【第9話】波乱の幕引き!ラスト1分まで分からない

【第9話】波乱の幕引き!ラスト1分まで分からない

WAKE UPストーリー第9話

実際の就活や仕事に使える知識やスキルをストーリーで学ぼう!

【WAKE UPストーリー】毎週金曜日更新中

今どきの大学生、林が紆余曲折を経て成長していく様子を描いた、就活生~新社会人のための、連載型スキルアップコンテンツ。

登場人物紹介(※クリックで拡大)

WAKE UPストーリー登場人物紹介03

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田部長”]おはようございます。今日でインターンも最終日。社内も月末で緊張感あるから、気を抜かないように頼むな[/speech_bubble]

 

朝礼での山田部長の挨拶が終わり、営業部全体に引き締まった空気が流れている。

月末ということもあり、社員たちはそそくさと外出の準備を始め、インターンのメンバーもすぐにミーティングを始めた。

現在、1位は小島のチームだ。

インターンが始まった当初から少しずつ売上件数を伸ばしている。

2位のチームは最初に大口案件を受注し、しばらく1位だったがその後思うように件数が伸びず、先日、小島のチームに抜かれてしまったのだ。

彼らは何としても1位に戻ろうと、焦った顔をしている。

俺のチームは、ずっと3位だ。

メンバー同士の仲は良く、全員で常に相談している。

チームワークだけはどこにも負けていない自信がある。ただ3位にずっと停滞しているせいで、どこかあきらめムードが漂っていた。

 

このままでは、黒田取締役の記録どころか、小島にも追いつけない。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”kojima.png” name=”小島”]1位、必ずキープしよう! そのためにも、昨日まで作ってきた営業リスト、一回みんなで見直そうよ[/speech_bubble]

 

小島の明るい声が聞こえた。

野球で培ったリーダーシップなのか、あのチームがミーティングの際は小島を中心にまとまっているように見える。

 

今日はインターン最終日だ。

俺には小島と仲がいい分、逆に負けたくないという気持ちが強くある。

それもあって今日のチームミーティングでは、自分が率先して話そうと決めていた。

自分に足りないのはリーダーシップだと感じているからこそ、インターン最終日には何かをつかみたいと感じていた。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]俺さ、1位になれると思うんだよね[/speech_bubble]

 

大きな声ではないが、決意を込めて話してみる。

チームの全員が、少し驚いた顔をして俺を見ている。

今まで俺たちのチームは、誰がリーダーシップを取るわけでもなく、いつも和気あいあいと話していたからだ。

普段からあまり発言しない俺が急に真面目な話を切り出して、びっくりしているのかもしれない。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]だってさ、小島のチームの数字まで、あと2件でしょ? ひとり1本今日受注しちゃえば、簡単に追い抜けるわけじゃん[/speech_bubble]

 

確かに今の差は

1位:7件

2位:6件

3位:5件

と、かなり横並びに近い状態だ。

順位だけ見ると負けていると感じてしまうが、実際の差はそこまでじゃない、ということをみんなに伝えたかったのだ。

メンバーも少し考え始めた。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_m.png” name=”インターン生”]確かに……、ひとり1本か[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_w.png” name=”インターン生”]けど、今まで1日で全員が受注したことなんてないよ[/speech_bubble]

 

反応はそれぞれだった。その反応を見ながら俺は続けた。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]出来るよ、絶対! だってさ[/speech_bubble]

 

俺はみんなにある用紙を配った。

これまでの作業や行動のデータをまとめた表に、俺なりに印を付けたものだ。実は、昨日ひとりで準備していた。

 

何とか、勝ちたい。

そう思った。

自分でたくさん受注して勝ちたいとも考えたが、やはりそれは難しい。

それに、みんなで協力して、みんなで勝ちたいと思ったのだ。

色が付けられた紙には、売り上げ、営業数、アポイント獲得数、そして商談数など、各チームごと、個人ごとに一覧になっていた。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]俺らのチームって、一番頑張ってるじゃん![/speech_bubble]

 

営業数の項目では、うちのチームが一番なんだ。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_m.png” name=”インターン生”]確かに[/speech_bubble]

 

ひとりが反応すると、いつもの明るい雰囲気に戻った。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_m.png” name=”インターン生”]俺ら結構やってるね[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_w.png” name=”インターン生”]小島のところの2倍も営業してるじゃん。それなのに、取れてないね-[/speech_bubble]

 

