株式会社ZOZOが「ZOZOスーツ」やカスタムオーダースーツ「2Bスーツ」を発表し、大きな話題になりました。
「高そうだと思っていたオーダースーツがこんなに安く手に入るんだ」と驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ですが、いわゆる「セミオーダースーツ」と呼ばれるスーツはそこまで高級なものではありません。むしろブランド物よりも安く、ハイクオリティなスーツを仕立てることができます。
今回のコラムでは、セミオーダースーツをテーマにし、特徴やメリット、注意点などを解説していきます。
実際どうなの?セミオーダースーツを実際に作ってみて感じたメリット
筆者はかなり痩せ型のため、体型に合うスーツがなかなかありません。そこで、スーツを購入する場合は、ほぼオーダーすることにしています。
今まで仕立てたスーツは5着ほど。その経験から言うならば、オーダースーツには大満足で、ほぼメリットしかないと考えています。
オーダースーツであれば自分にピッタリのサイズのスーツを最初から作ることが可能です。自分の体型にピッタリのスーツを作れるというのが、最大のメリットであると言えるでしょう。
またテーラーに行き、採寸をしてもらって自分だけのスーツを仕立てたという「体験」ができるのも大きな魅力。
「体験を購入する」ことは、値段以上の経験値をもたらします。後述しますが、テーラーに行ける方はぜひ、ネット通販ではなく店舗で作ってみてください。
そして、前段でも少し触れましたが、セミオーダースーツは価格が安いことも大きな魅力。一着10万円以上するようなブランド物と比べてもかなり手頃な価格で、生地やオプションなどのクオリティも遜色ありません。
ちなみに筆者はフリーランスのグラフィックデザイナー、ライターとして活動していますが、ふだんスーツを着ることはほとんどありません。そのような人間が「また新しいスーツを仕立てたい」と、気付けば5着も仕立ててしまうほどの魅力がオーダースーツには潜んでいるのです。
そもそもセミオーダースーツってどんなスーツ?
スーツのオーダーメイドには、実にさまざまな種類があります。セミオーダー、パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーといった呼び方以外にも、パターンメイド、パーソナルオーダー、フルビスポークなどがありますが、大きくわけると以下の3つになります。
- パターンオーダー
- イージーオーダー
- フルオーダー
このうち、セミオーダーといわれるのはパターンオーダーとイージーオーダーの一部です。
パターンオーダーは予め決められた型紙のなかからスーツを仕立てるスタイルで、サンプルを試着して決めることができます。3つのうちもっとも低価格ですが、細かい体型補正はできません。
イージーオーダーはサイズ補正、体型補正ともに可能ですが、体型補正の一部に制限がかかるケースもあります。
フルオーダーは文字通り、手書きでパターンを起こし、その人の体型に完璧にフィットしたスーツを仕立てることができます。
ひとくちに「セミオーダー」といっても店舗により定義はまちまちなのですが、基本的にはいくつかのパターンのなかから、自分に合ったサイズや、気に入った生地を組み合わせられるものだと思っておけば問題ありません。
オーダーの流れとしては、テーラーに行き、まずはフィッターと会話をし、意見を交換しながら生地を選択したり、ポケットや裏地、ボタンの形状や種類などを選んだりします。
その後採寸をすればオーダーは完了です。スーツが完成し届いたら試着し、問題なければ持ち帰れますし、最終的な微調整をすることもできます。
順序は入れ替わることがあるかもしれませんが、おおまかな流れは上記のような形で進みます。

セミオーダースーツのメリット
簡単な定義や流れを確認したところで、次はセミオーダースーツにはどのようなメリットがあるのかを具体的に解説していきます。
セミオーダースーツ値段は、意外に安い?
