Web解析士の役割は、ウェブを通じて事業の成果を最大化することです。
そのため、Web解析における数値やデータを中心に物事を考えてしまいがちですが、本当はクライアントの立場にたって考えなければなりません。
正しい視点に立ってこそ始めて成果を得ることができるのです。
それではいったい、クライアントの視点に立って物事を考えるとは具体的にどういうことでしょうか?
この授業では、事業成果を最大化にするWeb解析士の仕事内容と求められる能力についてお伝えします。
クライアントの事業の把握
ウェブ解析士として働く場合、他の何よりもクライアントの事業分析を優先してください。
事業分析の仕方によって、事業成果は大きく変わります。
意識としては、事業分析(マーケティングリサーチ)に、9割の労力を割きます。
残りの1割は、マーケティングリサーチによって得られた結果から施策を実行に移す労力です。
つまり、マーケティングリサーチ次第で、クライアントを成功に導けるかどうかが決まるということです。
顧客の視点に立ってマーケティングリサーチをすれば、企業の顧客に喜ばれる商品やサービスが提供できるようになります。
同じ視点に立つということは簡単ではありませんが、
「もし、○○で困っていたら、自分ならどうするだろう?」
と具体的にイメージしながらマーケティングリサーチを行ってください。
リサーチによって、一定の情報を入手できたら、仮説検証を行っていきます。
仮説検証
ウェブ解析士は、常に仮説検証能力を高めていくことを心がけなければいけません。
ウェブ解析士に求められる仮説検証とは、施策の結果や想定したユーザー像について、仮に設定した結論(仮説)を確かめることを意味します。
仮説検証が終わったら、続いて原因分析を行います。
原因分析
原因分析とは、マーケティングリサーチによって発見された疑問点が生じる理由を分析することを意味します。
原因分析能力を高めれば、あらゆる問題点について、その理由を自分で導き出せるようになります。
仮説検証と原因分析が終わったら対策立案を行います。
ウェブ解析士なら、データ分析だけにとどまらず、実際の行動に移していけるように施策の提案までしっかりと行いましょう。
フレームワークの利用
事業の成果を最大化できるウェブ解析士になりたいなら、ビジネス系フレームワークの習得に努めてください。
フレームワークとは、経営コンサルタントや経営学者が、ビジネスを成功に導くために作り出した「考え方の枠組み」のことです。
代表的なものをいくつかご紹介しておくと、大前研一氏が提唱した3C分析やマーケティングミックスとも呼ばれる4P分析、4C分析、アメリカの経営学者マイケル・ポーター氏が提唱した5Force分析などがあります。
フレームワークは基本的に、「自分が使いやすいものを使う」ことをおすすめします。
まだ一度も使った経験がないという方は、どれか興味のあるフレームワークを考え方枠組みとして決定し、体になじむまで繰り返し利用するとよいでしょう。
フレームワークを利用するようになると、物事を論理的に把握する能力が高まります。
フレームワークを利用するメリット
フレームワークを利用するメリットとして、論理的な思考力を養う以外にもメリットがたくさんあります。
それは、事業領域を言語化することで、クライアントとの共通言語が生まれるという点です。
ウェブ解析を依頼してくる多くのクライアントは、ウェブマーケティングについて詳しいわけではありません。
こういった状況でもウェブ解析士は、ある心がけを忘れてはいけません。
それは、「クライアントの協力なしにプロジェクトは成功しない」ということです。
他にも、「クライアントと円滑な協力体制をつくるためには、認識のズレのないコミュニケーションを実現する必要がある」ということです。
クライアントとの協力体制を実現し、認識のズレのないコミュニケーションを実行するためには、フレームワークの利用が欠かせません。
フレームワークがあることでウェブ解析士とクライアントとの意思疎通が非常に楽になります。
コミュニケーションデザインの作成方法
ユーザーを理解するためのフレームワークとして、コミュニケーションデザインと呼ばれるものがあります。
これを利用すれば、ユーザーが普段どのような人とつながり、どのようにコミュニケーションを行っているのか、また、どのようなメディアを閲覧・利用し情報を取得しているのかなど、あらゆることが分かるようになります。
それでは、コミュニケーションデザインの作成方法をご紹介します。
①ターゲットユーザーの定義
まずは、ビジネス上の見込み客を明確にしましょう。
特定の利用者にしか当てはまらない具体的なケースや、その利用者の特徴が明確に分かる定義付けを行うことで、その後のコミニケーションデザインの作成が比較的楽になります。
②日頃接するメディアを抽出する
ターゲットユーザーが日常的に接するメディアを抽出していきます。
一般的にウェブメディアやマスメディアを挙げていきます。
クライアントとターゲットユーザーがつながりそうなメディアで、ターゲットユーザーの構成が生きるメディアを明確化できると、ユーザー像が具体化しイメージしやすくなります。
③日頃接する人間関係とコミュニケーション手段を抽出する
日頃ターゲットユーザーが接していると思われる人間関係を抽出していきます。
友人やオンライン、会社、同級生など、あらゆることが想定されますので、所属する部署やサークルなどもイメージしながら具体的に記述していきましょう。
また、それらのユーザーがどのようなコミュニケーション手段を行っているか検討しましょう。
ソーシャルメディアやメッセンジャーなど、具体的なサービス名までイメージできると、最終的な施策をイメージしやすくなります。
④ユーザーならではのタッチポイント例を挙げる
ターゲットユーザーが接することが想定される情報やメディアに接触するタイミングや場所をタッチポイントと言います。
オフラインやオンラインでタッチポイントを明確化し、例として挙げたものを、いくつかクライアントに伝えてリアリティーがあるか確認してください。
まとめ
ウェブ解析士に最も求められる大切な能力は、クライアントとのコミュニケーション能力です。
事業分析やフレームワークの習得は、自分のためではなくてクライアントのためです。
コミュニケーションデザインなどのフレームワークを利用すれば、ターゲットユーザーに関する情報を幅広い視野でクライアントと共有できます。
これにより、ウェブ解析士がクライアントのユーザーを見ていることやオンライン以外の視点も意識していることが伝えられます。
事業の成果を最大化するためにも、お互いの意見を尊重しながら、より良いアイディアを生み出していきましょう。