上司に言われたことや指示されたことが自分の考えと異なる時、本音では反論したいと思いながら反論できないという人は多いのではないでしょうか?
この記事では、上司に嫌われずに意思表示するための方法を、具体的にご紹介します。
うまく意思表示するためにはマインドとテクニックに注目
日々仕事をしていると、上司から理不尽なことを言われたり、明らかに不合理だと思われる指示を出されたり、あるいは誤解されていると感じたりする場合があるかと思います。
そんな時、本当は自分の意思を表示したいけれど、上司からの評価を下げたくなくて恐れてなかなか言えない人も多いことでしょう。
しかし、自分の言い分を封じ込めてストレスをためてしまっては、自分自身が面白くないですし、業務の都合上、意思表示しておかないと、かえって後から上司からの評価を下げてしまうことにもなりかねません。
では、どうすれば上司に嫌われることなく、自分の意思をきちんと表示することができるのでしょうか?
そのカギとなるのが、マインドとテクニックです。いずれも心理学の要素を交えて対応すれば、相手の反応も良くなるだけでなく自分の気持ちも楽になります。
マインドとテクニックの両方がうまくいくと楽になる
上司に意思表示したいけれど、残念ながらうまくできない時には、2つの要素が妨げとなっています。
1つは自分自身の心の問題です。
自分の体面が傷つけられたり、評価が下がることに対する恐怖心などが、意思表示という行動に制限をかけているためです。いわば、あなたの内側の問題が、意思表示に制限をかけていると言えます。
これは、マインドを高めることで解決できます。
もう1つは、外的要因に作用する事柄です。
上手な表現方法で意思表示できるか? 自分の思っている内容がちゃんと伝わるか? 不用意に相手の感情を刺激せずに伝えることができるか? などが挙げられます。
これはコミュニケーションのテクニックを向上させることによって解決できます。
つまり、マインドとテクニックを高めることにより、内的要因と外的要因のそれぞれに対処することが可能となるため、自分から上司にしっかりと意思表示ができるようになるのです。
上司に反論できない人はセルフイメージに縛られている
では、内面の問題から解決策を見つけていきましょう。
人間はそれぞれ、固有の心の在り方、つまりマインドを持っており、このマインドが物事に対して作用しています。
しかし、マインドはセルフイメージに支配されています。このセルフイメージを高めることで、マインドも同時に高まります。
セルフイメージとは、「自分で自分のことをどう思っているか」という心の枠を指し、自分らしさと言い換えることもできます。
「自分はこういう人間だ」とか、「自分の能力はこれくらいだ」、あるいは「自分にはこれくらいの年収が相応しい」というふうに、全ての思考や行動はセルフイメージによって決定され、人はセルフイメージ通りに生きようとします。
つまり、「上司に意思表示できない」というセルフイメージの通りに振る舞ってしまっては、永久に上司に意思表示することはできないのです。
自分の限界を作っているメンタルブロックを破壊すべき
マインドを高めるにはさまざまな方法がありますが、その中で最も簡単なものをご紹介します。
それは、メンタルブロックの存在に気づくということです。
セルフイメージは自分らしさの枠とご紹介しましたが、その枠には上限と下限があります。
「自分はこれ以上ではないけれど、これ以下でもない」という具合に、自分を限定しています。
その上限の部分に、メンタルブロックという心の蓋があるのです。
例えば、「本当は野球選手になりたい。でも自分がそんなふうになれるはずがない」「営業成績トップになりたいけれど、今の自分には無理だ」という具合に、自分で勝手に心の蓋をしているのです。
「自分は上司に対して意思表示できる人間じゃない」という考えに捉われてしまっているので、まずはメンタルブロックを破壊する必要があります。
メンタルブロックの破壊は、「できない」と思った時に「これはメンタルブロックではないか?」と気づくことが重要です。
この気づきによって、かなりの確率でメンタルブロックを破壊することが可能ですので、日ごろから意識しておきましょう。
マインドを変えると言動に変化が表れる!
