【第13話】新規開拓をしなければ会社は成り立たない

【第13話】新規開拓をしなければ会社は成り立たない

WAKE UPストーリー第13話

実際の就活や仕事に使える知識やスキルをストーリーで学ぼう!

【WAKE UPストーリー】毎週金曜日更新中

今どきの新社会人、林良介が紆余曲折を経て成長していく様子を描いた、就活生~新社会人のための連載型コンテンツ。

登場人物紹介(※クリックで拡大)

WAKE UPストーリー登場人物紹介

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]結局、営業職になっちゃったなあ……[/speech_bubble]

 

一人、社内でつぶやく俺。

 

武田と飲んだ夜、勢いで書いた希望配属先。

その通りの配属先に正式に決まったのだ。

 

大学時代はまさか自分が営業をするなんて夢にも思わなかった。

せかせか毎日働いて、頭を下げてばかりの営業マンになるつもりなんてさらさらなかったのだ。

 

でも、これは成功のためのチャンスでもあるかもしれない、とも思う。

インターンでは1位になったのだから。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]営業って実際どんな感じなんだろうなあ[/speech_bubble]

 

俺のなかでの営業のイメージはそんなに良くない。それはインターンを経験し、社内で座学研修をしている今でもそうだ。

 

インターンの時は感動が大きくてつらいことも忘れてしまっていたが、落ち着いて考えるとやっぱり悪い想像ばかりしてしまう。

 

なかなか成績が伸びずに上司の下で縮こまっているイメージだ。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]俺にできるかな……[/speech_bubble]

 

仕事のことを考えると、どうしても綾子のことが頭に浮かぶ。

綾子は無事に就職できた俺を祝福してくれている。

 

せっかく綾子とやり直せたのだから、ちゃんと成功できる仕事を選びたい。

もうがっかりさせたり、不安にさせたりしたくないのだ。

 

そんなことを考えていると、スマホが鳴った。

綾子からだった。

 

[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”ayako.png” name=”AYAKO”]仕事はどう? うまくいってる?[/speech_bubble]

 

すぐに返信する。

 

 

[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”blank.png” name=””]俺、営業に決まった。これから大変になると思う[/speech_bubble]

 

[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”ayako.png” name=”AYAKO”]インターンの時、すごくうれしそうだったもんね!

リョウならできるよ。

頑張って。応援してる[/speech_bubble]

 

 

すぐに既読になり返事がきた。

うれしかった。こんな、何でもないやり取りが。

 

[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”blank.png” name=””]ありがとう。綾子も頑張れ![/speech_bubble]

 

綾子とのやり取りは癒しだった。

綾子に励まされただけで、営業の世界に飛び込み、頑張ってやろうという気力がふつふつとわいてきた。

うまくやっていけるだろうか。

そんな不安な気持ちも、もちろんある。

だが、黒田取締役のように、若手のうちに結果を出してかっこよく出世したいという欲もあった。

 

まだ休憩時間は残っていたが、昼食を終えて社内の会議室に戻る。

今日も今日とて、座学研修だ。

座学での研修ももう終わりが近く、今日は山田部長が営業についての話をしてくれるらしい。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田”]おー、林。早いな[/speech_bubble]

 

山田部長はもう会議室にいて、笑顔で声をかけてくれた。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]おつかれさまです[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田”]研修続きで退屈だろう。どうだ、会社の雰囲気には慣れたか[/speech_bubble]

 

山田部長は研修の準備を進めながら話す。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]いや、退屈なんてことは……。だいぶ慣れてきました[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田”]活気があるだろ。みんな一所懸命働いてる。

いつかお前もその一員として働いてることを誇りに思うはずだよ[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]そうですね。本当にみんな一所懸命で圧倒されます[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田”]林は営業に決まったんだよな[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]はい。自信はそんなにないですけど……[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田”]いや……、ああ、ほかのみんなも戻ってきたな、話はあとにして研修やるか![/speech_bubble]

 

山田部長は何かを言いかけたが、時間になり研修が始まってしまった。

午後は『営業とは?』をテーマに進む予定だ。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田”]営業って言ってもいろんな種類がある。

うちの会社でも“新規開拓営業”、“ルート営業”、“反響営業”って分かれてるけど、それぞれに違った特徴があって、存在する意味がある。

ルート営業についてはOJTでやるみたいだからそこまで詳しくは説明しないけど、やっぱりみんながイメージしてる“営業”っていうのは“新規開拓営業”だろうな[/speech_bubble]

 

そもそも営業にどんな種類があるかなんて考えたこともなかった。

外回りで忙しそうにして、お客さんに断られて……、そんなイメージをしていた俺が思い浮かべていたのも、何となく新規営業なんだと思う。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田”]最近じゃみんな企画だのクリエイターだのって名前だけで配属先を希望することも多い。

