ビジネスパーソンにとって、「問題解決力」は重要なスキルのひとつと言えます。
それはマーケティングにおいても同様です。
マーケティングは、その商品やサービスが売れるようにするための市場調査から企画、開発そして宣伝まで、企業の活動全般を指す概念です。
それらの活動のすべてにおいて顧客の問題を解決できる「問題解決力」は、非常に役立ちます。
今回は、マーケティングにおいての問題解決力の重要性と、問題解決力を高めていくのに必要なスキル、大切なポイントをご紹介していきます。
なぜ今、問題解決力が必要なのか。

現在AI(人工知能)や機械学習の技術は、目まぐるしいスピードで進化しており、多くの企業や大学なども積極的に研究に取り組んでいます。
そのため将来を考えるビジネスパーソンのなかには、マーケティングなどの営業活動において、人間が必要とされることはなくなってしまうのではないか、仕事自体がなくなってしまうのではないか、と危惧している人も多いのではないでしょうか。
しかし、そんな時代だからこそ「人間にしかできないこと」を追求し、業務に活かそうと考えている人も多くいます。
人間に備わっている「判断能力」や「問題解決力」というのは複雑かつ大変優れているものだからです。
AIには、大きく2つの種類があります。
- 特化型人工知能
- 汎用人工知能
特化型人工知能は、特定の分野に特化して判断をし、行動していくものです。
具体的なものでは、Googleの自動運転や、囲碁や将棋などの対局に使われるものが挙げられます。一定のマニュアルの上で活動するなかでは、人間よりも優れたAIが開発され始めていると言っても過言ではありません。
一方、汎用人工知能は、幅広い分野を総合的に判断し、自我に似たものを備えているものを指します。
漫画などで出てくる感情を持つロボットも、この汎用人工知能を備えたものと言っていいでしょう。
しかし、これは特化型人工知能と比べてまだ実用化が進んでいないのが現状です。
そしてこれこそが、問題解決力がビジネスにおいて注目される理由です。
複雑な判断を必要としない業務や、単純作業については、現在でも特化型人工知能や機械学習によってある程度の代替が可能です。
流れ作業やルーティンワークなどでは、既にロボットが活躍をしている場面も多くあります。
しかし、複雑な情報を整理し総合的な判断を必要とする仕事や、新たなルールを策定する必要がある仕事においては、特化型人工知能では難しいため、現在は人間が行うべき仕事です。
判断したり、ルールを策定したりする理由は、何かしらの問題を解決する目的を持って行うことが多く、そのため、今のビジネスパーソンには、AIや機械学習にポジションを奪われないためのスキルとして「問題解決力」が求められているのです。
問題解決力を細分化しよう。
問題解決力というのは、「問題を解決する総合力」を指します。
問題を解決する手順には、大きく3つの段階があります。
- 問題の発見
- 解決方法の発見と決定
- 問題解決の進捗管理
それぞれに必要なスキルは異なります。
マーケティングにおいての市場調査などは、『問題の発見』のために行うことがほとんどです。
市場を調査し、把握することで、他社や既存製品が解決できていない顧客のニーズや問題を探し出すことに役立つからです。
そして『解決方法の発見と決定』においては、マーケティングのフレームワークを活用するといいでしょう。
市場調査や統計などから見つかる問題点をどのように解決していくのかの考察や、商品を取り巻くリスクなども整理していくことができるようになります。
『問題解決の進捗管理』は、マネジメントとも強く関係しています。
ビジネスには、ひとりで行う仕事と複数人で行う仕事があります。
進捗管理は複数人で仕事をする際に重要になり、目的を達成するには、行動を効率化する、正しい方向に導く、などが重要になるからです。
問題解決力を磨きたいと考えた場合、これらの3つの能力をそれぞれ伸ばしていく必要があります。
それぞれがスキルを一定以上身につければ、多くのシチュエーションにおいて役に立つ「問題解決力」を持つことができるでしょう。
問題の発見に役立つ知識やスキル
問題解決力を身につけるためには、まず、顧客や自社が抱える問題を正確に把握しなければいけません。
解決方法の発見や手段の決定は、フレームワークなどに当てはめていくことで整理することができます。
そして進捗管理も体制などを整えることで、効率的な組織を作り上げることが可能になるでしょう。
最初の段階である問題の発見で間違ってしまうと、その次の段階、そして結論まで間違ってしまう、ということも考えられます。
「問題を正しく把握する力」というのは非常に重要なのです。
正しく問題を把握するためには、まず関連する要素をすべて洗い出します。
そして、2つのグループに分けて考えます。
- 自社(サービス)のあるべき姿や理想像【内部面】
- 市場や環境などの現状【外部面】
この2つのどちらかが疎かになってしまうと、内部だけ、外部だけ、などの一方的な問題しか見えません。
例えば、サービスのあるべき姿や理想像だけを考え、それについての問題を解決できたとします。
しかし、それを解決できても、売り上げが伸びるとは限りません。
あくまで市場のニーズとマッチしていなければ、顧客からは選ばれないからです。
逆に市場や環境などの調査ばかりに力を入れ、自社やサービスの状態を見ないで問題を探したとします。
その場合、問題の解決自体が体制や資金面の要因で難しいということがあったり、社内の強みを活かすことができず汎用的なサービスが出来上がったりする可能性もあります。
これからはAIの時代とも言われていますが、問題を発見する力、というのは社内体制や市場のニーズを総合的に考えて判断していく必要があり、AIにはなかなか代替できない能力と言えます。
これはマーケティングにおいても、非常に大切なスキルです。
問題を発見する能力、解決する能力は、業界や年齢などに関係なく、さまざまな物事を客観的にとらえることで養っていくことができます。
今後、マーケティング職として活躍していくために、必要なスキルのひとつなのです。