個人で支払う税金にはどのような種類があるのでしょうか。
成人している方のなかには、今後支払わなければいけない税金について把握しきれておらず、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
住民税や所得税といったものの他にも、個人が支払う税金は多く存在しますし、アルバイトと正社員、個人事業主ではその支払い方も異なります。
国民の義務として支払わなければならない「税金」。
今回は、そんなさまざまな税金について、その種類や支払い方法をお伝えしていきます。
国に支払う税金と地方に支払う税金
税金は、暮らしやすい社会をつくるために必要なお金です。
成人して個人で支払う税金としては、前回の「生活費と別にかかる税金・年金の話」でお伝えした通り、「消費税」「酒税」「たばこ税」などの他に、「住民税」「所得税」といったものが挙げられます。
- 住民税は、都道府県民税と市町村民税を合わせたもの
- 所得税は、1年間の収入をもとに国税庁に毎月支払われるもの
また、税金は種類によって支払う先が異なります。
税金は大きく「国に支払う税金」と「地方自治体に支払う税金」の2つに分けることができます。
2018年現在、どのように分けられているのか表にしました。
支払い先 | 名称 | 区分 |
---|---|---|
国 | 消費税 | 間接税 |
国 | 所得税 |
|
国 | 譲渡所得税 |
|
国 | 印紙税 |
|
国 | 相続税 |
|
国 | 贈与税 |
|
国 | 酒税 | 間接税 |
国 | たばこ税 | 間接税 |
国 | 揮発油税 | 間接税 |
都道府県 | 都(道府県)民税 |
|
市区町村 | 市(区町村)民税 |
|
道府県、市区町村 | たばこ税 | 間接税 |
道府県、市区町村 | 酒税 | 間接税 |
都道府県 | 自動車税 |
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市区町村 | 軽自動車税 |
|
市区町村 | 固定資産税 |
|
地方 | 揮発油税 | 間接税 |
間接税は、消費税と同じように対象物を購入する時に課せられる税金なので、納付書などで役所に直接支払う必要はありません。 管轄の役所としては、国に支払う税金の場合、国税局(税務署)で、地方に支払う税金の場合、市役所や区役所などが挙げられます。
生活スタイルの変化と税金の関係
環境の変化などによって、人の生活スタイルは変わります。
その生活スタイルの変化によって、支払う税金が変わる可能性があります。
ここでは、考えられる生活スタイルの変化と、それによってかかる税金についてまとめていきたいと思います。
【家を建てた場合】
「固定資産税」「不動産取得税」「登録免許税」「建物にかかる消費税」
家を建てた時にかかる税金として、不動産取得税・登録免許税や固定資産税が挙げられます。
不動産取得税は、土地や家を購入した時に、それらの不動産に対してかかる税金です。
一方、登録免許税は、その不動産の権利についての登記をする際にかかる税金です。
そして、その土地や建物を所有していることでかかる税金が、固定資産税です。
これは基本的に、年4回に分けて支払います。
【車を持った場合】
「車購入時にかかる消費税」「自動車税」「揮発油(ガソリン)税」
車の購入にも税金がかかります。
自家用、営業用、8ナンバーなど、その用途によって、または重量や排気量によっても金額は異なります。購入方法や車種によって税金がお得になることもあるので、購入前にはチェックしておくといいでしょう。
また、エコカー減税が適用される場合、自動車にかかる税金が一定期間軽減されることもあります。
【人が亡くなった場合】
「贈与税」「財産相続税」「譲渡所得税」
人が亡くなった際も、税金がかかる可能性があります。
保険金の受け取りも贈与税の対象になったり、土地や建物などの不動産を相続すると財産相続税がかかったりします。
夢をかなえたあとにかかる税金
「家族を持って、家を建てて子育てをして――」
「生涯独身で自由に楽しみたい!」
「仕事も家庭も両立したい!」
「今まで頑張ってきた分老後をゆっくり過ごしたい」
