ルート営業は一般営業とは異なり、既存顧客に対してのアフターフォローが中心となる職種です。現場に訪問し顧客と顔なじみになることが関係性作りの第一歩となります。
しかし時期や状況次第では、対応に割く時間が顧客側にとって大きな負担となってしまいます。
かと言って、限られた訪問回数のなかだけで信頼関係を構築することは非常に難しく、営業の人柄や誠意などは十分に伝わらない可能性もあります。
また、定期的に訪問する約束を取りつけていたとしても、会っていないあいだに競合他社からの提案が入り、顧客を取られてしまうリスクも考えられるでしょう。
顧客離れを防ぎ、より顧客との関係性を深めるために、訪問以外のコミュニケーションにも力をいれておく必要があります。
代表的な方法に、電話やメールが挙げられます。
「定期的に会っているからメールや電話対応はそこまで力を入れなくていいだろう」という甘えは顧客離れを引き起こす原因になります。
そうならないために、今回は、既存顧客との関係構築に重要なメールや電話対応の方法について見ていきましょう。
ルート営業における電話対応のコツ
一度契約を結んだ顧客に対して、信頼を失わないことは大切ですが、そのための電話対応のコツは「雑談」と「聞き上手であること」です。
顧客の忙しい時間帯を避ける、丁寧な言葉を遣う、などの一般的なマナーを守っていても、「あの人とは馬が合わない」と思われてしまうと、すぐに電話を切られてしまう可能性があります。
それを避けるためには日ごろから雑談ができる関係を作ることです。
雑談の中には、顧客の現状や抱えている問題点などが含まれることがあります。
挨拶からいきなり新たな製品やサービスの提案から始めるのではなく、季節の変わり目なら「最近、花粉が出始めましたね」など何気ない会話を挟むことで、顧客側も構えず会話ができます。
「また何かありましたらいつでもお声がけください」など相手が気兼ねなく電話を切ることができるよう終わらせることで、次回こちらからも電話をかけやすいでしょう。
また電話は声だけで顧客側に提案をしていくので、提案内容はもちろんですが、不明点にはすぐ答えられるよう真摯な姿勢が必要です。
その場ですぐに答えられなければ、折り返しの電話を入れるなど、常に顧客の期待に応えようとする姿勢を示すことが重要です。
そのような不明点を導き出すためには「」であることも大切です。
一方的に提案をするのではなく、雑談を挟みながら顧客の話を聞いていくことで 何をアプローチするべきかの判断材料にもなります。
聞き上手であることは普段の営業時にも大切なことです。
ただ、電話の際は対面と比べ相手の表情や状況が分かりづらいため、間が空くのが不安になり焦って喋りすぎてしまう可能性があります。
一度の営業で結果が得られなくても、自分を覚えていてもらうためには「困ったときはこの人」というように顧客からの信頼を得る必要があります。
また製品やサービスは常に進化していきます。その時々に顧客側に生じてくるだろう問題点、不明点を予測していくことも必要です。
そのために現場や電話口などで、何気ない会話をしておくことが重要なのです。雑談を通して顧客は何を求めているのかを考えながら提案することが営業の仕事です。
ライバル社の新規営業に対してルート営業が持つ大きな強みは、顧客の現状と改善点をより詳細に把握した上で、アプローチしていけることです。
顧客が経営者である場合、新しい製品やサービスを導入する際の不安、疑問点を解消するには「この人なら安心できる」という信頼が必要です。
この顧客からの信頼がルート営業のゴールであり目指すところです。
ルート営業におけるメールのコツ
訪問と電話のほかに、メールで行う営業があります。
訪問や電話と比べ時間や場所に左右されにくく、時間も短縮できる傾向にあるため、多くの企業が行っています。そんなメール営業のコツは「自分で読み、どう感じるか確認すること」です。
ビジネスメール実態調査2017では、1日の平均通数のうち送信は約12通、受信は約39通で、メールの確認頻度は「1日に10回以上」(47.93%)が最多と出ています。(http://businessmail.or.jp/archives/2017/06/02/7246)
一般的に営業メールで重要なのはタイトルと言われています。
人間が一目で頭に入ってくる文字数は16文字ほどと言われており、iPhoneの標準メールアプリでは16文字を超えると画面から切れてしまいます。
ですので、タイトルは12~14文字程度と考えてください。(https://mayonez.jp/topic/2813)
その上で件名に明確な用件を記入すること、相手にどうしてほしいのか要望を明確にすることが大切です。
書き方としてはメール冒頭部分に結論を入れ、本文は簡潔にし、問い合わせ先や担当者名を明記すること、メールの最後に 署名を入れることなどが基本です。
自社ドメインのメールを使用するなども気をつけたいポイントです。
また、それだけでなく、自分が目を引くタイトルなのか(件名の工夫)、自分なら信じる内容になっているか(簡潔な文面の工夫)、自分ならそのメールを読んで行動するか(問い合わせ要素の工夫)なども確認していきます。
しっかりと相手に読んでもらうことを考えるなら、毎回テンプレートに頼るのではなく、送る前に自分で読み、どう思うかを考えることが必要です。
また、営業メールを送る頻度を増やしても、送りっぱなしではメールの内容をブラッシュアップすることは困難です。定期的に読み手に感想を聞き、改善するようにしましょう。
(https://hiroshi-sasada.com/blog/salesmail-knack/)
自分だったら「行動するか」「信じるか」「そもそもメールを開くか」その観点から営業メールを作成するようにしましょう。
ルート営業は訪問時以外の時間も勝負
訪問時にどんないいアプローチができたとしても、電話やメールでの定期的なフォローがなく、しばらく会わなかったとしたら顧客の商品への意欲は低下してしまう可能性があります。
長期の関係を築くためには信頼が必要です。
もしフォローしきれなかった内容があれば、その日のうちに電話やメールで顧客の不明点に答えておきます。
そういったやり取りを重ねて信頼関係を築くことが、ルート営業の役割です。
そして万が一トラブルが生じても、日ごろからメールや電話で顧客の不満をこまめに解消していれば、突然契約を切られてしまうというような事態も避けられます。
ルート営業は、単なるテクニックで顧客のアフターフォローに当たるものではありません。雑談や聞き上手であること、顧客の立場に立った行動その一つ一つが結果的に契約更新に結びつくのではないでしょうか。