IT営業はお客さまに合わせた提案や契約を結んだあとのアフターフォローなど、対人コミュニケーション能力が問われる職種です。
IT関連の商材を販売する上ではほとんどの場合、顧客の作業効率を上げ、顧客が抱えている問題を解決することを目的としています。
自社の製品やサービスを導入し、お客さまからお礼の言葉をいただけることは、大きなやりがいにつながるでしょう。
努力の結果が売り上げとして表れるため、仕事の成果がダイレクトに分かる営業職はやりがいの多い仕事です。
しかし、営業という仕事の特性上、成果が上がらないと仕事に対するやりがいを感じられなかったり、満足な給与を得られなかったりする可能性もあります。
今回は、IT営業への転職を考えている人、現在IT営業として働いていて成績に悩んでいる人に向けて、IT営業という仕事のやりがいと売るためのコツをご紹介します。
SES・派遣営業のやりがい
SES業者のWEBサイトやパンフレットでよく目にする「特定派遣」という言葉は、多くの人が思い浮かべる一般派遣の「登録スタッフを派遣する」ことではなく、「自社の社員(技術者)を他社へ派遣する」ことを意味します。
定められた法律等も一般派遣とは違いがあるのですが、「派遣」という読みから同じだと勘違いしている人も多く、社員と企業の間でトラブルが発生するケースも多いのが実状です。
しかし、クライアントとなる企業が必要としている技術や人材をしっかりと把握し、それにマッチする人材を提供できるこの仕事はやりがいも多く、
- クライアント企業の上層部から相談されることも多く、経営的な視点も身につく
- クライアント企業、エンジニアの双方に満足してもらえた時の喜びが大きい
- 人材を取り扱う責任の重さに比例したやりがい
など、IT業界において「人材を扱う」という特性によるやりがいが主に挙げられます。
SESや派遣営業におけるやりがいは、何と言ってもクライアント企業や派遣スタッフから信頼され、感謝されることでしょう。
クライアント企業とエンジニアのマッチングは、そのエンジニアの人生にも大きく影響し、うまくいけばクライアント企業にも派遣スタッフにも利益をもたらします。
採用が決まると、自分のことのようにうれしいと感じる営業職が多いのも事実です。
SESや派遣営業は、働きたいと考える人と働き手を探している企業の懸け橋となる、「人と人をつなぐ」仕事です。
仕事を通じてたくさんの人と関わることができることは、人が好きで、人と接する仕事がしたいと考えている人にとって、とても大きなやりがいになるでしょう。
また、ひとりひとり異なる価値観を持っているエンジニアたちから学ぶことは多くあります。
さまざまな考え方や生き方に触れていくうちに、自分自身の人間性を豊かにすることにもつながっていくでしょう。
企画・提案営業(SI)のやりがい
SIは、システムインテグレーションの略称です。
営業ではお客さまの抱える問題や課題を把握し、システムの企画・立案からプログラムの開発、必要なハードウェア・ソフトウェアの選定・導入、完成したシステムの保守・管理等で、お客さまとエンジニアをつなぐ役割を果たす仕事です。
SI営業におけるやりがいには、
- 規模や金額が大きい
- 長期的な関係構築
- 仕事をスケジュール通りに完遂した瞬間の達成感
- 長期的な視野で物事を見られるようになる
上記のようなものが挙げられます。
SI営業の場合、企業のシステムを扱うため基本的に金額や規模が大きい傾向があります。数百~数千万円、大きいものだと億単位になることもあるでしょう。
これはインセンティブにも反映することが多いため、営業として大きな成功を目指す人にとってはおすすめの職種だと言えるでしょう。
また、最初のヒアリングからシステム導入までに数カ月~半年、長いものだと1年以上かかる案件もあり、納品後の運用や保守も考慮すると5年、10年以上の付き合いになることもあります。お客さまとの長期的な関係が構築できるとスムーズな取引が望めます。
そして、SI営業にとても重要なスキルに進捗管理があります。
納期に遅れそうであれば開発部門に状況を確認し、作業スピードを上げるようにしなければいけません。
