時間内に終わるはずなのに残業をしてしまう多くのビジネスパーソンの方は「集中力」が不足しています。
集中力は、限られた時間の中で質の高い仕事や大量のタスクをこなすために必須の能力です。
ただし、集中力には個人差があります。また、その日の体調や気分によっても集中できる度合いは左右されるのです。
さらに、集中力があっても仕事中ここぞというタイミングで発揮できなければ意味がありません。
では、仕事中に最大限の集中力を発揮するにはどうすればよいのでしょうか?
この記事では、集中力のメカニズムと集中力を高める方法についてわかりやすく解説します。
集中力のメカニズムを知ることで集中力をコントロールできるようになります。
集中力を自由自在に発揮して仕事のパフォーマンスを向上させましょう。
集中力は一点にしか働かない
たくさんの仕事を抱えたとき、あれもこれもと同時にやってしまおうと考えることはありませんか。
一見、効率的なように見える同時進行ですが、人間の脳は一度にひとつのことしかできないことを発見した研究もあります。
たとえ、同時進行が可能だったとしても、どちらにも同じように高い集中力で取り組むことはできない仕組みになっているのです。
可能性のある弊害としては、処理したことや置いた場所を忘れる、ミスが増えることなどが挙げられるでしょう。
集中力を発揮したい場合には、一点集中でひとつひとつをこなしていくのが効果的なのです。
その一点集中の繰り返しが集中力を高めるトレーニングにも繋がりますから、同時進行は長い目で見ても非効率な仕事の仕方といえるでしょう。
また、ひとつの仕事の途中でメールやSNSに対応したり、他のことを気にしながら作業することも一種の同時進行です。
一度集中が途切れてしまうと、元の集中度に戻すのに20~30分の時間を要するともいわれていますから、ひとつひとつの仕事や動作の区切りを明確にしておくことが大切です。
時間制限で集中力を上げる
タイムリミットがあると集中力が上がることをご存じでしょうか。
時間管理をする中でも、仕事に適度な時間を割り当てて進めていかれると思います。
ひとつひとつの作業を行う際には、タイマーやストップウォッチなどを活用すると分単位、秒単位の意識を高めることができます。
パソコンやスマートフォンのタイマー機能を使って、時間を計りながら仕事に着手してみてください。
簡単ですが、進み具合がグンと上がります。見積もっている時間より、10%ほど短縮した時間設定にしてみるのもおすすめです。
イタリアの企業家が開発した「ポモドーロテクニック」がフィットする人も多いかもしれません。
一日のタスクを決め、25分間タイマーをセットしてタスクに取り組みます。25分間はタスクに集中し、タイマーがなったら5分ほどの休憩を取ります。4回ほど繰り返したら、20~30分の長めの休憩を取ります。
25分という長さの繰り返しがすべての仕事のスタイルに当てはまるとはいえません。しかし、一点集中で仕事に取り組むことを徹底するのに大変効果的です。
このテクニックの時間を区切ること、休憩をはさむという要素はどんな人にも活用する価値があるでしょう。
睡眠の質が集中力に影響
前の夜の睡眠の質が翌日の集中力に大きな影響を与えるといわれています。
寝不足の状態では、ボーっとして注意力も散漫になり、集中どころではなくなりますよね。
イライラや不安感などネガティブな心理も働きやすくなり、仕事の効率を下げる要因にもなるようです。
現代人は、熟睡できていない人が多いようで、身体や脳の疲れをしっかり回復できていないことが懸念されています。
毎日、集中力を発揮して、維持していくために、特に眠りについてからの3時間は、ぐっすりと眠ることを目指しましょう。
睡眠時間を確保するというだけでなく、一歩進んで睡眠の質を上げるという意識を持ってみてください。
睡眠の質を上げるためには、寝る前にしたほうがいいことを実践し、避けるべきことをしないという両面からのアプローチが効果的です。
