「子供の学費や老後が不安だ!でも、具体的に何をすればよいのか分からない」
こういった方は案外多いのではないでしょうか?
今回は家計計画や老後計画作成のプロである「ファイナンシャル・プランナー」が実際に将来計画を作成する際に抑えるポイントと流れをご紹介し、皆様の将来設計にお役立ていただければと思います!
運用や老後計画は「これさえ行えば大丈夫!」という明確な答えというのは残念ながら存在しませんが、少なくともプロの手法を知ることができれば、より正確な方針決定が可能となります。
これを機にプロの手法を知っていただき、ぜひとも老後設計にお役立てください。
まずは「目標設定」をしよう!
ファイナンシャル・プランナーに限らず、資産運用の将来設計を行う際、最初に考えるのは「着地点」です。専門家、特に資産運用が絡む場合にはこれを「イグジット(出口戦略)」と呼んだりもします。
まず目標設定する理由ですが、それは当然、「目指すところにより、アドバイスは変わってくる」からです。
安直に「だれでも、余裕ある生活ができるようになります!」というプランニングは一見魅力的ではありますが、現実問題として資産運用などの「財テク」で得られるリターンというのはリスクとイコールになっている、というのが経済学および運用学における通説です。
つまり「大きな利益が得られる=大きな損失を抱える可能性がある=不要なリスクを取っている!」という方程式が成り立ちます。
こういった「不要なリスクを取らないようにする」ため、お金のプロはクライアントが「何を目指すのか」を明確化することを重視します。
では具体的な目標設定の方法ですが、基本となるのは「いつまでに」「いくら必要なのか?」ということを明確化することから始まります。
例えば「5年後に子供が大学に行くから、それまでに学費をいくら貯めたい」だとか、「8年後に退職するから、老後の生活も考えていくらの資産を作りたい」といった目標ですね。
この「いくら」というポイントを明確化するのが重要で、「学費」や「老後資金」には、目指す学部や生活水準などによっていくら必要なのか?という金額が変わってきます。
これが、お金のプロが仕事をする部分の第1幕です。「変わってくる金額部分」を他の顧客データや経済・景気状況、物価水準などに合わせて明確化するサポートを行っていきます。
もちろん必ずしもプロに頼む必要はなく、ご自身で統計局や厚生労働省などで公開されているデータを元に相場を調べ、数値を当てはめるという事も可能です。
ですが時間的な問題や正確性などの関係上、基本的にはプロに任せることをお勧めします。
将来必要となる金額の達成方法を決める
学費や老後資金などで「何年後にいくら必要」ということが明確化したら、後は簡単です。
現在の貯蓄状況や収支状況などを元に、「目標の金額を達成するにはどうすればよいのか」というのをプランニングしていきます。
近年、金融庁などが「金融商品の販売業者と顧客の利益が必ずしも合致していない」という懸念を表明したりすることに明示されているように、「銀行窓口や証券会社など金融商品を売る機関に属しているお金の専門家」に相談すると、この段階で必ずと言っていいほど「預金より有利なので金融商品を買いましょう!」という話になります。
ですが、「金融商品を売らない投資の専門家」としての実務経験から言わせていただくと、結構な確率で運用をしなくてもよい、もしくは家計改善と公的機関からのファイナンスで目標額を達成できるという事例も珍しくありません。
ここで言いたいのは、将来必要となる最低金額が無理なく達成できるなら、運用を無理に行う必要はないということです。
もちろん、普通の販売窓口などではこういったアドバイスをするとビジネスにならないので無理やり何か金融商品を紹介されることになりますが、「運用は必須ではない」ということを念頭に置いておきましょう。
自己資金とリスク許容度を図る
「学費」や「老後」などにおける「必要最低限の資金達成」では無理に運用する必要はないという結論を出しました。
ここからはこれにプラスして「ゆとりのあるライフプラン」、ざっくりと言ってしまえば「遊ぶためのお金」を確保するにはどうすればいいのか、という突っ込んだ話になります。