などと笑いながら話し始めた。

先ほどのあきらめムードより断然いい。

もう少しだ。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi.png” name=”林”]いやそれだけじゃないんだって。チャンスが一番あるのは俺らなんだよ[/speech_bubble]

 

みんな、話の続きを聞こうと俺の目を見ている。

そこにチームミーティングを見て回っていた山田部長が訪れた。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田部長”]林、どうしてそう思うんだ?[/speech_bubble]

 

急な質問に驚きながらも、答える。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]はっ、はい。

実は営業数と商談数が一番多いのは、このチームなんです。

その分決めきれてないってことなんですけど……。

他のチームは商談してその場で受注できていることが多いから、いま検討中のお客様は少ないんですけど、うちのチームには、まだ検討中の人が多いはずなんです。

ひとりに3件ずつくらいは検討中の人がいるはずなので、ここに注力すれば、上位チームとの差は埋められるかな、と……[/speech_bubble]

 

メンバー全員が納得してくれる。山田部長も

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田部長”]おーそれは、1位になる可能性もあるな。なら、今日はどうするんだ?[/speech_bubble]

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi.png” name=”林”]はい。今日はまずみんなで、商談中の案件の内容確認をして、そのあと吉川課長に相談しようと考えてます[/speech_bubble]

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田部長”]そうだな、吉川をうまく使え。

そしてもうひとつ忘れるな。お前らの強みは何だ?[/speech_bubble]

 

みんなお互いの顔を見る。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田部長”]お前らのいいところは、ひたむきに頑張ってきたことだ。

それは私もほかの社員も見てきた。

一番の強みは、お前らの笑顔だ。

お客様にお前らの笑顔を見せてこい[/speech_bubble]

 

一同「「はい!」」

 

これなら、いける。

メンバーだけでの話し合いはしばらく続いたが、何だか俺がリーダーのようになってしまっている。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_w.png” name=”インターン生”]林君、今日のスケジュールどうしよう?[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]いま提案中のものからひとり3件ずつ、行けそうだ、ってものをピックアップしよう。

それで午前中のうちに課長に相談に行こう[/speech_bubble]

 

自分たちが1位になれるのでは、という期待を持てたため、みんな積極的だ。

必死に営業リストを見直すやつ、これはどう思うかと相談しに来るやつなどさまざまだ。

そして全員のリストがまとまったあと、吉川課長の元に向かった。

他のチームは最終日のラストスパートのため、もう営業に出ている。

 

吉川課長はひとりひとり、案件の具体的な内容を聞き、指示をくれる。3つの案件のなかからひとつだけは詳しく提案方法なども教えてくれる。

多分、重要度が高い案件ってことだろう。

 

11時も過ぎ、みんなそれぞれの営業先に向かうことにした。

俺は、吉川課長からも詳細な指示をもらった一番大事な案件から向かった。

 

基本的に営業先へは、現地で先輩社員と合流してから、2名で向かうことになっている。

俺が営業先に着くと、すでに先輩は到着していて、にこやかに笑っていた。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_m.png” name=”先輩”]課長から連絡来てたぞ。任せて[/speech_bubble]

 

吉川課長は、先ほど話した内容を先輩に共有してくれていたのだ。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]ありがとうございます!

ぜひ、お願いします。1位になりたいんです![/speech_bubble]

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_m.png” name=”先輩”]いいな、そういう感覚。

新卒のころを思い出すわ。

大丈夫、この案件なら取れる[/speech_bubble]

 

そういって自信満々に歩く先輩の後ろについて行きながら、俺は心強く思っていた。

 

そしていよいよ商談。

先輩は、先方が持っている課題点とアオキ物産の強みをうまく組み合わせながら話している。

先方も以前来た時より、和やかな雰囲気を出していた。

いけるんじゃないだろうか……。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_m.png” name=”取引先社員”]じゃあ。これ一回テストで納品してくれる?[/speech_bubble]

 

先方の急なひと言に驚いた。

今までなかなか取れなかった契約が、いきなり決まったのだ。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]ありがとうございます![/speech_bubble]

 

ついうれしくなって、大きな声を出してしまった。先方も笑顔で

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_m.png” name=”取引先社員”]これからもよろしくね。林君[/speech_bubble]

 

と言ってくれた。

名前、覚えてくれてたんだ……!

