はじめに
アイデアや発想は『特別な才能のある人が生み出すもの』とお考えの方は案外多いのではないでしょうか。
それはアイデアや企画を考えることが難しいという先入観があるからです。
人は自分がよくわからないものも本能的に遠ざけようとするため、一旦難しい内容だと思い込んでしまうと思考はそこから先に進んでいきません。
それが多くの人がアイデアを出し合い企画考案を苦手と考えてしまう原因です。
しかしきちんとしたプロセスを踏めばアイデアは誰にでも簡単に思いつくことができます。
アイデアは自分の中から生まれるものとイメージされている方が多いのですが、実はすでにあるものを見つけ出すと言った感覚の方が近いんです。
例えば大海原を目の前に世にも珍しい魚を捕まえてきて欲しいと言われたら、それは途方もなく大変なご意見ですが庭の池に隠れている珍しい魚を探してほしいと言われたら、それは思ったほど難しくはありません。
アイデアの見つけ方もこれと同じようなことが言えます。
いきなり大海原で画期的なアイデアを探し回るのではなく、アイデアのありそうな場所を見定め方向や場所を決め探します。
そうすれば闇雲に探し回るよりも、欲しいアイデアが見つかる可能性は格段に高くなります。
アイデアを導き出すための事前の準備をしっかりと行い、きちんとしたプロセスを踏めば誰でもアイデアを見つけることが可能になるのです。
★STEP1★課題を明確にする
どうしてアイデアが必要なのかを把握する
アイデアを見つけるにはまず課題を明確にします。
そのためには病院で例えると『何科を受診するのか把握すること』が必要不可欠です。
例えば商品の開発部署には新商品を開発するためのアイデアが必要となることがありますが、なぜ新商品が必要なのかという問題を把握しておかなければ、的確なアイデアを導き出すことはできません。
それは会社の企画力をアピールするために必要な新商品のアイデアなのか、毎月一つの新商品を発表し世間の認知度を上げるために必要なアイデアなのかなど課題の元となる問題は何かをきちんと知っておくことで、考える方向性や内容も変わってきます。
次の会議までに面白い企画を考えておいてくださいという上司がいますが、何のために必要な企画なのか問題は何なのかをきちんと質問しておくことが大切です。
うっかり「わかりました」とだけ返事をしてしまったら面白い企画ってどういうものだろうと広いを海原を探し回るなければならなくなってしまいます。
課題が見えたら次に現状を把握する
問題がわかれば課題も取り組みやすくなります。
会社の企画力アピールするために新商品が必要ということであれば従来の商品にはなかったという驚きの要素が欠かせません。
「なるほどそう来たか」と人に驚きを与える商品を開発することで相手はあの会社は他とは一味違った企画を考えると認識してくれるようになるからです。
この場合の課題は、新商品開発のためのアイデアを考えるではなく、これまでになかったインパクトのある一味違った新商品を考えるということに言い換えられます。
そうなれば考える方向性が見えてきます。
この課題であれば商品はインパクトがよりあることが望ましいためまずは同業他社の既に販売されている商品をリサーチすることから始めます。
既にある商品ではインパクトが弱いため企画力をアピールできません。
最低限他社の商品にはない新鮮さが必要とされます。
このように課題を発見したら次は、アイデア発想のためのできる限りの現状把握を行います。
例えばあなたは清涼飲料水の商品開発部に所属しています。
夏場の売り上げに悩んでいるという会社の状況もあり、部長から何か新商品の近くを出して欲しいと言われました。まず何から始めますか?
ここで注意が必要なのが、新商品の企画を出すことが課題ではないということです。
そのまま考え進めてしまうと辛いコーヒー、苦い炭酸飲料、元気の出るオレンジジュースなど誰でも簡単に出せる思いつきレベルの発想に止まってしまいます。
まず部長の要望を深く掘り下げてみましょう。
どうして新商品の企画が必要なのか、なぜ新商品の販売を検討する必要があるのかなど、『どうして』『なぜ』を用いて言葉の背景を考え、必要ならば事前に調べて疑問をクリアしていくことで課題が見えてきます。
『どうして新商品の企画が必要なのか』を明らかにするためにできることは何でしょうか?