セミオーダースーツのメリットとしては、前述もしましたが比較的手頃な値段で仕立てられることがまず挙げられます。
大手量販店のスーツは、だいたい10,000円台後半から60,000円ほどで購入できますが、セミオーダーも最安値には及ばないものの、30,000円台後半から仕立てることが可能。
たとえばオーダースーツの有名店「麻布テーラー」では、最安値で37,000円からセミオーダー(パターンオーダー)をすることができます。
ブランド物のスーツが一着100,000円〜と考えると、かなり安い価格帯だといえるでしょう。ブランドスーツの値段でオーダーをするとしたら、限りなくフルオーダーに近い形で仕立てることもできるでしょう。
袖を通すと感動する。セミオーダースーツのサイズ感
パターンオーダー、イージーオーダーの一部では体型補正をすることができません。しかし、やはり採寸し、微調整をほどこしたオーダースーツに袖を通して鏡で合わせたときの満足感は、既成品では味わえません。
量販店やブランド物問わず、既成のスーツは補正したとしても「もうちょっとここが長かったらいいな」「少し肩幅が広いかな」といった気になる点が見つかるものです。しかし、オーダースーツであれば、その問題点はほぼ解消できます。
サイズの合ったスーツは着ている本人も気持ちがいいですし、会う相手にも好印象を与えます。ブランド物と違って嫌味にもなりません。だからこそ、服のことはわからないといった方や、お洒落に興味がない方にもおすすめできます。
生地だけでなく、各種素材を選べるのも大きな魅力
オーダースーツの魅力は、価格やサイズのほかにも「生地や素材を選べる」点にあります。この生地や素材の選択がスーツを仕立てるときの楽しさのひとつです。
再び「麻布テーラー」を例に出しますが、麻布テーラーでは約3,000種類もの生地から選ぶことができます。
また、袖口本開きやフルステッチ、チェンジポケットなど細かい部分のオプションも豊富に取り揃えているため、まさに「自分だけのスーツ」を仕立てることが可能。
もしスーツに詳しくなくても問題ありません。フィッターが付いてくれますから、相談をしながら決めることができます。
ジャケットだけ、パンツだけでもオーダー可能
オーダースーツの話をしていると「ジャケットやパンツだけでも作れるの?」「シャツもオーダーできるの?」などとよく質問されます。店舗にもよりますが、どちらも可能です。
サイズに関しては、もちろん自分にピッタリのものが仕立てられますし、値段もブランド品よりは安価です。
とくにシャツは襟や袖、ポケットの形状などを選べますので、ぜひスーツと合わせて2、3着仕立てておきたいところです。
スーツから見えるシャツは意外と重要で、いくらスーツがピッタリだからといっても、シャツがあきらかに安物だったり、サイズが合っていなかったりするとだらしない印象を与えてしまうものです。こちらもフィッターに相談しながら決めていけばベターでしょう。
フィッターによるカウンセリングは、値段以上の価値がある
前述したフィッターは、採寸をしてくれたり、年齢や職業などさまざまな角度から、あなたに似合うスーツのアドバイスをしてくれたりします。
熟練したフィッターであればあるほど、制約のあるセミオーダースーツでもまるでフルオーダーのような仕上がりに調整してくれます。
筆者はセミオーダースーツだからこそ、ネットで購入せずに店舗に行くべきだとの考え方をもっていますが、その一番の理由がフィッターの存在です。
プロから客観的にアドバイスをもらえるというオプションは、値段以上の価値をもたらします。
セミオーダースーツの注意点
ここまで、メリットばかりを並べましたが、オーダースーツを仕立てるときにはいくつかの注意点もあります。それほど気にすることでもありませんが、どちらも覚えておいて損はありませんので、あわせてチェックしてみてください。
基本的に納期は長め
既成品と違い、オーダースーツは採寸し、オプションなどを決定してから工場に発注するため、できあがるまでにそれなりの時間がかかります。
目安としては、だいたい4〜5週間、長くて1ヶ月少々みておくとよいでしょう。
また、仕上がりの際にフィッティング(試着)をしますが、このときにも微調整があると、さらに納期が延びます。
もし、スーツを用意しなければいけない日にちが決まっている場合は、余裕をもって仕立てるのがおすすめです。
ネットで購入するのはやめたほうがいい?
どうしても店舗に行けない場合、または近くにテーラーがないケースでは仕方ありませんが、実際にサンプルを着用し、フィッターと話し合いながらスーツを作り上げるのがオーダースーツを仕立てる醍醐味です。
また生地の素材感や襟の形を変えたらどうなるのか? 袖のボタンの数を増やしたら印象が変わるのか?などは、当然ながら実物を見たほうがイメージがわきやすく、仕上がりも外れることがありません。
この点から考えると、やはりネットは想像していたものと違った製品が届く場合が多く、オーダースーツという特殊な製品ですので、返品がきかない場合も多々あります。
オーダースーツは「体験を購入する」といった価値もあります。できるだけテーラーで仕立てたほうがよいでしょう。
まとめ
今回のコラムでは、「20代だからこそ持ちたい、ちょっといいアイテム」をテーマに、セミオーダースーツについて解説しました。
オーダースーツには高価なものもありますが、セミオーダーであれば手ごろな価格で自分の体型に合ったオリジナルのスーツを仕立てることができます。
若いうちに「いいスーツ」を着ることは、自信にもつながりますし経験値も上がります。もちろん話のタネにもなりますので、はじめてスーツを仕立てる方でも、2着目を考えている方でも、ぜひ気軽にテーラーに足を運んでみてください。きっと面白い体験ができるはずですよ。