 

そこからは先輩が流れるように、納品スケジュールなどを決めていった。俺はそれをドキドキした気持ちで見つめていた。

店を出ると、先輩から

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_m.png” name=”先輩”]やったなー。お前よくあそこまで確認とメモしてたな[/speech_bubble]

 

と笑顔で言われた。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]ありがとうございます![/speech_bubble]

 

缶コーヒーで乾杯して、今回の受注を笑顔で分かち合う。

会社ってこんなに笑えるところなんだ。

インターンが始まってから、一番笑った瞬間だった。

 

そして夕方になり、会社から速報のメッセージがくる。

1位 8件

2位 7件

3位 6件

俺のチームは、2位に上がっていた。俺以外にも、誰か受注してくれたんだ。

でも、小島のチームも受注していて、1位には届いていない。

 

俺はすでに3件を回り終えた。

最初の1件を受注できたものの、ほかの2件はもう少し考えたい、ということだった。

会社に戻って作業をしながら待っていると、ほかのメンバーも戻って来た。

受注できたメンバーもできなかったメンバーも、充実感のある顔をしている。

会社の営業時間は17時まで。

あと1時間程度しかない……。

残り時間で何ができるのか皆で話し合い、電話でほかの案件に再度当たってみよう、ということになった。

 

先ほど回った3件以外で、話せそうなところに一気に電話をかける。

あっという間に時間は過ぎていった。

そして、

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_m.png” name=”インターン生”]ありがとうございます![/speech_bubble]

 

メンバーのひとりが立ち上がった。みんなが目線を向ける。

この土壇場で1件決まったのだ!

競合他社を検討していたが、条件が合わずほかのところを探していたタイミングだったらしい。

 

これで小島のチームに並んだ。

だけど……

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]残り時間はもう、ない。[/speech_bubble]

 

同率1位か……。

 

今日はインターン最終日ということもあり、オフィス内で軽い打ち上げをすることになっていた。

その準備が整うまで、俺と小島はお互いの頑張りを褒めあったりしていた。

 

打ち上げが始まると、みんなで今回のインターンを振り返った。

インターン生のなかでも俺のチームの話題は多く、先輩社員たちからも『頑張ったな』という言葉をかけてもらった。

小島のチームに勝てなかったのは悔しいけど、精いっぱいやったんだ。

なんだか、はじめて大きなことをやり遂げた、すがすがしい気分だ。

 

少しお酒も入り、みんながにぎやかになったころ、

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_m.png” name=”先輩”]ちょっと、静かにしてー![/speech_bubble]

 

突然、先輩社員の声が響き渡った。18時を過ぎたころだった。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_m.png” name=”先輩”]はい。はい[/speech_bubble]

 

何かメモをしている。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_m.png” name=”先輩”]はい、ありがとうございます。失礼いたします[/speech_bubble]

 

電話を切った先輩社員が、笑顔で俺に一枚の紙を見せてくる。

その紙には“受注書”と書かれていた。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”unknown_m.png” name=”先輩”]やったな、林。おまえの受注だ。おめでとう![/speech_bubble]

 

わっと歓声が上がる。

 

「「おめでとう!!!!」」

 

会社全体に聞こえるのではないかと思うくらい大きな歓声だった。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hayashi_02.png” name=”林”]ええっ! 本当ですか?[/speech_bubble]

 

さっき回って断られたうちの1社だった。

『なんとか今日お願いできませんか』という必死さが気になって、電話をしてくれたそうだ。

電話の内容を聞かされて、うれしさがこみ上げてきた。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”yamada.png” name=”山田部長”]つまり、1位は林のチームだな! おめでとう![/speech_bubble]

 

インターン生からも、先輩社員たちからも大きな拍手をもらう。

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”kojima.png” name=”小島”]やったな! でも次は負けねーぞ![/speech_bubble]

 

そう言って小島が俺の肩をたたく。

やった。1位を取ったんだ。

 

こうして、俺たちのインターンの最終日は終わった。

 

今までリーダーとして活躍したこともなく、サラリーマンのやりがいなんかも今日までぴんとこなかった俺にとって、初めて仕事の喜びを感じられた瞬間だった。

結局、黒田取締役の残した歴代最高記録には全然追いつけなかった。

それでも、小島も俺も自分の力を出し切って、今やれることを精一杯やったのだ。

 

今日のことは、何年経ってもきっと忘れないだろう。

 

次回へつづく

https://mag.wa-ke-up.jp/wake-up-story-10-the-newbie/

連載カテゴリの最新記事