競合分析を行う際に、その流れや考えるべきポイントを知らなければ、どこから手をつければいいのか分からなくなってしまうでしょう。
そういった悩みを解決してくれるのが、競合分析において重要な要素を体系的にまとめているフレームワークです。
競合分析に使えるフレームワークを覚えておくことで、競合分析の効率化ができるだけでなく、普段からもビジネスにおいて考えるべき重要なポイントや、ロジカルな考え方の基礎を身につけられるようになります。
4C分析やSWOT分析などの具体的な使用法は別のコンテンツでもご紹介しますが、まずはそれぞれのフレームワークの役割と名称を覚えていきましょう。
それぞれ使う目的が異なるため、覚えておけば目的ごとにさまざまなことに応用していただけると思います。
フレームワークの有効活用
フレームワークは、ビジネスで考えるべきことを体系的にまとめて、分かりやすく表現したものです。
そのため、ある程度の流れや考え方を知っていれば、誰にでも簡単に競合分析や戦略策定ができるようになります。
しかし、表の書き方やその要素の意味ばかりに囚われてしまうと、情報が多すぎて収拾がつかなくなったり、実際の戦略策定に役立たないものになったりする可能性があります。
そのためフレームワークを有効的に使うには、書き方だけでなく、そのフレームワークが「何を目的としているものなのか」をしっかりと理解しておくことです。
たくさんのフレームワークを覚えることも大切ですが、ビジネスにおいてはそのフレームワークを活かして、結果を出すのが何よりも重要なのです。
まずは、大きな視野で競合を探す、そして小さな視点でその競合を分析する、最後にその結果から戦略策定を行う、という流れを試してみるといいでしょう。
フレームワークの違いを知ろう
競合分析に関係するフレームワークは、さまざまあります。
今回はまず、競合分析の一般的な流れをいくつかの段階に分け、それぞれに対応した3種類のフレームワークを紹介します。
- 競合を探すためのフレームワーク
- 競合を調べるためのフレームワーク
- 戦略策定のためのフレームワーク
競合の設定方法やベンチマークについては前回お伝えしました。
そこでは、ライバル企業とトップ企業、どちらも意識する重要性やベンチマークの設定方法を解説しましたが、今回は、その視点から一歩踏み出し、環境や社会という視点での競合を探していきます。
類似商品を出している会社だけがライバルだと思ってしまうと、思わぬ代替品が出てきて市場内での1位を取ることもあります。そういったリスクも考えた上で競合を探していけるのが、「競合を探すためのフレームワーク」です。
そして、その競合を深く知り、自社が成長する方法を見つけるためのものが、「競合を調べるためのフレームワーク」です。
【競合を探すためのフレームワーク】
マクロ環境分析
5フォース分析
バリュー分析
【競合を調べるためのフレームワーク】
【戦略策定のためのフレームワーク】
代表的なものではこれらが挙げられます。
ここからは、それぞれのフレームワークについて解説していきたいと思います。
競合を探すためのフレームワーク
競合を探すためのフレームワークは、大きな視野で見ることのできるフレームワークを指します。
競合設定をする上で、同業界の情報というのは、業務上のつながりなどから比較的把握しやすいものになります。
しかし最近では、インターネットや物流の発展によって、業界ごとの制限が以前より薄くなり、全くの異業種からの参入というケースも増えています。
今まで新規参入や競合が少なかった業界でも、競争が激しくなる可能性もあるのです。
競合を探すためのフレームワークを活用することで、新しい技術によって出てくる競合の可能性を探ったり、自分たちが参入しやすい業種を探したりすることができます。
【マクロ環境分析の要素】
Politics(政治面)
Economy(経済面)
Society(社会・ライフスタイル面)
Technology(技術面)
【5フォース分析の要素】
既存競合者同士の敵対関係
新規参入の脅威
代替製品・代替サービスの脅威
買い手の交渉力
供給者の支配
【バリュー分析の要素】
バリュー分析の場合は、会社全体の生産活動を流れで把握しながら下記の項目を見ていきます。
Value(価値)
Rareness(希少性)
Imitability(模倣可能性)
Organization(組織)
競合を調べるためのフレームワークというのは、その商品や企業がなぜ選ばれるのか、ということを考えるのに非常に役立ちます。
また、4C分析と4P分析を使うことで、消費側の視点と、販売者側の視点どちらも考えていけるため、競合の強みや弱みをしっかりと把握することができます。
先ほど挙げた競合を探すためのフレームワークを使って出てきた競合を、4C・4Pに分けて分析していきましょう。
【4C分析の要素】
Customer Value(顧客にとっての価値)
Customer Cost(顧客が費やすお金)
Convenience(顧客にとっての利便性)
Communication(顧客とのコミュニケーション)
4C分析について詳しくはこちらの記事で詳しく解説しています。
【4P分析の要素】
Product(自社から見た製品)
Price(自社から見た価格)
Place(自社から見た流通)
Promotion(自社から見たプロモーション・販売促進)
4P分析について詳しくはこちらの記事で詳しく解説しています。
戦略策定のためのフレームワーク
ビジネスパーソンの皆さまのなかには、SWOT分析という言葉は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
戦略策定をしていく時は、このSWOT分析を中心に考えていくことがお勧めです。
SWOT分析では、内部要因・外部要因、そしてメリット・デメリットという2つの軸で考えていくことができるため、どこを改善する、または伸ばしていく、などを明確にするには最適なフレームワークとも言えます。
SWOT分析において書き込むべき要素というのは、競合を探すためのフレームワーク、そして競合を知るためのフレームワークで行ってきたものを総合的にまとめたものになるため、バリュー分析や4C/4P分析をしたあとの総括にもなるでしょう。
【SWOT分析の要素】
Strengths[強み]
Weaknesses[弱み]
Opportunities[機会]
Threats[脅威]
SWOT分析においては、要素の組み合わせごとに戦略を考えていきます。
それらは大きく4つに分けられます。
- No1になるための戦略・・・Strengths[強み]×Opportunities[機会]
- 内部改善のための戦略・・・Weaknesses[弱み]×Opportunities[機会]
- 逆転するための戦略・・・Strengths[強み]×Threats[脅威]
- 守りの戦略・・・Weaknesses[弱み]×Threats[脅威]
拡大期でどんどん市場シェアを取りたいと考えた場合は、2・3の戦略、安定を求めた場合は、4の戦略、もしくは撤退、などのように、会社がどういった方向性を目指すのかということを考え、取るべき戦略の選択までできるのがSWOT分析の強みと言えます。
SWOT分析についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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