メンタルブロックの存在に気づくことによって、自分の限界を作っているのは自分以外にいないことを体感できます。
自分の限界の境界線があやふやであることが分かると、メンタルブロックが外れ、マインドが高まりやすくなります。その結果、言動にも変化が出てくるでしょう。
この原理を、上司に対する意思表示というテーマに当てはめてみましょう。
マインドの高まりによって言動も変わるため、勇気を出したり、無理をしたり、努力をしたりしなくても、自然に上司に対する意思表示ができるという効果が期待できます。
例えば、今まで指摘や批判を丸ごと受け止めていた人が、適切に反論できるようになったり、全て上司の言いなりになっていた人が、ハッキリと「ノー」と断れるようになったりするのです。
でも、マインドが変わると言動も変わるのは、どうしてなのでしょうか?
そこには、心理的盲点というカラクリがあるのです。
今まで心理的盲点として隠されていたことに気づく
心理的盲点とは、「本来は見たり聞いたりしているはずなのに、見ることも聞くこともできなくなること」を指します。
例えば、探し物をしている時、目の前に置いてあるにもかかわらず、なかなか見つけられないことがありますよね?
これは人間の脳の仕組みによるものなのです。
一般的に、人間の脳は3%しか使われていないと言われており、自分が意識して興味のある情報のみをピックアップするという特性があります。
そのため、複数の人数で同じ道を歩いていると、それぞれ気がつくお店の情報が異なります。
また、自分が買ったものと同じ車が町中で走っていることに気づくなどの例がありますが、こういう場合、脳はまるで情報に対するサーチライトのような状態となっています。
実は、この3%がセルフイメージであり、それに相応しい思考や言動を行うようになっているのです。
つまり、マインドが高まることにより、今まで気づかなかったことに気づいたり、今までしなかった考え方をするようになったり、今までになかった発想をするようになるため、今まで当たり前だった現実もまた変わっていくのです。
肯定してから否定する! 心理学的トーク術
これまでは、マインドに関する内容を解説してきましたが、ここからはテクニカルな方法をご紹介していきます。
上司に対して上手に意思表示するためには、心理学的なトーク術を身に付けるのがおすすめです。
まずは、最も簡単で重要な「肯定的否定」という手法をマスターしましょう。
肯定的否定とは、反論したい時に使う表現方法で、まず相手の言葉を肯定した後に反論するというやり方です。
例えば、「明日までに顧客から注文書をもらってこい!」と上司から言われた時に、「でも顧客は1週間必要と言っていました」という具合に、いきなり否定から入ると、上司も心を閉ざしてしまいます。
しかし、「分かりました。私も注文書が欲しいので頑張ります。ただ、顧客は1週間必要と言っていました」という具合に、いったん肯定した後に反論すると、上司にも心を開いた状態で反論を聞いてもらうことができます。
これは、脳の扁桃核という感情を司る器官が、相手の発言に対して「快」か「不快」の二者択一を取ることが影響しています。いったん肯定して「快」の状態にしてから、反論することが重要です。
肯定的否定の後、さらに肯定するとより効果的
肯定的否定のトーク術に慣れてくると、もうワンランク上のトーク術をマスターできます。
それは、肯定的否定の後、最後にもう一度肯定する方法です。そうすると会話の後も、上司の脳の扁桃核が「快」の状態で終わりますので、後味も良くなります。
先ほどのトークの例を挙げれば、「分かりました。私も注文書が欲しいので頑張ります。ただ、顧客は1週間必要と言っていました。しかし、きっちりと打診して来ます!」という具合に締めくくると良いでしょう。
些細なトークも、積み重ねると話す人の印象自体が変わってくるため、より一層コミュニケーションを取りやすくなります。手軽な方法ですので、ぜひとも活用していただければと思います。
まとめ
上司に対して上手に意思表示するためには、マインドとテクニックの両面で対処することがおすすめです。自分で勝手に制限をかけているメンタルブロックの存在に気づき、その限界を引き上げていきましょう。
テクニックに関しては、トーク術をマスターするだけで大きな変化が期待できます。相手の心理に作用するとてもシンプルな方法なので、しっかりと練習してマスターしましょう。
これがマスターできたら、上司に対して意思表示するシチュエーションが待ち遠しくなるかもしれませんよ。