部長に直接聞くのもいいですが、まず自分の力で現場を知ることから始めると企画を考えやすくなります。
可能であれば社内のマーケティング部署に清涼飲料水の種類、別年間の売り上げデータを確認させてもらいます。
そうすれば現在会社が取り扱っている燃料飲料水の販売状況が分かるはずです。
例えば一番売れることが見込まれる夏の時期に伸びていない商品があれば、そこに問題が隠されているというヒントを得られます。
マーケティング部のない会社であれば自分でインターネットを使って調べることから始めるのもいいかもしれません。
夏に売れる清涼飲料水や夏に売れない清涼飲料水を検索することで解決するべき課題を発見できるかもしれません。
ここでは清涼飲料水の重要が最も高くなる夏場に売上が伸びず悩んでいる会社で新商品の企画を考えるという例題のため夏場に振り上げがわかる新商品の企画を考えるという課題になると考えられます。
まずはどうしてなぜを用いて要望を掘り下げてみましょう。
そして課題発見のために疑問に感じたところを調べてクリアにすることが大切です。
★STEP2★ターゲットを決める
誰を動かすためのアイデアなのかを考える
アイデアや企画を考える際に意識しておかなければならないのは対象となる人物の存在です。
商品の開発であれば、誰を喜ばせる商品なのか、または誰に買ってもらう商品なのかを考えておかなければ、せっかく考えた商品の近くでもこの商品は結局誰が買うのと言ったことにもなりかねません。
ターゲットをきちんと設定することはアイデアを見つける際の近道にもあります。
誰に対して商品を届ければ、売り上げが望めるかというシンプルな思考で考えを進めます。
この誰の部分であるターゲットとなる人物像を設定することでアイデアへのアプローチ方法が変わってきます。
例えば恋人に手紙を書く場合と見ず知らずの人に手紙を書く場合ではないようの考え方もメッセージの強さも違ってきます。
ターゲットはしっかりと絞り込むほど強いメッセージを届きやすくなり、ターゲットが広くなりすぎるとメッセージのアイデアもぼんやりとしてきます。
メインとなるターゲット層を決定する
ターゲットの考え方は扱う商品によってある程度は自動的に絞り込まれます。
車のセールスの場合ターゲットは、免許保有者で18歳以上の社会人であるとか、化粧品なら女性であるとか、住宅の場合は年収400万円以上の共働き夫婦であると言ったように商品自体にターゲットの選定する特徴があるからです。
STEP1にある清涼飲料水のターゲットは年齢性別生活レベルに関係なくすべての世代の消費者がターゲットに当てはまります。
しかし全世代の誰からも好かれる清涼飲料水を考えようとすると冒頭で述べた通り考える範囲がとてつもなく広がってしまい途方もなく考えなくてはなりません。
まずは自分の仮説で構いません。
「お年寄りが買ってくれるのはどんな商品だろう?」「若者によるにはどんな商品だろう?」とターゲットの思い浮かべて想像を膨らませてください。
ターゲットの選定によって出てくるアイデアが大きく変わっていきます。
例えば夏に売れる新清涼飲料水のアイデアを考えるためにターゲットを選定するには何をすればいいでしょうか?
