データ分析は、特定のデータを解析し、業務や環境の改善に役立てるものです。
大きく分けると、次のような流れで行われることが一般的です。
- 目標設定
- 必要なデータの洗い出し
- データの収集
- 分析手法の選択
- データ分析
今回は、データ分析を初めて本格的に行う、という方に向けて、この流れに沿って要点をご紹介していきます。
データ分析における目標設定
データ分析をする前に必ずやらなければいけないことがあります。
それは、「目標の設定」です。
何の目的もなくデータ分析を行う、という人は少ないでしょう。
多くの方が何かしらの目的を持ってデータ分析を始めますが、分析を進めていくうちに、データに集中するあまり、最終的な目的を忘れてしまうこともあります。
そのため、まず初めに、何を実現したいのか、何のためにデータを分析するのかをしっかりと明確にし、忘れないようにする必要があります。
必要なデータの洗い出し
データ分析に関する書籍などでは、この「必要なデータの洗い出し」という要素についてあまり大きく取り上げられていないことがあります。
なぜならば、既にデータ分析に慣れている人であれば、蓄積した経験や手法、フレームワークなどの知識があるため、どのようなデータを必要とするのか、が分かっていることも多いということがその理由でしょう。
しかし実際には、分析にある程度慣れている場合でも、設定した目標に向けて、どのような情報が必要かはしっかりと考える必要があるでしょう。
知識があるからといって多くの媒体からデータを収集してしまうと、収集元によってデータが異なったり、余計な費用がかかったりすることも考えられます。
重要なデータには時間もコストもかける必要がありますが、優先度の低いデータであればそこまでの数を集める必要はありません。
また、収集するデータの数を制限することで、効率的な分析にもつながっていきます。
データの収集
データの収集については先ほどお伝えしたように、「大量に集めればいい」というわけではありません。
また、できる限り客観的な視点から得たデータをもとにすることをおすすめします。
客観的な視点から得たデータには、公的機関が出しているもの、業界の協会や組合が出しているデータなどが挙げられます。
一般企業によるリサーチの場合、取り扱う事業に対して良い影響のあるデータを集中的に取り上げられていることも多く、収集できるデータの範囲が狭まったり、客観的な分析がしづらくなったりする可能性があります。
またデータの収集の際にチェックしておきたいポイントに「データの重複」が挙げられます。
複数の媒体から情報を得る際などに、データが重複しているまま分析してしまうと、それが影響して、結果として導き出される傾向などが大きく変化する可能性があります。
分析の効率化を図るためにも、重複するデータは事前に省き、分析を行っていくようにしましょう。
分析手法の選択
得られたデータを分析する際には、さまざまなフレームワークなどのなかからその手法を選択する必要があります。
フレームワークを利用することで、複雑、かつ大量のデータを体系的にまとめていくことができ、シンプルにデータの解釈まで進むことができるようになります。
フレームワークは数多く存在しているため、
「どのフレームワークを使うと適切にデータ分析を行えるか」
ということに悩む方は多いのではないでしょうか。
その際は、最初に設定した目標と、行う分析はいまどの段階にあるのか、をあわせて考えてみるといいでしょう。
設定した目標を達成するために、
- 現状調査
- 戦略設定
- 企画
- 実行
分析の時点でこの4段階のどの状態にあるかを考えてフレームワークを選定していきます。
まだ商品やサービスがない場合は、主に先ほど挙げた公的機関などのデータを活用することになります。
しかし、既にサービスがリリースされている場合は、顧客の声を基にしたデータ収集も可能なため、幅広い種類の情報が集まりやすくなります。
データが少ない状態では使いづらいフレームワークなどもあるため、注意が必要です。
現状調査に役立つフレームワーク
現状調査に役立つフレームワークとして使いやすいのが「SWOT分析」「3C分析」です。SWOT分析の場合は、決算資料など他社の情報を得ることで一定のデータ収集および分析も可能になります。
それに対して3C分析は、顧客目線に立って商品や企業の分析を行うもので、リリースしたばかりのタイミングなど、調査対象の数が少ないと正確な分析が行えない可能性もあるため、そういった場合は他社のデータを参考に比較を行っていくといいでしょう。
戦略設定に役立つフレームワーク
戦略策定に役立つフレームワークとして、「MECE」の考え方と「ビジネスモデルキャンパス」「TOWS分析」などが挙げられます。
MECEは、戦略策定において抜け漏れや重複がないのかを確認するためにも役立つ考え方で、フレームワークに限らず、ビジネスにおいての多くの場面で役立ちます。
ビジネスモデルキャンパスやTOWS分析では、さまざまな戦略の候補が考えられます。
そのなかには、一部が重複している戦略や、ターゲットに漏れがある戦略なども存在する可能性があります。
戦略策定におけるフレームワークをMECE的な思考で活用していくことで、無駄を省き全体を網羅した戦略を練ることが可能になります。
商品企画に役立つフレームワーク
戦略が決まり、実際の企画を考えていきます。
そのタイミングでは、「4C分析」や「AIDMA」の法則など、より具体化されたフレームワークを活用していきます。
そして、どのような人を対象にするのかという分析と、その人にどう伝えていくのかという分析をそれぞれのフレームワークで分析していきます。
4C分析については、これよりも早いタイミングで分析を行う場合もあり、最近では重要度が増しているとも言われるフレームワークです。
またAIDMAやAISASというのは、どう伝えるのか?という広告戦略にも強く関連していくものです。人が購買まで結びつく欲求や流れをまとめており、これ以外にも多くの形が存在しています。
実行に役立つフレームワーク
最後に重要なのが実行に関することです。
まず対象とする商品のプロダクトサイクルを考え、マーケティング計画を策定していきます。
プロダクトサイクルは、実際の市場環境にも左右されてしまうこともありますが、具体的な数値を基に、誰にどうやって伝えていくのかを設定していきましょう。
そして実行するために必要な社内の状況や強みを確認するため、7S分析を使い適切な人材配置まで考えていくと効率的に実行できる可能性が高まるでしょう。