「後世のために貯金したい」
など、人それぞれ思い描く理想はさまざまです。
なかには「宝くじを当てて一獲千金を狙いたい!」という人もいると思います。
そういった夢を持つのは非常にいいことです。
しかし、夢を現実にするためには、その理想を具体的に想像し、現実を近付けていく努力が必要不可欠です。
実際に、それらの夢がかなった場合にかかってくる税金を挙げてみましょう。
【海外を飛び回る夢を描いている方】
海外を飛び回る、となると日本を出るだけでも税金がかかる可能性があります。
「出国税」は海外では以前から導入している国もありますが、日本でも現在検討されています。
2019年を目途に海外へ行く場合も、海外から日本に入国する場合も、一人あたり1000円程度納めるようになることが発表されています。
【宝くじを当てて一獲千金の夢を狙っている方】
多くの人が1度は当選を夢見る「宝くじ」。
実は、宝くじで当選したお金には税金はかかりません。確定申告をする必要もないので、本当に夢のような話です。
しかし、気を付けなければいけないのが、当選して受け取ったお金を誰かにあげた場合です。
1年間で110万円を超える額を他者に贈与する場合「贈与税」がかかることになるので注意が必要です。
【ギャンブルで生計を立てる勝負師を夢見る方】
会社からの給与という形ではなく、「ギャンブルで生計を立てたい!」という野望を持つ方もいるかもしれません。
しかし、宝くじと違って、賭け事をして得たお金に対しては税金を支払わなければいけません。
得た金額が50万円以下であれば、一時所得とされ非課税になりますが、50万円を超える金額が利益になった場合には税金を納める必要があります。その場合は確定申告が必要です。
競馬、競輪、競艇、オートレースといった公営競技、パチンコ、パチスロ、カジノなど、どの賭け事でも同様です。
現在ギャンブルのみで生計を立てている方も、確定申告を行っていてしっかりと税金を納めています。
アルバイトと正社員の税金の違い
定期的な収入がある場合、実際にどれくらいの額の税金を支払わなければいけないのかも気になると思います。
これは所得額や、雇用形態によっても異なります。
アルバイトの方については、100万円以上の年収がある場合は住民税を、103万円以上の年収がある場合は住民税と所得税を、支払う義務が発生します。
例えば、課税される所得金額が240万円の場合、
・所得税
税率10%=24万円
控除として戻ってくる金額=9万7500円
14万2500円
・住民税
東京都に住んでいる場合、約11万円(所得だけで見た場合)。
となるため、所得税と住民税の合計は25万円ほどです。
また、正社員の場合、住民税や所得税は会社の給与から支払います。給与から天引きという形になり、申告や納税の手間が省けるのが特徴です。
しかし、アルバイトと正社員どちらの場合でも、税率に関しては同じです。
どの程度収入があるのか、扶養家族はいるのか、何を購入したか、などによって税金は変わってくるのです。
夢を実現したいと考えた時には、どの程度の給与が必要なのか、そして税金として支払う金額はいくらなのかを計算し、どのくらい貯金をするのかを考えていくことをおすすめします。
まとめ
夢を追いかけることは大切ですが、その夢をかなえるためにはまず、現実を見なければいけません。
いま支払っている税金を把握し、夢がかなった時にかかる税金を想定しておくことで、夢の実現までの道筋も、より明確になるのではないでしょうか。
税金と夢は関係ない、と思われるかもしれませんが、生活していく上で必ず支払うものなので、無関係でいることは誰にもできないのです。
現在の収入のなかで控除などを活用し、自由に使えるお金を増やしたい、という方や、将来のために早くから稼いでおきたい、という方にとっても、税金として支払っている金額を理解することは重要なのです。
収入と支払う税金のバランスを考えると、将来を不安に感じる方も多いことでしょう。
老後の生活を不安に思われた方は、次の年金についてのコンテンツを見ていただくことをおすすめします。
次回は年金の仕組みや、老後の受給額はどうなるのか、について解説していきたいと思います。