良いフレームワークばかりです。
ステップ2で学んだようなロジカルシンキングを日常でトレーニングする方法に加えこれらのフレームワークも日常生活を送る上でこれってどういうことだろうと思うシーンに出会ったら是非使ってみてください。
そうすることで論理矛盾のない筋の通った物事の見方考え方に一歩近づけるはずです。
次のステップではロジカルシンキングを実際に仕事の場に取り入れたケースについて触れていきます。
★STEP4★ビジネスへのの取り入れ方
日常生活の中でロジカルシンキングを鍛え続け少し効果が見えてきたら、ぜひ仕事の場にロジカルシンキングを取り入れてみましょう。
第1段階 説明・指示・依頼の場
まずは上司、同僚、後輩へ説明・指示・依頼をする際にロジカルシンキングを取り入れてみましょう。
最初に最も伝えたいことをその後にその根拠について端的に述べます。
だらだらと話していても「結局のところ何が言いたいの」となってしまいトレーニング前の状況に逆戻りです。
特に日頃から「話が長いんだよね」「何を言いたいのかよく分からないんだよね」と言われがちな人は日常生活の中でのロジカルシンキングトレーニングを重ねながら、最も伝えたいこととその根拠を端的に話すことを心がけましょう。
第一段階のクリア目安としては、どんな人にロジカルシンキングを使って説明・指示・依頼をした内容であったとしても正しく実行されれば第一段階クリアとみなして問題ありません。
第2段階 プレゼンの場
ロジカルシンキングを仕事の場に取り入れた際に最も効果を発揮するのはプレゼンの場です。
プレゼンの場には多様な人が参加しますから、聞き手を飽きさせず戸惑わせないプレゼンが必要になります。
ロジカルシンキングを使ってプレゼンをする場合によく使われる構成として、SDS 法と
PREP法という2種類がありますので、是非この2種類を自分のものにして内容によって使い分けてみてください。
SDS法
SDS 法とは概要『summary』、詳細『Detail』再度まとめ『summary』の頭文字をとって命名された方法です。
まずこれから伝えたいことの概要や目次を話した後、詳細を説明し最後に要点をもう一度まとめるという方法です。
社会人の多くが使っているプレゼン手法の一つでプレゼンの出席者に対して結論を早く伝えたい時に使うと効果を発揮します。
PREP法
PREP法とは結論『Point』理由『Reason』具体例『Example』再度結論『Point』の頭文字を取って命名された方法です。
SDS
法では冒頭に概要を話しますが、PREP法では『単刀直入に結論から言うと・・・』いうように結論を先に伝え、後はその理由と理由を証明する具体例のデータを示しながら冒頭に示した結論がいかに正しいかプレゼン出席者に伝えます。
理由とその理由を証明する為の具体例のデータを複数示していくようなロジックツリーをそのままプレゼンの場に持ち込んだようなプレゼン手法ですので、このプレゼンがいかに正しいものなのか、ストーリーを重視しながら説明をしていきたいようなプレゼンの場に適しています。
第3段階 ファシリテーションを発揮する場
会議で打ち合わせの場で司会者やリーダーが発言を促したり話の流れを整理できる能力をファシリテーションと言います。
このファシリテーションを発揮する場においてもロジカルシンキングは欠かせません。
ファシリテーションをする場でロジカルシンキングを用いることで、複雑で理解しにくいテーマを論理的にわかりやすく示すことができます。
ファシリテーションをする場では、活発な意見が飛び交うケースが少なくありません。
すると意見が飛び交えば飛び交うほど論点がずれやすくなる傾向が出てきます。
どこでロジカルシンキングを用いて感情と技術を分けながら論点を整理することで、誹謗中傷を避けながら必要な論点に絞り込み、後の議論を有意義に進めることができるようになります。
問題解決へ導く
会議や打ち合わせを通じて問題を分析して、原因を明らかにし対策を考えるような場合、原因が明確になればなるほど会議や打ち合わせの参加者から対策案について多面的なアイデアが出やすくなります。
原因を明確にするためにMECE、ロジックツリー、SWOTのようなフレームワークを用いながら問題の分析にロジカルシンキングを使えば筋の通った原因が明確になります。
軌道修正
会議や打ち合わせは参加者が盛り上がるほど議論の方向性が脱線しがちになります。
そのずれた方向性を軌道修正する際にもロジカルシンキングを使えば感情と技術を分けながらも正しい方向へと矛盾なく軌道修正できるようになります。
このようにロジカルシンキングは上司・同僚・部下への情報伝達だけではなく、プレゼンや会議、打合せの場といった幅広い場で活用することができます。
その場をうまくまとめあげることができれば参加者からの評価は高まり、自然と仕事の結果にもつながっていきます。