売上に伸び悩む夏場に結果を出せる新商品の企画という課題が明らかになったため、いよいよ次のステップへと進みます。
ターゲットを決めるために必要な情報を集めます。
どのような清涼飲料水がどの世代によく飲まれているかがわかるデータがあれば各世代の思考が見えてくるかもしれません。
ここでは仮に夏場の売り上げを引っ張っているのは20代30代のサラリーマンで、その次は60代足を引っ張っているのは10代という結果が導き出されたとします。
ターゲットの絞り方として見えてくるのがまず清涼飲料水も夏場によく買ってくれる20代30代のサラリーマンに人気が出そうな商品企画ということが思い浮かびます。
比較的自由にお金が使えるのでまだまだ新商品を買ってくれる可能性は高いかもしれません。
その次に10代の若者お小遣いで生活しているとはいえ購入数が低いというのはきっと原因があるはずです。
その原因はクリアできれば伸びしろのあるターゲットであるのは間違いありません。
色々と悩むところではありますがターゲットの選定に参考になるのは自分の経験です。
自分はどうだっただろうと自分の中に問いかけも行なってください。
仮に20代の若者層をターゲットに決めた場合、『自分の高校時代学校の帰りにコンビニで飲んでいたもの』『学校の自動販売機では何が売れていたか部活の後には何を飲んでいたか』なども思い返してみるのも方法のひとつです。
身近にターゲットとなる存在がいなくても自分の経験から気づけることがきっとあるはずです。
今回のケースでは十分に売り上げのある世代をターゲットとするより売上が伸び悩んでいる世代を回復させる商品の方が会社への貢献度が高いと考えられます。
そのことからターゲットを10台に絞って思考を勧めます
十代の若者が好きそうな飲料を考えることで当初より考える幅は狭まりましたが、十代の若者といってもまだ色々と分けることが可能です。
学生かすでに働いている人か 運動部に所属する学生か活動をしていない学生とかを想像します。
自分の経験の中から兄弟や友人といった考えやすそうな身近なターゲットが思い浮かんだらあの人だったらどんな飲料が好きだよと考え始めても構いません。
ここでは水分補給が必要となる運動部の学生をターゲットに決定し商品のアイデアを考えていくといいでしょう。
★STEP3★解決策を書き出す
ターゲットの気持ちになって紙に書き出す
いよいよアイデアの発想段階に入ります。
最初に問題点を発見し何を考えればいいかという課題を明確にしました。
そして次に誰に購入してもらうのがベストかというターゲットを選定しました。
ここからは自分がターゲットの気持ちになってください。
暮らしが便利になる商品がある使い方が面倒な商品は入らない片手で操作できる商品があれば良かったなど様々な思いを巡らせて一つ一つを書き出していきます。
ここで大事なのはきちんと書き出しておくことでアイデアは言葉で表されます。
キチンと浮かんだイメージを言葉にして残さなければ人には伝えられません。
また何気なくメモした内容が後からひらめきにつながることもありますが事前に出来る限り自分の考えを書き出して行ってください。
書き出した言葉を膨らませていく
ターゲットの気持ちになって書き出したメモはそれが完成ではありません。
もう出ないと思うところまで先だったら今度はそれを眺めながら組み合わせを考えたり膨らませて行ったりとそこからさらに考えを巡らせていきます。
例えばスポーツドリンクという言葉であれば、水分補給、栄養補給が主な機能ですが、飲みやすさを重視したレモン味のスポーツ飲料や空腹感も満たせるゼリー状のドリンクにするなど連想ゲームのように言葉を繋いだり、積み木のように言葉を組み合わせたりしながらイメージを膨らませていきます。
アイデアを考えることが難しいと思ってしまう人でも、『言葉遊びをしてください』というテーマであればスムーズに取り掛かれるはずです。
課題を明確にしターゲットを絞るというプロセスは全て近くのもとになる言葉遊びをするための事前準備だと言い換えることもできます。
例えば運動部に所属している学生が夏場に買いたくなる清涼飲料水はどのように導き出すと良いでしょうか?
ここまでの内容をまとめると、夏に運動部の学生が買いたくなる清涼飲料水の企画を考えるということになります。
当初よりだいぶ考える幅が狭められてきました。
そこでここからはターゲットにさらに目を向けていきます。
ターゲットは何を求めているのか、何に興味があるかなど自分がターゲットの気持ちになりどうすれば体力も動かせるかを書き出していきます。
まずターゲットに一番飲んでもらいやすい飲料としてスポーツ飲料があります。
市場も見回すとスポーツ飲料は数え切れないほどの種類があることがわかります。
似たような商品が多く水分、栄養の補給といった用途や成分にも大きな差がない分野だからこそ大手メーカーがスポーツ選手を起用した広告でイメージアップを行い消費者に選ばれるよう策を講じています。
競争相手の多いところに入り込んで行くには商品にほどの強みがなければ勝ち上がることはできません。
そこでターゲットはそのままでスポーツ飲料以外で運動部の学生が飲みたくなるような清涼飲料水を考える方向で思考を進めます。
スポーツ飲料以外で学生に飲んでもらえる商品を考えてさいに、飲んでもらうシーンを考えてみるのはどうでしょう。
スポーツ飲料は部活動の練習中休憩時間に飲まれるものです。
では練習後はどうでしょう。
やっと練習が終わってほっと一息つきできたところ。
スポーツ飲料は散々飲んだので違う飲み物が欲しい。
しかしターゲットは運動部に所属していることから体への気遣いもしっかりと行なっていることが想像できます。
そうなるとコーヒーや炭酸飲料より体に優しいものが好まれるでしょう。
そこでくつろぎといえば紅茶、紅茶と言えばリラックス効果というメモがあったとします。
練習後の一息つきたいタイミングで飲むには悪くありません。
さらに疲れを緩和する効果があると言われているクエン酸が豊富なレモンが含まれているとほっとして疲れも取れていいのではないでしょうか。
たんぱく質の摂取が必要な運動選手には豆乳もいいかもしれません。
これまでの内容を組み合わせてみると紅茶レモン豆乳=豆乳レモンティー素晴らしい飲み物とまではいきませんが、運動後に体を気遣う学生が飲んでくれそうな気がしませんか?