それも大事だが、“新規開拓”ってのは会社を維持して、成長させる上では必要不可欠なもんなんだ。

既存顧客を大切にすることも重要だし、問い合わせをくれた顧客も大切だ。

だけどな、常に新しい顧客をつかんでくる人間がいなければ、既存顧客が突然契約を打ち切ったり、問い合わせがこなくなったりした時に、その会社の未来はない[/speech_bubble]

 

それは分かっている。

それは分かっているが、その役割を自分が進んでやろうと思わない人も多いんじゃないだろうか。

俺だってそれで悩んでたんだし……。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田”]ちょっと前、職場は家みたいなもんだって話したよな。

それで例えると、新規の営業は父親みたいなもんだ。

家族が生活するためのお金を稼いでくる。

ある意味では大黒柱だな。それでルート営業とか反響営業は……、

ああ、すまん。そこまでは考えてなかったが[/speech_bubble]

 

新卒メンバーのあいだに笑いが起きる。

熱い一面のなかにこういう抜けたところを時折見せるのが山田部長だ。

みんな山田部長が大好きなのだ。

 

俺はというと、『大黒柱』と言われて、実家の父親のことを考えていた。

親父も、大変な思いをして俺を育ててくれたのかなあ……。

親父が送ってくれたまだきれいなビジネスシューズを見ながら、少し考える。

 

その後は反響営業とルート営業についての簡単な研修があり、終業時間を迎えた。

日報を書いて帰り支度をしていると、山田部長に呼び止められる。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田”]お前は自信ないって言うけどな、自信なんてあとからついてくるもんだ。

まずは、やれることを精一杯やってみろ。

自分なりに、どうしたら会社に貢献できるかを考えるんだ[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]貢献、ですか……[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田”]林はインターンで1位も取ったし、絶対営業にくると思ってたよ。

お前には、期待してる。

じゃあ、頑張れよ[/speech_bubble]

 

そう言って山田部長は離れていった。

俺は帰り道で、らしくもなく今後の人生のことについて考えてみた。

まずは仕事。

トップ営業になって出世コースに乗る。いつかは黒田取締役みたいになる。

綾子との将来のためにも絶対に仕事に専念しなければならない。

 

俺は今まで何かを精一杯やった経験が少ない。

大学も自分の頭で入れるところを適当に選んだだけで、就職先も内定をもらえたところに滑り込んだ。

そんな俺が今、人生について真剣に考えている。現状と真摯に向き合おうとしている。

自分なりに、これは大きな進歩なのではないか、と思う。

 

帰宅してシャワーを浴び、ベッドに入る。おつかれさま、自分、と、心のなかで語りかけながら。

スマホが鳴った。

確認すると、武田からの電話だった。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”takeda.png” name=”武田”]もしもし。仕事は順調か?[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]まだ本格的には始まっていないけど、取りあえず部長には期待されてるみたい[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”takeda.png” name=”武田”]すげえじゃん。さすがインターン1位なだけあるな[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]何かというとみんなそれ言うんだよなあ[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”takeda.png” name=”武田”]上司に期待されてるなんてうれしいことじゃん。これからだな[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]まあ、な[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”takeda.png” name=”武田”]ノルマ達成できないと、やっぱ冷遇されちゃったりするのかな[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]おいおい、まだ始まってもないのに縁起の悪いこと言うなよ[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”takeda.png” name=”武田”]はは、冗談だよ[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]黒田さんって人がいてさ、めちゃくちゃかっこいいんだよ。

“デキる人”って感じ。

その人みたいになりたいんだ。いつか越えたいな、とか……[/speech_bubble]

 

仕事の目標を声に出してちゃんと話したのは初めてかもしれない。

自分で再確認して、心が少し熱くなるのを感じる。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”takeda.png” name=”武田”]珍しくやる気じゃん。

まあ、やれる分だけとことんやってみろよ。

大変なことの方が多いかもしれないけど、やる価値はある。

目標も何もなかったお前が出世したいって言うんだからな[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]何か言い方が納得いかないけど、出世して見返してやるよ[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”takeda.png” name=”武田”]頑張れよ[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]ありがとう。じゃあな[/speech_bubble]

 

武田との電話を切ったあと、俺は静かに興奮していた。

もしかしたら本当に実現できるかもしれないと思うと、胸が高まった。

 

OJTでも結果を出して、まずはインターンの結果は偶然じゃないってことを証明しよう。

 

次回へつづく

https://mag.wa-ke-up.jp/wake-up-story-14-route-sales/

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