競合分析をする際に最も大切なのは、競合他社をリサーチし、ライバルやベンチマークを設定することです。
ライバルというのは、同業種・同業界内で自分たちが勝ちたいと思えるような企業や人を指します。
そしてベンチマークとは、そういったライバルの強みや特徴を学ぶことで見つかってくるポイントを元に、自社の経営改善を行っていく手法を指します。
この2つがしっかりと設定できれば、競合分析の結果というのは正確なものになり、戦略もより具体的なものになっていきます。
成功する競合設定とは?
競合分析をする時は、企業規模に関わる財務を起点に、
- 組織・人材・経営基盤
- 商品・サービス
- 業務プロセス
を分析するようにしましょう。
これによって
- 優位性のある方法や方針を模範とすることができる
- 比較分析をすることで、自社の業務プロセスを客観的に評価することができる
- すでにある考えや理念を打ち破ることができる
などのメリットが期待できます。
優位性のある方法や方針を模範にできることによって、「商品・サービスの売り方やプロセス」、「どのように人材を動かせば良いか」などの経営戦略が立てやすくなります。
現在、ほとんどの業界において1社独占ということは少なく、多くの企業が厳しい競争をしています。
すでに実績のある方法を模範とすることは、ビジネスにおいて業績を上げる有効な方法のひとつと言えるでしょう。
また、比較分析をすることで、自社のプロセスと他社のプロセスの違いを見いだし評価することができます。
自社の業績が低下してしまい改善策に悩んだ時なども、業界基準を元にベストな方法を探したり、他社のプロセスと自社プロセスを比較して、何がどう違い差が出たのか、ということを明確にしたりすることが可能です。
そして、成功している競合企業の考えや理念を学ぶことによって、自社にはなかった新しい方法を見いだすこともできるでしょう。
今までのプロセスと全く異なった新しいものを作り出すことで業績を更に伸ばす、ということにつながることもあります。
このような比較分析を行う時に重要なのが、
- 同じレベルの企業
- 手の届く範囲の企業
といったライバルとなる企業と、
- 同業種、同業界のなかでのトップ企業
といったあこがれを抱く企業を、それぞれを調査し、段階ごとに目標を設定するようにしましょう。
それぞれの企業をベンチマークすることで、実績・結果が出たあとの目標設定がスムーズになります。自社よりも少しでも業績が良い企業を参考にすることがポイントです。
手が届く範囲の競合設定
ベンチマークを設定するために、まずは手の届く範囲のライバルとなる競合分析をしましょう。
ここでは、分析する内容として
- 企業シェア
- 売上高・利益率
の2つを挙げて解説をしていきたいと思います。
ライバル企業のシェアを調べよう
企業シェアは、市場規模に対する各社の売上比率を表したものです。
これを確認することで、各社の商品・サービスがどのくらい普及しているかを認識することが可能です。
特定の企業の情報を入手する方法としては、
- ホームページやインターネットの情報
- カタログ
- 会社四季報
- 経済誌
などを利用するのがいいでしょう。
ただ、これらの情報だけでは正確な数値を出すことは難しいこともあると思います。
上記で挙げた方法以外では、自社と取引のある顧客から聞き出す、という方法があります。
顧客とコミュニケーションを取っていると他社の話題になることもあり、そのなかで他社の動向を把握し、有益な情報が得られるでしょう。
同じ市場においてライバル関係にある商品・サービスについて詳しく掘り下げてみると、その市場でのそれぞれの立ち位置が見えてきます。
企業シェアが分かると、価格戦略や流通戦略、プロモーション計画などに必要な情報を収集・分析することができます。
売上高・利益率を調べよう
各企業の位置づけを明確にする方法としては、
- 売上高成長率
- 営業利益率などの収益
を元に分析することがおすすめです。
経営資源であるヒト・モノ・カネの調査・分析をすることで
「資金力はどの程度あるのか?」
「どの程度の従業員がいるのか?」
などの戦力を把握することができます。
このような競合分析を行う際には、上場企業であれば有価証券報告書を利用しましょう。
有価証券報告書は当該企業のホームページから入手することができ、その企業の売り上げや資産状況、子会社の内訳などさまざまな情報を得ることができます。
上場企業でなければ、独自で調査を行うか、専門の調査機関の報告書を活用することができるでしょう。
これらの方法でライバル企業の分析をすることで、自社の経営戦略がしやすくなります。
あこがれを抱く競合設定
どの業界においても、あこがれを抱かれるようなトップ企業があると思います。
成長戦略を立てる時には、そのようなトップ企業の競合設定も行いましょう。
ただ、トップ企業の分析をする際に陥りがちなのが、
「自社とは規模が違い過ぎて参考にならない」
「どう戦略を立てても勝てない」
と思ってしまうことです。
トップ企業を分析する時には、自社で勝てる部分がないか、というのを常に考えることが重要なポイントです。勝っている部分をひとつでも探し、戦略のひとつとすることで自社の強みとなります。
ベンチマークを実践しよう!
競合分析をしたあとに行うことは戦略となるベンチマークを構築することです。
ベンチマークの手順は「計画」「情報収集・分析」「目標設定」「実施」の4段階に分けられます。
第1段階 ~計画する~
- ライバル企業やトップ企業の競合他社からベンチマークの対象の候補を挙げる
- 候補のなかから、最適な指標を見極める
- 自社と競合他社の比較分析を行う基準を設定する
第2段階 ~情報収集・分析する~
- 情報収集より生じる現状とのギャップを抽出する
- 現状とのギャップの原因を分析し明確にする
第3段階 ~目標設定する~
- 分析結果を受け止め、現状と今後について考える
- 目標となるベンチマーキングを設定する
第4段階~実施する~
- 実施することで生じるギャップを埋めながら施策を展開する
- 実施後、どのような変化があったかを検証する
上記のように情報を整理しながら取り組むことによって、円滑にベンチマーキングを行うことができます。
実施までのひと通りの流れを実践したら、検証結果を確認しながら更なる業務効率を再計画してみましょう。
設定した指標に基づいて業務に取り組み、どのように結果に変化が生じたのかを分析し、自社成長につなげていくことがベンチマークにおいて最も重要なこととなります。