いよいよ今回が自己分析についてお伝えする最後の回です。
これまでのことをおさらいしつつ、自己分析の重要性を改めて考えていきましょう。
就活生の多くは、複数の企業で面接を受けることと思います。
面接の際には、自分の長所や短所、強みなどを理解して相手に伝える必要があるため、正しい自己分析の方法を覚えておくことは重要です。
しっかりと自己分析をした上で、相手に理解してもらえるように伝えるにはどのようにすればいいのでしょうか?
抽象的な表現は避け、5W1Hを意識して自己分析をする
人に伝わる自己PRをするためには、抽象的な自己分析だけで終わらせてしまってはいけません。
「チームのみんなですごく頑張ったことで、大きな目標を達成することができました!」
このように話しても、聞いている側からしたら具体的に何を伝えたいのかがわかりませんよね。
人に伝わる自己分析にするためには、出来るだけ内容を具体的にしなければいけません。そこで重要になってくるのが”5W1H”です。
5W1Hとは、
「いつ(When)・どこで(Where)・誰が(Who)・何を(What)・なぜ(Why)・どのように(How)」
の6つの要素をまとめたもので、だれかに情報を分かりやすく伝えるために押さえておきたい重要なポイントです。
5W1Hは小説を書くときにも使われる考え方であり、これがしっかりと意識されている文章は人に伝わりやすいと言われています。
また、ビジネスの世界でも5W1Hは多く使われます。報告書やメールなどを書く際には、これらの要素を含めると簡潔で分かりやすい文章にすることができます。
自己分析に関しても同様で、人に伝わりやすい自己PRに仕上げるためには5W1Hを意識することが大切です。
ひとつのエピソードが思い浮かんだら、まずは5W1Hを埋めていきましょう。
「なぜ?」をひたすら繰り返すことで内容がどんどん深まる!
- 自己分析の内容は必ず文字にして書き起こす
- 中学・高校・大学、それぞれの時代を振り返る
- 自分を客観的に見るために自己分析ツールを使ってみる
- 失敗談から学ぶことがなかったのか考えてみる
上記を意識して自己分析を実践しても、なかなか多くのエピソードが浮かんで来ない人もいるでしょう。
そんな時は「なぜ?」をひたすら繰り返してください。
頭では詳細を突き詰めなければいけないと分かっていても、実際には抽象的な表現になりがちです。抽象的な表現だけでは、自分の強みを正確に人に伝えることはできません。
それを解消するために、「なぜ?」を繰り返していくことが有効です。
例えば
「私は学生の時に、サッカーがとても好きで、努力した」
という経験があったとします。
「なぜ?」を繰り返して、この経験を掘り下げてみましょう。
サッカーが好きで努力できたのはなぜ?
幼少期に父親がサッカーボールを買ってくれた。
その時のうれしかった感覚が今も心のなかに残っているから。
うれしかった感覚があるとなぜ努力できる?
人は悲しいことよりもうれしいことに対する時のほうが前に進めると思う。
サッカーを続けるのは困難なこともたくさんあったが、みんなでひとつの目標に向かうという団体スポーツならではの喜びもあり、努力できたと思う。
みんなでひとつの目標に向かうのはなぜ良い?
人は結局、ひとりでは生きていけない。それは社会人になっても同じことだと思う。
ひとりで活躍して何かを達成した時の喜びよりも、みんなで達成した時の喜びのほうが何倍も大きいし、より多くの人に感動や喜びを伝えられると考えている。
みんなで目標を達成した時に、多くの人に感動や喜びを伝えられるのはなぜ?
人間はひとりひとり感性が違う。自分だけの喜びだと、多くの人からの共感は得づらいと思う。
チームの場合、違う感性を持ったメンバーがひとつのことに喜びを感じられるため、多くの人の感性に訴えることができるのではないか…。
やはり人と協力することが大事なのかもしれない。
いかがでしょうか。
「サッカーが好き」という部分から「チームで協力して目標を達成し、多くの人に感動を与えたい」という、自分の心の奥にある気持ちが見えてきましたね。
このように、本当は心のなかで感じていることがあっても、自己分析をうまくできないと、その部分までたどり着けないことがあります。
自己分析がうまくいかない人は「なぜ?」を繰り返してみましょう。
もし、ひとりでうまくいかない場合は、友人や家族に相談し、協力してもらうといいでしょう。友人や家族に話をして、「なぜ?」とどんどん質問をしてもらうのです。
周囲の人に協力してもらう場合、想定外の「なぜ?」が出てくることもあるので、いろいろな角度から自己分析をすることが可能です。
「なぜ?」のポイントを自分以外の人に委ねることで、自分だけではたどり着くことができない自分を見つけられる可能性があるのです。
なかなかたどり着けない「心の奥底で感じていること」が、自己分析をする上で重要なポイントになることも考えられます。
大切なものはすぐそばにある。身近な人に関するエピソードは強い
ビジネスの世界で大きな成功を収めている人のなかには、身近な人とのエピソードから「世の中をもっと良くしたい」と考えた人が非常に多くいます。
例えば、ネットショップ開設サービス「BASE」を運営する、BASE株式会社 代表取締役の鶴岡裕太氏。
現在、BASEを利用して開設されたネットショップは40万店を超え、今もユーザー数が伸びています。
彼がBASEを立ち上げたきっかけには、母親が深く関係しています。
鶴岡氏の母親は、地方で婦人服店を営んでいました。そんな母親がある日、ネットショップを出してみたいと言ったそうです。
当時、ネットショップを開設するためのサービスはたくさんあったため、鶴岡氏は母親にネットショップの開設方法を教えたのですが、既存のサービスは複雑で、開設ができなかったそうです。
そこで鶴岡氏は「お母さんでも簡単にネットショップを作れるサービスを作ろう」と考え、BASEを立ち上げました。
このようなエピソードは、鶴岡氏の能力とともに、人柄の良さも非常に伝わってくるものです。
自己PRで話すエピソードは、インパクトよりも身近な人のために何かを実践したというもののほうが人の心を打ちます。
「語学留学や海外経験なんてしたことがない」
「アルバイト先で大きな売り上げを達成したことなんて1度もない」
「みんなに胸を張って自慢できるようなエピソードなんてひとつもない」
自己分析をしている時、インパクトのあることばかりを探してしまってはいませんか?
人の心に響くエピソードというのは、もっと身近なことからも見つけられるはずです。
弟や妹、両親、おじいちゃんおばあちゃん、昔からの大親友など、身近な人のためにやった何かをいま一度、振り返ってみましょう。
そうすれば、あなたの人柄を伝えられるエピソードが見つかるはずです。
自己分析とは、いままでの自分や周囲の環境を振り返り、それらの大切さを再認識できるきっかけでもあるのです。