ただし万能で無敵のように思えるロジカルシンキングにも注意しなければならない点があります。
次のステップではロジカルシンキングを使う上での留意点について触れていきます。
★STEP5★使用上の留意点
ロジカルシンキングができれば、受注が止まらなくなるほど仕事が必ず激変するかというと必ずしもそうは断言できません。
ここではロジカルシンキングを取り入れる上で留意しておきたい点について見ていきます。
万能ではない
ロジカルシンキングを用いて筋の通った説明をすることができれば、全て正しいというわけではありません。
聞く相手は論理的に考えられる人もいれば、感情重視になる人もいます。
聞く相手が感情重視の人である場合、ロジカルシンキングを用いて論理矛盾なく説明した内容であったとしてもそこに熱意が感じられなければ受け入れない可能性は十分にあります。
仮説が正しいことを証明するものではない
ただしロジカルシンキングを用いることによって立てた仮説が正しくなる確率を1%でも高く高めることができます。
ロジカルシンキングを使って立てた仮説を信じるだけではなく、環境の変化や想定外の失敗が発生した際に立てた仮説が正しいかどうかその都度仮説を検証ししていくことが大切です。
選択肢を狭める危険性がある
ロジカルシンキングは現時点で目に見えている情報を組み合わせていくことで、論理矛盾のない道筋を立てる作業だと言い換えることもできます。
つまり目に見えている情報だけを材料にロジカルシンキングをしていくと未来に向けて出した策は過去が作り出した連れをなぞっていくだけということになりかねません。
つまりロジカルシンキングだけを信用して活用しすぎると、イノベーション豊かな策が生まれなくなるといっても良いでしょう。
ロジカルシンキングは仕事をしていく上で重要な思想ではありますが、ロジカルシンキングに頼りすぎて緻密さを追求していくよりも現状の認識を広げていくことが重要になるケースもあるのだということを理解しておく必要があります。
プレゼン力と比例するものではない
プレゼンの場でロジカルシンキングを活用することができるというお話をしました。
確かにその通りなのですが、ロジカルシンキングができればプレゼンの場でうまくなるというわけではありません。
確かに筋が通っていて明確なプレゼンは非の打ちどころはありません。
ただ同じ文字は話すにしても、言葉のトーンややわらかさによって聞き手の印象は変わっていきます。
また同じ内容だったとしてもどうすれば魅力的、感情的に伝わるかという点についてはロジカルシンキングだけではカバーしきれません。
プレゼンの場でロジカルシンキングを使おうと思っている人は、同時にどうすれば魅力あるプレゼンをできるようになるのかを考えトレーニングをする必要があるということを覚えておいてください。
逃げ道をふさぐこともある
ロジカルシンキングを用いて物事を分析しようとすると違う意見を持っている人にとってみれば逃げ道を失いかねません。
すると逃げ道を失った人は感情面を強く意識してロジカルシンキングを使った人に対して反発することもあります。
仕事の場はもちろんプライベートの場であったとしてもロジックを突き詰めすぎて逃げ道を塞ぐと、された相手は自分のことを全否定された気になりますので注意が必要です。
機会を逃すこともある
筋を通して物事を考えれば考えるほど判断するためのネタが必要になります。
そのネタが簡単に集中できれば良いのですが、収集が困難な状況にも関わらずロジカルであることに執着しすぎると分析によって判断したい内容についての判断が遅れたり滞ったりすることがあります。
今の世界情勢においてはスピード感が優勢されることも少なくありません。
ロジカルシンキングにこだわりすぎて悪影響が出ることがないように周りの状況を客観的に見る必要があることは忘れないようにしたいものです。
以上6点がロジカルシンキングを取り入れる上での留意点です。
しっかりと胸に刻んだ上でロジカルシンキングを有効活用してください 。
★まとめ★
ここまでロジカルシンキングに関する基本的な意味から鍛え方・仕事での取り入れ方・留意点に至るまで見てきましたいかがでしたでしょうか。
難しいと感じた人がいるかもしれませんが、多くの人がロジカルシンキングって日常生活を送る際でも取り入れて鍛えることができるなら自分でもできるかもしれないと思ったのではないでしょうか。
ロジカルシンキングは万能の思考法ではありません。
とはいえ相手のことを考えて筋が通るように分かりやすく、根拠も明示しながら説明できるようになるためには社会人にとってロジカルシンキングは欠かせない思考法のひとつです。
受注が止まらなくなるとタイトルに書きましたが、営業職に限らずあらゆるビジネスマンに多大な恩恵をもたらすロジカルシンキング。
まずは日々の生活の中に無理なく取り入れるところから始めてみてはいかがでしょうか?