寝る前に行うといいものに、
- 緊張をほぐすストレッチ
- 一時間ほど前にゆったりと湯船に浸かる
- 入眠のための雰囲気づくり
などがあります。
例えば、7時間の睡眠時間が確保できる場合でも、15~30分のストレッチで緊張した筋肉をほぐし血流を促すと、その分睡眠時間が短くなったとしても睡眠の質が高まります。
湯船でリラックスして身体を温め、ちょうどベッドに入る頃に体温が下がり始めることが入眠をスムーズにするそうです。
また、毎日これをして寝るというルールを設けて実践することによって、脳や身体が自動的に入眠準備モードに入るといわれています。
例えば、照明を暗めにしたり、アロマを焚いたりということも効果的です。
寝る前に避けるべきなものに、
- パソコンやスマートフォンを見る
- 食事を摂る
- カフェインを摂る
などがあります。
パソコンやスマートフォンから発せられるブルーライトは、視神経を緊張させ、眠りの質を落とすといわれています。寝室には持ち込まないほうが良さそうですね。
夕食は3時間前までに済ませておくのが理想です。食事をとってから胃や腸などの消化機能が落ち着くまでに2~3時間を要します。
消化機能が働いているときは身体も脳も働き続けることになるので熟睡はできません。
カフェインについては、経験済みの方も多いと思います。コーヒーをはじめ緑茶や紅茶にも含まれているカフェインは脳や神経を覚醒させる働きがあるので寝る前は控えましょう。
飲食の栄養素で脳を補助
身体の健康維持のために何を食べるか、どんな栄養素を摂取するかに気を配る人は多いですが、脳にも栄養が必要です。
脳が集中力を発揮するために有効といわれている身近な食品を紹介します。
もちろん、集中力を発揮するにはバランスの良い食生活を心掛け健康であるということは大前提です。
その上で、職場でも気軽に摂ることのできる食品を活用して集中力のための栄養補給を行ってみてください。
血糖値が下がると集中力が低下するといわれているので、血糖値を上げる必要が出てきます。
コンスタントに集中力を保っていくには、この血糖値の上昇と下降の波ができるだけ緩やかなほうが良いのだそうです。
ナッツ類
ナッツ類は、高い栄養素を含み、血糖値の変化が緩やかな食品です。
特に、アーモンド、クルミ、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ピーナッツなどがおすすめです。
ナッツには、ビタミンB₁やB₂、タンパク質、レシチン、オメガ3脂肪酸、ビタミンEなど脳の働きを活性化し、集中力を高める栄養素が豊富に含まれています。
ドライフルーツ
ビタミンやミネラルなどの栄養素がギュッと凝縮されているドライフルーツもおすすめです。
糖質もたっぷり含んでいますが、その多くが天然の果糖なので、白いお砂糖から作られた甘いお菓子よりも健康的にブドウ糖摂取ができます。
ドライフルーツも血糖値を急激に上げる心配が少ない食品です。また、噛むという動作にも集中力を上げる効果があるといわれています。
ミネラルウォーター
人間の身体の60%は水分ですが、脳はその80%が水分だそうです。
脳の渇きを感知することは難しいですが、脳の渇きも集中力に影響するといわれています。
ミネラルウォーターは血糖値に影響を与える心配も少ないので積極的に摂っていきましょう。
まとめ
ひとつのことに集中して取り組むこと、それぞれの仕事にタイムリミットを設けて取り組むこと、質の高い睡眠を取ること、そして集中力を高める食品をご紹介しました。
高い集中力で仕事に取り組むことは、スムーズな時間管理をすることといつも隣り合わせです。
集中して没頭している感覚は、高パフォーマンスを引き出すフロー状態とも呼ばれ、この時間の頻度が高いほど、仕事の充実感も高まるといわれています。
多くの仕事を質高く、充実感を持って行えるというのは理想的な仕事の進め方ではないでしょうか。