企業が掲げる経営戦略には、主に3つの種類があります。「全社戦略」「機能別戦略」そして「事業戦略」です。
言葉は聞いたことがあっても、正確にその意味を理解していない人が多いのではないでしょうか。
しかし、企業で働くビジネスパーソンにとって、事業戦略についての理解は非常に重要なことです。
事業戦略についての概要やその重要性を理解し、ビジネスに活かしていきましょう。
他社よりも優れていることをアピールすること
事業戦略とは、経営学用語のひとつであり、事業ごとに定められた戦略のことを指します。
大企業には独立して事業本部などが存在しますが、小規模な企業では、事業部が立てる戦略だけでなく、会社全体で立てる戦略も事業戦略と言っていいでしょう。
事業戦略を考える時の基本として、市場での他社との関係性を意識することが必須です。
特定のサービス・商品を求めている顧客の数は限られています。
また、ほとんどの事業において、競合となる企業が存在するでしょう。
つまり、事業を成功させるためには、市場のニーズが限られているなかで、自社のサービスが他社のサービスよりも優れている、ということをアピールしなければいけません。
それができなければ、競争の結果、他社サービスに負けてしまいます。
事業戦略を立てる時は、他社の事業戦略がどのようなものなのかを把握し、それに対抗できる事業戦略を策定しなければいけないのです。
事業戦略を立てるためには何をすればいい?
なかには、事業戦略を立てようと思っても、何から始めればいいのかわからず、悩んでいる人も多いでしょう。
事業戦略を立てるには、ひとつひとつの問題を解決していくことが重要です。
具体的な例としては、
・顧客は誰なのか?
・顧客が求めているものは何か?(商品の価値とは?)
・業界の変化の状況は?
・今の事業はいつまで続けることが可能なのか?
・削減できる部分はないか?
などが挙げられます。
このような問題を突き詰めていくことで、最終的に事業戦略を固めていくのです。
とくに、顧客は誰なのか?という部分に関しては、事業戦略の核になると言っても過言ではありません。
顧客は誰なのか?という問いを繰り返すこと
「顧客は誰なのか?」ということは、多くの人が大切だと理解していても、意外とあらためて考えることが少ない部分です。
そのため、ターゲットとする顧客のイメージが正確に固まっていない企業も多く存在します。
ピーター・ドラッカーの言葉に「少し考えてすぐに出る答えは本当の顧客ではない可能性が高い」というものがあります。
この言葉は「顧客が誰なのか?」という問いに対して、非常に細かく突き詰める必要があることを訴えています。
どんなに質の高い商品を開発したとしても、それを必要とする人がいなければ購入してもらうことはできません。
商品を開発する前に、顧客層について突き詰めることは非常に重要なことであり、これに失敗してしまうと、売れる商品も売れない、という結果になってしまいます。
顧客層を明確にする時に考える内容としては、
・男性向け・女性向けのどちらなのか?
・年齢層は?
・富裕層向けなのか、一般層向けなのか?
・どこに住んでいるのか?
・どんな仕事をしているのか?
上記のようなことも大切なのですが、もっと踏み込む必要があります。
まず、ビジネスとして根本的に考えなければいけないのは“利益が出るかどうか”ということ。
利益が出なければ、ビジネスとして成功とは言えません。
では、「利益を出す」ことと「顧客は誰なのか?」という問いを、どのように結びつけていけばいいのでしょうか?
例えば、下記のことを考えるようにしましょう。
・顧客の情熱はあるのか?
・顧客はその商品を繰り返し買ってくれるのか?
・顧客はお金を支払ってくれるのか?
「顧客の情熱」にはいろいろな要素が含まれていますが、そのなかのひとつに「その商品が開発されて、うれしいと思うか」というものが挙げられます。
例えば、クラウドファンディング。
クラウドファンディングでは、まずプロジェクトの発案者が開発しようと考えている商品やサービスのアイデアを発信します。
そして、そのアイデアを支援したいと思った人たちが出資し、出資額があらかじめ設定された目標金額に達すると、実際にその商品やサービスが開発され、出資のリターンとして支援者に提供される仕組みになっています。
そのため、支援者が求めていないアイデアや商品が発信されても、おそらくほとんどの場合、そのアイデアは資金を集められないでしょう。
目標金額に達するのは「それが実現したらうれしい!」と思う人が多く存在するアイデアです。
つまり、顧客がその商品やサービスを求める情熱が非常に高くないと、売れないということです。
顧客の情熱があれば、必然的に商品の購入のために、お金を払ってくれる可能性も高いと言えるでしょう。
「顧客が求めている商品」を「それを求めている顧客」に対して提供することで、はじめてビジネスが成り立つのです。
顧客層の設定に関しては、最初は漠然とした状態から始まるかもしれませんが、焦らず、ひとつひとつの問いを解決していくことが重要です。
顧客層の設定は、会社全体の戦略に大きく関わるものなのです。
事業戦略を正確に立てることは事業の成功率を高めることにつながる
事業戦略のポイントは
「お客様は誰なのか」
「そのお客様に何をするのか」
を突き詰めることにあります。
つまり、事業戦略を立てるということは、“喜んでくれるお客様を増やす”ことが目的なのです。
利益だけを求め、顧客の意見を無視していれば、いずれその顧客は離れてしまうでしょう。
顧客の満足を利益につなげる、ということを理解していないと、その事業は間違った方向へ進んでしまう可能性が高いのです。
そうならないためにも、定期的に事業戦略を見直し、経営力を高め、正しい方向を目指し、事業を進めていく必要があります。