ひとつの案件が長期間にわたることも多いため、スケジュール通りに終えた時のやりがいは非常に大きいものでしょう。
長期的な視点で物事をとらえられるようになる、ということもSI営業におけるメリットのひとつと言えるかもしれません。
パッケージ・サービス営業のやりがい
ソフトウェアなど「もの」を商品として扱うIT営業です。
「物販営業」に近く、技術的な知識よりはソフトウェアの使い方や業務的な知識が必要になります。
パッケージ・サービス営業のやりがいは何と言っても
自分の「営業力」が試せる
ということ。
前述のSES・派遣営業やSI営業においては営業側に専門的な知識を求めることも多くあります。
一方、パッケージ・サービス営業においては、専門知識よりもお客さまに商品の魅力を伝える「営業力」がより必要とされる傾向があります。
お客さまにとって明確なメリットを提供できるため、 商品力があればさらに営業がしやすい、というのも特徴のひとつでしょう。
とくにほかの業界の営業職からIT業界への転職を考えている人などは、自分が培ってきた営業としての経験やスキルをそのまま活かすことのできる、とてもやりがいのある職種と言えます。
ITの知識は少ないが、営業力ではだれにも負けない自信がある
そんな人にとっては、おすすめできる職種です。
また、SES・派遣営業やSI営業に比べ、取引ごとの単価が低い傾向があるため、営業するクライアントの選択肢が多かったり、比較的契約を獲得しやすかったりするのもメリットのひとつになるでしょう。
IT営業における「売るためのコツ」
多くの営業職において、お客さまの課題を発見し、その解決策を提示することは重要です。
IT業界の新規開拓でもそれは同様で、お客さまのニーズを正確に把握し、自社のサービスや商品で解決できるという提案をしていく必要があります。
そのような場合、営業として求められるのは一方的にサービスの魅力を伝えるような「トーク力」ではなく、お客さまの状況をできるだけ詳細に聞き出すための「ヒアリング力」だと言えるでしょう。
ここからは、IT営業にとって売るために大切なヒアリング力にフォーカスし、解説していきます。
IT営業はヒアリングが大切
IT営業とは、パッケージソフトなどの製品、システム開発やWEBサイト制作など、ITに関するサービス全般においての営業を指します。
お客さまの「こういったものが欲しい」「こんな悩みがある」というポイントに応じて商品を提案する必要があるため、しっかりとしたヒアリングなくして契約を獲得することは難しいでしょう。
パッケージソフトなどの自社製品、システム開発、WEBサイト制作など、具体的な商品やサービスは企業によって違います。
しかしヒアリング能力を磨くことは、どんなサービスを扱う上でも重要な要素です。
いわゆる「売れない営業」のなかには、自分が主体になって話し続けてしまう人が非常に多くいます。
一方的にこの商品がいい、あの商品がいいと言われても、それがすべてのお客さまに共通するとは限りません。
自分の話を聞こうともしない営業の態度を見て、お客さまは心を閉ざしてしまうのです。お客さまに心を開いて話してもらえるようなヒアリング能力をつける必要があります。
こちらからの提案を少し控えて、雑談を交えることも重要で、例えばその時目に飛び込んで来たものについて質問したり、棚に並べられているシステムソフトがあれば質問してみたりするのもいいでしょう。
そうすることでお客さまとの距離が近づき、警戒心を緩めることにもつながります。数回の営業では難しいことですが、それを根気強く繰り返すことによって契約のきっかけをもらえる可能性が生まれます。
具体的には、雑談のなかで顧客の使用しているソフトの導入時期が分かれば、アップデートの機会に交換の検討を提案したり、今のソフトはこのような問題が出ているので交換しましょう、のような提案ができたりします。
雑談は営業にもつながっていくのです。
一回の営業で獲得までしよう、と強く意識し過ぎてしまうことは厳禁です。あくまでもお客さまの立場に立った提案を心がけましょう。