先に少しご説明したように、基本的に資産運用というのは「リターン=リスク」です。大きな収益を目指そうと思うとそれに見合ったリスクを取る必要があるのです。
こういった形式上、「ゆとりのための投資」というのは「必要最低限資金」である「学費」や「老後資金」以外の「余剰資金」で資産運用を行うのが通例となっています。
一見、学費や老後資金といった「横に取っている資金」がある方は「これを運用すればもっと楽になる!」といったことを考えがちですが、基本的に弊社ではこういった資金は、差し迫った状況を除いて「手を付けないように!」というアドバイスをおこなっています。
こういった「ゆとりのための資金」に関する運用を考える場合、重視するのは「リスク許容度」です。
例えば将来、100万円が欲しい人がいるとして、それが1年後なのか、10年後なのかによってリスクを取る方法、つまりどんな金融商品を選ぶべきか、というのは変わってきます。
また運用を行う年齢が20代なのか、50代なのかによってもいわば「賭けられる」許容度が変わってきます。
20代なら一文無しとなっても何とかリカバリーがきくかもしれませんが、退職を控えた50代となると、そうはいきませんよね。
こういった「自己資金の状況」および「欲しい金額」に応じて「リスクをとれる度合い」を決定し、それに応じて金融商品を組み合わせ、目標達成のためのプランニングを作成していきます。
長期プランの作成
こういった流れで「最低限必要な資金」と「余裕のために欲しい資金」およびそれに伴って取れる「リスク許容度」が決定すれば、後はそれを長期計画としてグラフに落とし込み、「何年後には資産がこうなっているはずです」という長期プラン表を作成します。
個人であればこの段階で終わりですが、キッチリとフォローアップを行うプロに依頼した場合、大抵「アフターリプライニング」というものが付属してきます。
これは半年ごとや1年ごとといったスパンで「立てた計画と実際の資産状況の推移」を適宜モニターし、状況に応じて修正していくという作業です。
資産運用には「これさえしていれば儲かる!」という正解がないように、「計画」はあくまで「計画」であり、定期的なチェックとテコ入れが必要です。
また例えば「今は株がいいですよ!」といったアドバイスも、1年、5年といった期間が経過するうちに、それが「最善」でなくなる場合というのも存在します。
昔の事例で言えばバブル、近年であればアベノミクス、トランプ大統領誕生といったイベントがこういった「テコ入れするべきタイミング」に当たります。
こういったテコ入れをキッチリと行うことで、将来プランの達成をより正確に、かつ着実に行うことができます。
そのため自身でプランニングを行う際は「投資した資産が今後どうなるのか?」といった推移を絶えずチェックし、キッチリとモニタリングする必要があります。
まとめ
以上が「お金のプロ」が将来設計を行う際の流れとなります。
「難しい!」と思われるかもしれませんが、大変だからこそファイナンシャル・プランナーといった専門家が存在します。
正直今回の例は必要最低限の内容で、ここに「子供の家計独立」や「相続」といった問題なども加味しだすと、さらに複雑になっていきます。
ですが、上記の内容を厳密に行うのではなく、あくまで「参考」として利用することで、今漠然と考えておられる「将来設計」はかなり正確性を増すであろうことは保障いたします。
上記を「実行しなければならない!」と難しく考えるのではなく、専門家は「こういった理由からプランニング条件を決めていくのか」と考える参考としてお役立ていただけると幸いです。
執筆:
株式会社バタフライファイナンシャルパートナーズ
代表取締役 土居 亮規
「金融商品を売らない投資の専門家」として金融商品企画・アドバイザリー業務を行う傍ら、講演・メディア執筆作業を行う。近年は金融商品やマーケット時事の解説だけでなく、最先端の投資案件と税務を組み合わせ、「市場リスクを取らずに利益を出す」方法の企画をメインに進めている。
メディア活動においては「100%顧客目線で投資アドバイスを行うには、商品の販売業務を行わないようにする必要がある」という理念の元、中立かつ公平な記事執筆・講演を行っている。