これで部長に提案できそうな新商品のアイデアが一つ見つかりました。
★ステップ4★繰り返し考える
考え続けることがアイデアの発見につながる
課題を発見したターゲットを選定し最後に解決策を書き出すという流れで思考していくプロセスがアイデアを見つけるための近道です。
しかしそれだけでは思い通りにアイデアが見つけられない場合もあります。
そういったときは最初に立ち戻り考えを進める方向性を見直します。
そして狙えそうなターゲットが他にいないかを確認、ターゲットを変えてみることで導き出されるアウトプットも変わってきます。
そうしながら思考のプロセスをもう一周します。
身をとしていた気づきがあるかもしれないし、最初に気づかなかった新たな発見が見つかるかもしれません。
アイデアは誰でも見つけられるものですが、すぐに見つかる場合も逆に時間がかかる場合もあります。
ぐるぐると何度も思考を巡らせることで様々なアイデアが生まれどれが最適かを選ぶことも可能になります。
たったひとつのに磨き上げたアイデアより粗削りでもたくさんの選択肢の中から選ぶ方が結果的により精度が高い間になることもよくあります。
良いアイデアに出会えることを信じてアイデアを見つけることを諦めず思考のプロセスに沿って考え続けてください。
記事の中の例えは部長に言われた新商品の企画を出してほしいというものをご説明しました。
企画を出すということは導き出された豆乳レモンティーというアイデアだけを提出するわけではありません。
思考のプロセスはアイデアの発見に役立つだけでなく、企画書の作成にも効果を発揮します。
企画書の1ページ目には発見した課題は記入しましょう。
そして2ページ目には導き出したターゲットを記入、3ページ目で見つけたアイデアをしっかりと解決すれば、ただの思いつきではなく論理的にアイデアの説明ができる説得力のある企画書になるはずです。
新商品の企画でしたが是非皆さん自身の状況に合わせ目の前の問題で思考のプロセスを実践してみてくださいきっとこれまでと違った提案が可能になるはずです 。
★まとめ★
最後に誰でも簡単にアイデアを見つけられる思考術をおさらいします。
これまでにご説明したSTEP1から4を繰り返し行うことで素敵なアイデアが見つかる確率は格段に高くなるはずです。
STEP1から4をまとめると
STEP1 課題を明確にする
課題を明確にするにはどうしてその課題を考えなければならないのかという問題を把握しなければならない。
問題をしることで取り組むべき課題が見えてくる。
課題が見えたらまずは現在はどうなっているかリサーチ。
STEP2 ターゲットを決める
見当違いのアイデアにならないために誰に向けた商品なのかを決めておく
ターゲットを細かく絞り込むほどアウトプットとなるアイデアの精度は高くなる。
STEP3アイデアは言葉で表現する
考えたことをイメージしたことを1枚の髪に書き出していく書き出した言葉を組み合わせたり、膨らませたり言葉遊びをめいいっぱい楽しむとアイデアの数が増える。
STEP4 繰り返し考える
思考のプロセスを1週して思い通りの間が見つからなければ2周3周と思考のプロセスを繰り返す。
磨き上げた一つのアイデアより数ある中から選ぶアイデアの方がいいこともある。
今回お伝えしたアイデア発想の思考プロセスは、身近な生活のアイデアの発想にも使えます。
このプロセスにつけて是非実際に使いながら自分のスキルアップに活用ください。