ターゲットが限られた商品であっても、企業側のアプローチの仕方によってはきちんと売り上げを出すことが可能です。
競合が多い一般的な商品よりも、ターゲットが限られたマニアックな商品のほうが売りやすい場合もあり、「どれだけたくさんの人に興味を持ってもらうか」だけでなく「特定のターゲットにどう届けるか」ということも重要になっています。
また、顧客が商品に魅力を感じるポイントも、価格の安さだけではなくなってきていると言われています。たとえば、あえて高価格に設定することにより逆に高級感が出て、顧客は魅力的に思う、という場合もあります。
商品やサービスを消費者に購入してもらうためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。
新規顧客を獲得していく際に大切なポイントが“具体性を持たせること”です。
この具体性を持たせる作業を中途半端にしてしまうと、事業を成功に導くことが難しくなってしまうこともあります。
今回はこの「具体性を持たせる作業」について解説していきます。
価格以外でも消費者に訴求できる“何か”を持っていること
マーケティングを考える上で、商品の価格というのはとても重要な要素です。
しかし、それだけを考えていては事業を成功させることは難しい可能性があります。
BtoCにおいて、商品を買うのは個人の消費者です。
消費者にとって、商品の価格というのは購入を検討する上で判断基準のひとつでしかありません。
例えば、分割払いで商品を買う場合や、贈りものであれば高価なものでも多少は無理して買うこともあるでしょう。
つまり消費者は、「安いか高いか」という面だけでなく、デザインの好みやその時の状況など、さまざまなことを考慮して商品を購入するのです。
自社の商品・サービスがターゲットとしている層に見合った金額なのかはもちろんのこと、ターゲットの趣味嗜好を調査し、好みや状況に合った商品であることを明確に提示できるようにしなければいけません。
コンテンツを充実させ、実体験への流れを作る
消費者に商品やサービスを選んでもらうためには、情報発信の良し悪しが大きく影響します。
魅力のあるコンテンツを情報発信できれば、見込み客の興味関心を引き、結果として新規顧客の獲得に影響を与えるでしょう。
しかし、サービスに関しての情報発信が不十分、もしくはその情報自体が魅力的でなければ消費者は見てくれません。
昨今は、まず無料で商品やサービスを体験してもらい、ユーザーは興味を持ったら実際に商品を購入する、という流れも多くなっています。
例えば、ゲーム業界ではアーリーアクセス(早期アクセス)と呼ばれるリリース方法がよく活用されています。
アーリーアクセスとは開発途中のゲームを公開することで、企業側は実際にプレイしたユーザーの生の声を正式リリース前に入手することができます。
アーリーアクセスは無料のものもあれば有料のものもあります。
有料の場合は、正式に発売される商品よりもかなり安い価格で提供されることが多いようです。
また、ゲーム自体は無料であっても課金要素があり、追加機能を有料で楽しめるという場合もあります。
この手法は無料体験や無料サンプルの配布などと似ており、実際に一度商品を試してもらうことで消費者に実体験を与え、魅力を知ってもらい、さらに企業側はリアルな感想を受け取って商品に反映することができるのです。
このリアルな意見や感想が非常に重要になってきます。
例えば、自社のWEBサイトでどんなに自社商品のコンテンツを充実させたとしても、それを見た消費者が得られる情報量には限りがあるでしょう。
やはり実際に体験してもらうことで得る情報量との差は大きく、また、「体験したい」と思ってもらえるような情報発信やコンテンツ作りが重要なのです。
トライ&エラーを繰り返し、精度を高めていく
昔はしっかりと時間をかけて、問題点がない状態まで仕上げてから世に出す、という手法が主流でしたが、昨今ではスピードが求められます。
消費者の購買経路が多岐にわたり、技術の発展や進歩も早い時代においては市場の変化も早いため、「サービスのリリースまでに時間をかけない」というのはひとつのセオリーと言えるでしょう。
先ほど挙げた「アーリーアクセス」のように、制作を進めながらダイレクトに消費者の意見を聞き、ユーザーを分析するとともに商品やサービスを改良していくという流れは、認知の向上やサービスの改良を考える上でも時代にマッチした方法のひとつなのです。
また、早い段階で顧客の意見や感想を聞くことは、対応次第では信頼関係につながることもあります。
今ではTwitterやFacebookなど、SNSが普及しています。
顧客の要望に誠意を持って対応していれば、会社の評判や商品の良さが拡散される可能性があります。
それは結果として新規顧客の獲得にも繋がります。
また、消費者にとっては「未完成である」ということも魅力のひとつとなる可能性があります。
商品やサービスが企業側にとって途中段階だとしても、それが消費者にとってマイナスの要素になるとは限らないのです。
完成されていないからこそ、自分たちも制作に参加している、という感覚をユーザーに持たせられる可能性もあり、自分たちの声がサービスに反映されるのであれば、さらに喜びは増していくことでしょう。
顧客と対話しやすい環境を作り上げること
「自社が作った商品なんだから、何でも知っている」
そう思っているマーケティング担当者もいるかもしれませんが、消費者からの声で初めて気づくことは意外と多いものです。
BtoCマーケティングにおいては、企業側だけで完結させるのではなく、顧客と一緒に商品やサービスを作り上げることで、より具体的に商品の未来像を固めていくことが重要です。
最終的には顧客に喜んでもらえるような商品に仕上げなければいけないのですから、顧客と一緒に作り上げるというのは理にかなっている行為と言えるでしょう。
そのためには「顧客の声」を集めることができる場が必要です。
商品やサービスそのものを改良することも大切ですが、コンテンツを充実させ“顧客と対話しやすい環境”を作ることを意識してみるといいでしょう。